東京・永田町、国会議事堂前駅と溜池山王駅に直結しながら、日枝神社の緑に囲まれた「ザ・キャピトルホテル 東急」。1963年に日本初の外資系ホテルとしてこの地に誕生し、以来、国内外の賓客を迎え続けてきました。建築家・隈研吾氏が手がけた和モダンな空間を備え、米国「フォーブス・トラベルガイド」のホテル部門では6年連続で最高評価となる5つ星を獲得しています。

同ホテルがブランドの核に掲げるのが「不易流行」。変えてはならない価値を守りながら、時代に応じて進化していくという考え方です。建築にも同じ思想が通っており、和の本質と洗練された美意識を守ることが「不易」、最新技術と五感に響く演出による進化が「流行」にあたります。

その「流行」の部分がいま、大きく動いています。2026年7月には、東京ヒルトンホテル時代から数えて第10代となる総料理長が就任。10月には、2010年のリオープン以来初となる宴会場の全面刷新が完了しました。

先日開催されたプレス発表会では、新しくなる空間の紹介とともに、各レストランのシグネチャーディッシュが披露されました。会場では赤坂芸者2名による舞も披露され、赤坂という土地の歴史や文化と響き合う場を目指す姿勢が示されています。

本記事では、プレス発表会での様子と合わせて新体制のもとで受け継がれる味と、進化する空間についてご紹介します。

宴会場の全面刷新から、3か年の全館リニューアルへ

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大宴会場「鳳凰」

今回発表されたのは、1階の大宴会場「鳳凰」と中宴会場「桐」、2階の小宴会場「藤」「桜」「橘」という5つの宴会場と、ホワイエを含む宴会フロア全体の改修です。2010年のリオープン以来、初めてとなる大規模な工事で、2026年10月に全面完成を迎えました。

改修の目玉となるのが、大宴会場「鳳凰」に新設された常設の大型LEDビジョンです。2.6mmピッチの高精細なビジョンを幅6m×高さ5m(307インチ相当)のサイズで壁面2箇所に設置。既存の大型スクリーンとも連動し、マルチアングル表示や異なるコンテンツの同時放映が可能になりました。国際会議からアワードセレモニー、宝飾品やプレミアムカーの展示会、ウエディングまで、幅広い用途に応えます。

あわせて、ホワイエの壁面新設とアプローチ改修を実施。複数会場にわたる大型国際会議や、フロア全体を使ったパーティーへの対応力が高まりました。全5つの宴会場では、カーペットや壁面のデザイン・意匠も一新されています。

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ヒルトン時代から受け継がれるシャンデリア

一方で、これまで築いてきた歴史的価値と美術品は、そのまま大切に保存・再配置されます。前身である東京ヒルトンホテル開業当時のシャンデリアにあしらわれていた本真珠は、一部が現代の意匠へと受け継がれました。

1966年、熱狂のなかで開かれたビートルズ初来日記者会見。その舞台となった宴会場の金色の壁面デザインも、「メモリアルウォール 〜金色の記憶〜」として忠実に再現されています。宴会フロアには、抽象水墨画家・篠田桃紅氏の作品群や、横山操氏の「富士」も引き継がれます。

なお、今回の宴会場改修は3か年にわたるリニューアル計画の第一歩。第2段階として、15階に全客室の宿泊者が利用できる新たなラウンジを設ける予定です。チェックイン前やチェックアウト後もゆったりと過ごせる空間として、滞在の利便性と快適性の向上を目指します。来年度以降は、客室とレストラン&バーの改装を3年かけて順次進めていくとのことでした。

第10代総料理長が就任。受け継ぐものと、これから

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総料理長 佐藤栄介氏(左)、名誉総料理長 曽我部俊典氏(右)

2026年7月1日付で総料理長に就任したのは、佐藤栄介氏。2002年に「セルリアンタワー東急ホテル」へ入社し、フランスの二つ星レストランでの研修を経て、2021年に「HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL Hotel」の開業時シェフに抜擢されました。2024年には「BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotel」の料理長を歴任し、2025年7月より同ホテルの副料理長を務めています。東京ヒルトンホテル時代から数えると、第10代にあたります。

発表会で佐藤氏は、東京ヒルトン時代から受け継ぐものが多くあったと振り返り、「副料理長として過ごしたこの1年で、受け継ぐものの大きさと重さ、そして調理人たちを率いる責任を強く感じています」と述べました。昔ながらのユニークな料理を絶やさず提供していく方針を示しつつ、宴会場の改装に合わせて宴会メニューも一新することを明かしています。

前総料理長の曽我部俊典氏は、名誉総料理長に就任。あわせて東急ホテルズ総料理長として、ホテルチェーン全体の食を統括します。

曽我部氏は着任からの7年を振り返り、宿泊客のうち外国人比率が80%を超えた時期に着任したことから、朝食のフランスパンやクロワッサンにフランスの粉を用い、海外からのゲストが日頃口にしているクオリティを目指してきたと語りました。

印象的だったのが、コロナ禍の話です。「お客様がたとえ来ないとしても、1日1組だとしても、閉めるという選択はありませんでした」。この地で60年以上ホテルを営み、地域とともに歩んできた自負があること。打ち合わせや会議の場を失うことは、利用する人にとってもよくないこと。だからこそ、ホテルも、そしてレストラン「ORIGAMI」も開け続けたのだといいます。

その後は食のSDGsとして、地球環境に配慮した食の提供を進めてきたこと。そして後述するパーコー麺を守りながら、よりよいものへと磨き、時代が求めるものに応えてきたこと。7年の歩みが静かに語られました。

各レストランのシグネチャーがそろい踏み。自慢の料理をお披露目

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発表会では和洋中さまざまなジャンルのシェフが腕をふるった

発表会では、各レストランのシグネチャーディッシュや季節のメニューがお披露目されました。

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松茸の天ぷら

メインダイニングである日本料理「水簾」から供されたのは、秋の味覚を代表する松茸の天ぷら。揚げたての香りが立ちのぼります。

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北京ダック
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この日は、目の前で切り分けてもらえる演出も

中国料理「星ヶ岡」からは、シグネチャーディッシュとして人気を誇る北京ダックが登場。目の前で切り分けるパフォーマンスも披露されました。

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パーコー麺
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伝統のローストビーフ

オールデイダイニング「ORIGAMI」からは、代名詞ともいえるパーコー麺と、伝統のローストビーフ。いずれも前身である東京ヒルトンホテル時代から受け継がれてきた味です。

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自慢のパンもずらりと登場した

さらに、予約困難といわれるラウンジ「ORIGAMI」のアフタヌーンティーと、ペストリーブティックのスイーツも用意されたほか、パンがおいしいホテルとして評判を集めるベーカリーからも、焼き上げたばかりのパンが並んでいました。

これまで多くの人に愛されてきた料理と、これからのキャピトルを感じさせる新しい味わい。受け継いできたものを大切にしながら、新たな空間とともに進化していく姿勢が、一皿ずつに表れていました。なお、宴会場の改装を機に、宴会メニューも一新されるとのことです。


会議やパーティー、ウエディングの会場として。あるいは、受け継がれてきた味を目当てにレストランを訪れるひとときとして。変わらないものと、新しくなるもの。そのどちらもを備えた空間で、ゆるやかな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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WRITING :
ミノシマタカコ
EDIT :
小林麻美