映画監督のロベルト・ロッセリーニは筋金入りのカーマニアで、特に自国のブランドであるフェラーリをこよなく愛していた。彼はバーグマンのために、日常での使いやすさに重きを置いたクルマをオーダーする。十分な時間をかけて成型されたアルミ製のボディは、色気のある曲線で構成され、塗装色は淡いシャンパンがかったシルバー・グレーの「グリジオ・イングリッド」。

跳ね馬こそ「ビスポークの愉悦」を味わえ!

フェラーリ『ポルトフィーノ』

オープンボディを好むアメリカ西海岸の富裕層に人気の、その名も『カリフォルニア T』が、モデルチェンジに合わせて車名も一新。屋根を収納する後部を低くし、より洗練を増した内外装は、自分好みに仕上げてこそ魅力が増す。

バーグマンの瞳の色にちなんだ、実に洒落たクルマだった。フェラーリの「フォーリ・セリエ」は'60年代になくなり、2008年から再びオーダーを受けるようになったが、お金を積めばだれでも頼めるわけではないようで(詳細な条件は不明)、納期も長く、現実的とはいえない。

そこでおすすめなのが、通常のオプションでは選べない内外装の選択肢を豊富に用意した、「テーラーメイド・プログラム」だ。オーダーはフェラーリの本社にあるアトリエで行われ、専任デザイナーのアドバイスを受けながら進められる。納期はスタンダードモデルの生産工程+数か月程度。これなら十分現実的だし、少量生産といえども工場のラインに乗って形づくられる現代において、「テーラーメイド・プログラム」は限りなくビスポークに近いオーダー形態。その仕上がりに不足などあるはずがない。

今なら2+2シーターの最新モデル、『ポルトフィーノ』でオーダーしたい。開閉式の屋根を持つ、この新世代GTは、フェラーリらしい抑揚の効いたスタイリングがひときわ目を引く。

ボディサイドの鋭い切れ込みなどにモダンなセンスを感じると同時に、旧来のモデルにも通じる古典的な色気が、硬派な2シーターモデルよりもラグジュアリーなキャラクターであることを主張する。

バーグマンの瞳の色でオーダーした世界に1台しかない貴重なフェラーリ

正式な車名は『375MM スカリエッティ・クーペ  ロベルト・ロッセリーニ』。注文主の希望に合ったボディデザインが完成するまで、1年を要したという。本物を知る顧客のために最高の1台をつくるのが、フェラーリの哲学だ。

フェラーリらしい赤や黄色のボディカラーはもちろん似合うが、「ラグジュアリー・スポーツカー」らしく、洒脱な色合わせにこだわりたい。ロッセリーニに倣って、「グリジオ・イングリッド」を選んでもいいだろう。それにオープンで走ることも多いのだから、内外装の組み合わせも重要だ。いっそのこと、外装をダークネイビー、内装をベージュにして、アズーロ・エ・マローネで仕立ててはどうだろう。

伊達男たちが理想の1台を想い描いてきた“フェラーリ”こそ、ビスポークの愉悦を味わうには最高の素材。手元に届くまでに年を越すのは確実だが、やがて訪れる「真夏の夜の夢」を思えば、ほんの一瞬だ。

フェラーリ『ポルトフィーノ』
ボディサイズ:全長4,586×全幅1,938×全高1,318㎜
車両重量:1,545kg
エンジン:V型8気筒DOHCターボ
総排気量:3,855cc
最高出力:600PS/7,500rpm
最大トルク:760Nm/3,000~5,250rpm
トランスミッション:7速F1DCT(AT)
価格:¥23,425,926(フェラーリ・ジャパン)

※2018年夏号掲載時の情報です。

関連記事

この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN'S Precious2018年夏号ラグジュアリー・ スポーツカー を味わい尽くす
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
Faceboook へのリンク
Twitter へのリンク
クレジット :
撮影/柏田芳敬(車両)、唐澤光也(パイルドライバー・静物)スタイリスト/大西陽一 構成/櫻井 香