日本全国に温泉宿は数多あれど、情報の海のなかから本当に満足度の高い一軒を見つけ出すのは至難の業。そこで、本連載では、国内外の温泉を巡りその神髄を知り尽くした温泉ジャーナリスト・植竹深雪さんに、自ら足を運び五感で確かめた上質な宿をピックアップしてもらいました。

極上の湯に癒されるのはもちろん、その土地ならではの美食やホスピタリティで心ゆくまでリフレッシュしたい! そんな大人の女性のニーズに応える至福の旅をナビゲートします。今回ご紹介するのは、千葉県鋸南(きょなん)町にある「いっぺ THE SAKE RYOKAN」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の4000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『おとな「ひとり温泉旅」のススメ』(三笠書房)、『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

東京湾を間近に望む半露天風呂で海を五感で満喫 

美しい海岸線と豊かな食文化が息づく千葉県・南房総の鋸南町。穏やかな海が広がる元名海岸に「酒旅(さかたび)」をコンセプトとする大人のための湯宿「いっぺ THE SAKE RYOKAN」が、2026年6月にオープンしました。築100年を超える歴史ある旅館と旧邸宅を美しく再生・融合させた施設で、全16室に自家源泉の安房温泉を引いた浴室を備えます。

外観
歴史ある古民家の建物と東京湾が織りなす夕暮れ時の風景。

「こちらの泉質はナトリウム-塩化物温泉。体の芯から温まって湯上り後もポカポカ感が持続し、これからの季節に好適です。そして何と言っても、海を間近に眺めながらプライベートな空間で温泉に入れるのが格別。浴室の目の前に東京湾の水平線が広がり、海の存在をダイレクトに感じられます。

刻々と表情を変える情景を眺め、打ち寄せる波の音に耳を傾け、心地よい潮風の香りを感じながら湯浴みする。そんな非日常体験が、疲れた心身を優しく解きぼぐしてくれました」(植竹さん)

客室の温泉
客室の温泉。
客室の露天風呂からの眺め
心が洗われるような夕暮れ時の絶景。

地酒との相性も抜群!伊勢海老や房総ジビエを豪快に炭火焼きで堪能 

「いっぺ THE SAKE RYOKAN」を語るうえで欠かせないのが「酒旅」というコンセプト。千葉県内には約40の酒蔵があり、古くから酒造りの文化が受け継がれてきたことを背景として、滞在中に千葉の地酒を心行くまで堪能できるように趣向が凝らされています。

酒類
「寿萬亀」「甲子」「福祝」をはじめとする県内各地の銘酒がずらり。

宿泊者が利用できるフリーフローのラウンジは3か所。海風が吹き抜ける「中庭ラウンジ」、隣接する施設にある「ゆうみサウナカフェ」および「ゆうみバーラウンジ」とそれぞれ雰囲気が異なります。千葉県各地の地酒のほか、ビールやカクテル、ハイボールやサワー、さらにノンアルコールも含めてドリンクのラインナップが豊富で、お好みの一杯を傍らに湯上りの余韻を楽しむことが可能です。

中庭ラウンジ
中庭ラウンジ。
ゆうみサウナカフェ
ゆうみサウナカフェ。
ゆうみ バーラウンジ
ゆうみ バーラウンジ。

夕食は、房総の海と山が育んだ旬の食材を炭火で仕上げる会席料理。伊勢海老や金目鯛、鮑などの海の幸に加え、猪や鹿といった房総ジビエも取り入れています。

食材一例
食材一例。

なかでも房総の海で水揚げされた伊勢海老は出色。千葉県は全国有数の伊勢海老の産地で、房総では8月に漁が解禁され、秋に旬を迎えます。ぷりっとした身の食感と濃厚な甘みが特徴で、炭火で焼き上げることで香ばしさが加わり、素材本来のうまみを堪能できます。

夕食一例
夕食一例。

さらに、料理に合わせた数種類のお酒のペアリングがすべての宿泊プランに付いているのが、「酒旅」をコンセプトとするこの宿ならでは。美食と美酒が互いの味わいを引き立て合う至福のマリアージュが旅の満足度をよりいっそう高めてくれます。

ペアリング一例
ペアリング一例。

以上、「いっぺ THE SAKE RYOKAN」をご紹介しました。客室の半露天風呂で海を眺めながら温泉に癒され、湯上り後はフリーフローのラウンジで寛ぐ。そんな大人の「酒旅」でエネルギーをチャージしたい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)