2026年にブランド誕生15周年を迎えた星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」。「30の温泉宿、30の温泉文化」を掲げ、2030年までに全国30施設の展開を目指すプロジェクトを始動しました。
2026年6月に開業した「界 草津」もまた、草津ならではの湯治文化や街歩き、養蚕・製糸の歴史など、この土地の文化を滞在を通して体感できる一軒です。
「界 草津」は、単なる温泉旅館ではなく、宿と街、その両方を楽しむことを前提に設計された新たな滞在拠点。館内でふたつの源泉を湯めぐりし、群馬の絹文化に触れ、土地の恵みを味わい、宿泊者専用トンネルを通って温泉街へ足をのばす…その一つひとつの体験が有機的につながり、草津という温泉地の魅力を五感で感じられる滞在を叶えてくれます。
今回は、そんな「界 草津」を訪れたPrecious.jpライターが、滞在して感じた魅力をご紹介します。
専用トンネルが温泉街と宿をつなぐ「界 草津」の魅力をレポート
エントランスののれんをくぐると、ブリッジと呼ばれる長い通路があります。両脇が高い壁に囲まれ、目線は自然と前へ。館内に足を踏み入れると一気に天井が高くなり、目の前には自然に囲まれた界 草津ならではのランドスケープが広がります。
なだらかな傾斜を描く庭には、大浴場を含む3つの建物が並んでいます。随所に季節の花々や竹などが植えられていて、数年後に訪れたら植物の背が伸びてまた違った景色が楽しめそうだと感じました。
界 草津は、全国の界の中で最も敷地面積が広いそう。ゆとりある館内だけでなく、開放感のある庭の景色からもそのことがうかがえます。
そしてレセプションへ。フロント奥の緑色のグラデーションを描く布が印象的です。
館内の布のアートなどを手掛けるのは、テキスタイルデザイナーの須藤玲子氏。草津らしい湯けむりや湯畑の緑色、強酸性の温泉が湧き出す土地ならではの金属の「錆」などをモチーフにした布アートやシルクの装飾をつくり上げています。
到着し、フロントでチェックインするまでに、景色や館内デザインなど随所から草津らしさを体感できるようになっています。
ご当地部屋「シルクアートの間」に宿泊
界ブランドならではの「ご当地部屋」は、その土地の文化や工芸を取り入れた客室。界 草津では、群馬県が誇る養蚕・製糸の歴史をテーマにした「シルクアートの間」が用意されています。
客室を彩るファブリックは、絹糸のドットが映える職人技が光るアート。繊細な織りや染色によって草津の自然と湯けむりを表現したものです。シルクならではのやわらかな質感や光沢が空間に上質な雰囲気を添え、滞在そのものがアートに触れる時間になります。
窓の外には豊かな木々が広がり、四季折々の景色も魅力のひとつ。
露天風呂付きの客室では、温泉につかりながら自然を身近に感じられ、ゆったりと流れる時間を楽しめます。
また「シルクアートの間」の露天風呂付き客室には、愛犬と泊まれる「愛犬ルーム」もあります。客室内に愛犬用のケージや食器が用意されているほか、館内にはドッグランもあり、愛犬と共にお散歩しながら専用トンネルを抜けて温泉街まで足をのばすことも可能。愛犬との旅行先にも、界 草津はおすすめです。
「温泉文化いろは」で草津の温泉文化を学ぶ
界 草津では、温泉に入るだけではなく、その土地ならではの文化を知り、体を整えながら楽しむ滞在を提案しています。
入浴前に参加したいのが、大浴場がある湯小屋の隣に建つ暖炉ラウンジで開催される「温泉文化いろは」。
スタッフによる案内を通して、草津温泉の歴史や泉質、古くから受け継がれてきた湯治文化について学ぶことができます。
草津温泉は「にっぽんの名湯100選」で1位に選ばれている誰もが知る人気の温泉。ですが、「何年連続で選ばれているのか?」というクイズには少し悩みました。3年、13年、23年という3択でしたが、なんと答えは23年。長い間、名湯として選ばれてきた草津温泉の魅力を、絵本を使って解説してくれます。
白根山に染み込んだ雨や雪がマグマで温められ湧き出ている草津温泉は、日本一の自然湧出量を誇るのだそう。温泉として使いきれないほど街中を流れているため、街のあちこちから湯けむりがあがっているのも、草津の特徴です。
湯治場として栄えた歴史から、加水せず源泉そのままを楽しむことにこだわった草津では、熱い源泉をちょうどいい温度に冷ます目的で湯畑を作ったのだそう。木製の樋(とい)などを通して効率的に冷ましていくことができる湯畑は、草津の象徴的な観光地でもありますが、実はそういった目的があるんです。
そんな草津温泉の背景、魅力を知ってから湯に浸かることで、何気ない入浴時間がより奥深い体験へと変わります。
二つの源泉を楽しめる大浴場
温泉文化を学んだ後は、大浴場へ。
界 草津の大浴場では、「万代鉱源泉」と「西の河原源泉」という二つの源泉を楽しめるのが特徴です。
手前の「万代鉱源泉」が草津温泉では最もポピュラー。ややピリッとした泉質で、ピーリング効果があると言われています。刺激が強いので、あがる前にシャワーで洗い流すことと、しかりと保湿することをお忘れなく。
奥の「西の河原源泉」は比較的、肌あたりのやさしい泉質です。それぞれ異なる泉質や湯ざわりを堪能できるのがうれしいですね。
左のいちばん大きな源泉かけ流しのあつ湯も含めて、大浴場内で温泉めぐりが叶うのも界 草津ならではです。
開放感あふれる露天風呂は「万代鉱源泉」です。木立を眺めながらゆったりと湯浴みを楽しめます。
湯上がり後は再び暖炉ラウンジへ。お子さん連れの方や寝転がりたい方におすすめの畳スペース、ワーケーション利用におすすめの電源席もあります。
界オリジナルブレンドの「はだか麦茶」、ほどよい酸味が湯上がりにぴったりの「梅のしろっぷ」など、ドリンクも飲み放題。草津にまつわる書籍も充実しているため、本やドリンクを片手に暖炉ラウンジでのんびりしているだけであっという間に時間が過ぎていきます。
群馬の文化に触れる「ご当地楽」を体験
界ブランドでは、その土地ならではの文化や伝統に触れられる無料のアクティビティ「ご当地楽」を毎日開催しています。
界 草津で体験できるのは、群馬県の養蚕・製糸文化をテーマにした「シルクを紡ぐ上州座繰り」。昔ながらの座繰り器を使って繭から糸を引き出し、絹糸ができるまでの工程を実際に体験できます。
群馬県はかつて日本の近代製糸業を支えた地域として知られていますが、実際に座繰りを体験することで、一本の糸が生まれる繊細な工程や、職人たちの技術の奥深さを実感できます。
座繰り器を使って鍋に入った繭から糸を繰り出していき、できあがった糸でタッセルのキーホルダーを作ります。この座繰りで繭から糸をつくるやり方は江戸時代後期に始まり、今も残されている手法のひとつ。
スタッフにお手本を見せてもらったあと、実際に自分で座繰り器を使って糸を作っていきます。
繭から出る糸をブラシでとり、座繰り器のハンドルを回して糸を挽いていく作業は、無心で手を動かしているうちについのめり込んでしまいます。糸の太さがまちまちなのも、手作りならではの味わい。触ってみると、手触りはつややかで意外としっかりしていました。
体験を通して紡いだ糸は、タッセルキーホルダーにして旅の思い出として持ち帰ることが可能。自分の手で糸を紡ぐ体験を通して、群馬の絹文化への理解がより深まりました。
群馬の恵みを味わう「上州豊伝会席」
夕食は、群馬県ならではの食材をふんだんに取り入れた「上州豊伝会席」をいただきます。
季節の恵みを取り入れた前菜から始まり、一品ごとに群馬の風土や食文化を感じられる献立で構成された会席料理は、器や盛り付けにも土地らしさが散りばめられており、目でも楽しめます。
先付けとして登場したのは、草津の湯もみ文化に着想を得た一品。イノシシのリエットと吾妻地域の名産である花豆で作られた味噌、ペースト状にしたネギが器に入っていて、湯もみのように下から上にしっかりと混ぜていただきます。添えられた「ご縁せんべい」と共にいただくとサクッとした食感とともに楽しめます。
煮物椀として、鱧(はも)と蓮根を使用した蒸し料理。続いて、宝楽盛りが登場。群馬県の観光地や親しまれている食べ物などを描いた縄文カルタがデザインされた箱には、「海老とトマトの琥珀寄せ」「カレイの白煮」「小蛸の甘露煮」といった八寸が入っていました。
揚げ物のあとに登場するメインは、「毎夜食べても飽きない」ほどおいしい、という意味から名付けられた鍋料理を界らしくアレンジした「上州常夜鍋」。旨み豊かな出汁に群馬県名産のほうれん草をくぐらせて味わう、滋味深い一品です。締めは、群馬の名物で日本三大うどんのひとつでもある水沢うどん。さまざまな食材の旨みが染みわたった出汁とともに楽しみました。
デザートは、繭に見立てたムース。中には、花豆で作られた餡が入っています。やさしい甘さで、なめらかな口どけが絶品。
食材はもちろん、器や提供方法にも草津らしさが取り入れられた会席は、食事の時間を通して土地の文化に触れられるひとときでした。
翌朝は、体にやさしい和朝食をいただきました。焼き魚や小鉢、自家製のお豆腐と汲み上げ湯葉など、温泉旅館らしい品々が並び、思わず顔がほころびます。
木の枝からできた経木(きょうぎ)に包まれているのは下仁田納豆。鍋に入っているのは群馬県の郷土料理「こしね汁」です。群馬の特産であるこんにゃく、しいたけ、ねぎという3つの食材の頭文字をとった具だくさんの味噌汁は、朝から体が温まり、栄養がいきわたるような、活力の源になる一品でした。
朝は「草津白根山体操」で体を目覚めさせる
朝は、界ブランドが温泉をより楽しむ一環として提案している体操に参加しました。
界 草津では、草津白根山の大地の動きをイメージした「草津白根山体操」を体験できます。深呼吸を交えながらゆっくりと体を伸ばしていくプログラムで、朝の澄んだ空気の中、心身ともにリフレッシュできます。
朝風呂とあわせて楽しむことで、一日の始まりをより心地よく迎えられました。
日帰りでも利用できる「蕎麦割烹 SAI」
界 草津には、宿泊者以外も利用できる「蕎麦割烹 SAI」が併設されています。
店の主役は、地粉・生粉打ちの香り豊かな十割蕎麦。こだわりの出汁とともに味わう蕎麦はもちろん、地元食材を生かした一品料理や群馬の地酒なども充実しており、ランチからディナーまで幅広いシーンで利用できます。
ランチに注文したのは「鴨出汁つけ蕎麦」。鴨肉の旨みが染み出した、ねぎたっぷりのつゆにつけていただくお蕎麦は絶品でした。お蕎麦と一緒に注文したい「炙り味噌」「鞍掛豆のお浸し」や、「温泉卵プリン」「ミルクアイスクリーム~花豆添え~」といった甘味も用意されています。
ディナーメニューには、「特製大根入り蕎麦もちの揚げ出し」「和牛サーロインのしゃぶしゃぶ蕎麦湯仕立て」といった一品料理も充実。アルコールなどのドリンク類とともに楽しめます。
「蕎麦割烹 SAI」は、宿泊中に利用するのはもちろん、日帰り旅行でも気軽に立ち寄れる一軒として、草津観光の新たな楽しみになりそうです。
宿泊者だけの特別な街歩きも
界 草津のコンセプトは、「トンネルがつなぐ木立の湯宿と温泉街」。そのコンセプト通り、大きな特徴の一つが宿と温泉街を結ぶ宿泊者専用トンネルです。
草津は標高が高く、夏の平均気温が19℃前後で都内よりもかなり涼しい土地。近くに避暑地として名高い軽井沢があるためか、温泉地としてのイメージが強い草津に避暑地の印象はあまりなかったのですが、実際には思った以上に涼しくて驚きました。
宿からトンネルへは、静かな木立に囲まれた小道を通っていくのですが、木々のおかげで体感気温はさらに下がり、夏とは思えないほど快適。さらにトンネル内は少し肌寒いほどでした。
トンネルを抜けると、そこには草津温泉街の賑わいが広がります。自然の中でゆったりと過ごす時間と、名湯・草津ならではの街歩きを一度の滞在で楽しめるのは、界 草津ならではの魅力です。
宿泊者には、温泉街をより満喫できる「界 草津まちめぐりセット」も用意されています。「大滝乃湯」「御座之湯」「西の河原露天風呂」と3つの共同浴場を巡る「三湯めぐり手形」のほか、スタッフおすすめのスポットを紹介するガイド、ドリンクやタオルの引換券が風呂敷バッグとセットになっており、初めて草津を訪れる人でも効率よく街歩きを楽しめます。
三湯めぐりや湯畑の観光も含め、じっくり草津を満喫しようと思ったら、やはり2泊は必要。館内でゆっくりと温泉や食事、文化体験を満喫した後は、温泉街へ足を延ばして草津の魅力をさらに深く味わう――そんなメリハリのある滞在が叶います。
草津温泉の歴史や文化を深く体感しながら、森に包まれた静かな宿で心身を整える。時間に追われることなく、この土地ならではの温泉文化にじっくり浸る贅沢を味わってみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
- 界 草津
- TEL:050-3134-8092(界 予約センター)
- 住所/群馬県吾妻郡草津町大字草津字白根464番地690
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 小林麻美

















