【目次】
- 「苦汁」とは?「くじゅう」と「にがり」で異なる「読み方」と「意味」
- 「苦汁をなめる」とは?「意味」と「使い方」を「例文」で解説
- 「苦汁」と「苦渋」の「違い」は?「なめる」「飲む」「味わう」の正しい使い分け
- 「苦汁(くじゅう)」の「類語」と「言い換え表現」は?「辛酸」「苦杯」「苦難」との違いも紹介
- 「にがり」と読む「苦汁」とは?「成分」「特徴」「豆腐を固める仕組み」を解説
【「苦汁」とは?「くじゅう」と「にがり」で異なる「読み方」と「意味」】
■ふたつの「読み方」
「苦汁」には、「くじゅう」と「にがり」というふたつの読み方があります。読み方によって意味も異なる言葉のため、注意が必要です。
■「くじゅう」と読む「苦汁」
「くじゅう」と読む「苦汁」は、文字どおり「にがい汁」という意味から転じて、「にがい経験」や「くるしみ」を表すようになりました。例えば、「苦汁をなめる結果となった」のように、つらく苦しい経験を「苦汁」と表現することがあります。また、「海水を煮つめて製塩した後に残る母液」を意味することもあります。
■「にがり」と読む「苦汁」
「にがり」と読む「苦汁」は、「海水から食塩を取り出したあとに残る液体」を指します。マグネシウム塩、カリウム塩、硫酸イオン、臭素イオンなどを含む苦味のある水溶液です。製塩の副産物として生じ、食品用には、この液体を濃縮したものや乾燥させた製品も流通しており、豆腐製造などにも利用されています。
【「苦汁をなめる」とは?「意味」と「使い方」を「例文」で解説】
■「意味」
「苦汁をなめる」は、「にがい経験をする」「苦しい思いをする」という意味の慣用表現です。「苦杯を喫する」と同じ意味で使われています。
■「使い方」
「苦汁をなめる」は、過去のつらい経験を振り返ったり、失敗や敗北などによって苦しい思いをしたことを表すときに使います。
■「例文」
・「競合他社との入札で敗れ、何度も苦汁をなめてきた」
・「交渉は決裂し、担当者は苦汁をなめることになった」
・「新規事業からの撤退を余儀なくされ、会社は苦汁をなめた」
・「幾度も苦汁をなめた経験が、今の成功につながっている」
・「決勝で敗れ、苦汁をなめる結果となった」
【「苦汁」と「苦渋」の「違い」は?「なめる」「飲む」「味わう」の正しい使い分け】
■「苦汁」と「苦渋」の違い
「苦汁」と「苦渋」は、どちらも「くじゅう」と読みますが、意味は異なります。
「苦汁」…「にがい経験」「苦しみ」を表す
「苦渋」…「にがくてしぶいこと」「物事がうまくいかず、苦しみ悩むこと」や、そのような状態
「苦渋」が、「苦渋の決断」「苦渋の表情」のように使われるのは、この言葉が「心理的な苦しさ」を含んでいるからです。
■「苦汁」は「なめる」?「飲む」?
「苦汁」は、一般に「苦汁をなめる」の形で使われます。「苦汁を飲む」を認める国語辞典もあり、意味はいずれも「にがい経験をする」「苦しい思いをする」です。迷った場合は、慣用句として広く定着している「苦汁をなめる」を使うとよいでしょう。
■「苦汁を味わう」は間違い?
「苦汁を味わう」という表現も実際には見られますが、一般的な慣用表現は「苦汁をなめる」です。「味わう」を使う場合は、苦しみ悩むことを表す「苦渋を味わう」とするのが自然です。書き言葉では、「苦汁をなめる」と「苦渋を味わう」を使い分けるとよいでしょう。
【「苦汁(くじゅう)」の「類語」と「言い換え表現」は?「辛酸」「苦杯」「苦難」との違いも紹介】
■「辛酸」
「辛酸」は、つらく苦しい経験や、そのような境遇を表す言葉です。「辛酸をなめる」「辛酸を味わう」のように、苦しい経験をしたことを表す場合に使われます。「苦汁」と意味が近く、どちらも「つらい経験」を表します。
■「苦杯」
「苦杯」は、もともとは「にがい酒を入れた杯」を意味し、そこから「にがい経験」を表すようになった言葉です。「苦杯を喫する」のように、失敗や敗北など、望ましくない結果を経験したことを表します。「苦汁」が広くつらい経験を表すのに対し、「苦杯」は失敗や敗北などの苦い経験を表すことが多いのが特徴です。
■「苦難」
「苦難」は、苦しみや難儀そのものを表す言葉です。「苦難を乗り越える」「苦難の道を歩む」のように、困難な状況や苦しい状態を表すときに使われます。「苦難」は「にがい経験」ではなく、困難な状況や苦しみそのものを表します。
■日常的な言い換え表現
「苦汁をなめる」は、文脈に応じて次のように言い換えられます。
・苦労する
・苦しい思いをする
・つらい経験をする
・挫折を味わう
・屈辱を味わう
・痛い目に遭う
・苦い思いをする
「挫折を味わう」は計画や目標が途中でくじけた場合、「屈辱を味わう」は恥辱を受けた場合など、苦しみの内容を具体的に示したいときに適しています。
【「にがり」と読む「苦汁」とは?「成分」「特徴」「豆腐を固める仕組み」を解説】
■「苦汁(にがり)」とは?
「にがり」と読む「苦汁」は、海水から食塩を取り出したあとに残る液体のこと。海水を濃縮していくと、まず食塩が結晶となって取り出されます。その後に残った液体が「にがり」で、製塩の副産物ともいえます。マグネシウム塩を多く含むため、独特の苦味があります。
■「苦汁(にがり)」の主な成分
「にがり」には、100g中に塩化マグネシウムが15~19g、硫酸マグネシウムが6~9g、塩化カリウムが2~4g、塩化ナトリウムが2~6g、臭化マグネシウムが0.2~0.4gほど含まれます(『日本大百科全書(ニッポニカ)』より)。ただし、ひと口に「にがり」といっても、製塩方法によって成分の割合は変わります。
■なぜ「苦汁(にがり)」で豆腐が固まる?
豆腐をつくるとき、「苦汁」は凝固剤としての役割を果たします。豆乳には、大豆由来のたんぱく質が含まれていますが、そこに「苦汁」の主成分であるマグネシウム塩が加わると、豆乳中のたんぱく質の粒子が集まり、凝固していきます。これが、液体だった豆乳が豆腐へと変わる仕組みです。
「苦汁」は凝固する反応が速いのも特徴。そのため、加える量やタイミング、温度などによって仕上がりが変わり、豆腐づくりには扱うための技術が必要とされています。
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「苦汁」は、「くじゅう」と「にがり」というふたつの読み方をもち、それぞれ意味が異なる言葉です。「くじゅう」と読めば、つらく苦しい経験を表す言葉に。「にがり」と読めば、豆腐づくりにも欠かせないものになります。「苦渋」との使い分けも、微妙なニュアンスが掴みにくく、難しいですね。ここは「苦渋の選択」「苦渋の決断」と、覚えてしまいましょう。「大人の語彙力」、日々磨いていきたいですね!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料: 『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /塩百科「にがり」(https://www.shiojigyo.com/siohyakka/select/quality/bittern.html?utm_source=chatgpt.com) /京都府豆腐油揚商工組合「豆腐の製造過程」(https://tofu.or.jp/trivia/process/?utm_source=chatgpt.com) :

















