大抵の用件連絡は、メールやLINEで済ませられる時代。それだけに、いざ「手紙」や「手書きの文章」を書く機会に直面すると、マナーに自信がなくて悩んでしまう…という経験、ありませんか?
冠婚葬祭や目上の人へのご挨拶など、特別なシチュエーションで手紙を書く場合は、とりわけ失敗が許されません。知っていれば防げたはずのミスで「この人、非常識だな」という烙印を押されてしまいたくはありませんよね?
そこで今回は、池坊短期大学教授で『新社会人のためのビジネスマナー講座』の著者である寿 マリコさんから、手紙を書くときのNGマナーを教えていただきました。
意外と知らない手紙を書くときのNGマナー6選
■1:正式な手紙で「ボールペン」や「茶封筒」を使う
手紙を書く際の筆記用具は、毛筆、万年筆、ボールペンなど。ただし、礼状や見舞状、慶弔の手紙など、かしこまった場面では、ボールペンは使わないようにしましょう。
「ボールペンはあくまで”事務”目的で用いるものです。また、毛筆とくらべて筆跡が細いという点でも、気持ちを伝える手紙にボールペンは不向きだといえるでしょう。また、特にご年配の方のなかには、ボールペンの手紙を快く思わないこともあります」(寿さん)
手紙を出す側に悪気はなくても、使う道具によって相手の印象が大きく変わってしまうのですね。また、ボールペン同様、茶封筒も事務書類以外では、失礼にあたるおそれがあります。使い慣れているからといって、手紙ではボールペンや茶封筒を多用しないようにしましょう。
■2:「下書きをしない」でいきなり書き出す
メールであれば、誤字・脱字があってもすぐに修正できますが、手紙の場合、修正液の使用はNG! 冒頭でならまだしも、もうほとんど完成という段階でうっかりミスをするとショック大ですが、それでも面倒がらず、最初から書き直すのがマナーです。そうした事態を防ぐためにも、手紙では下書きが欠かせません。
また、下書きしないでいきなり本番では、最初に大きく書きすぎて、最後が詰め詰めになったり、逆に、最初に小さく書きすぎて、余白が不自然に目立ったりすることもよくあります。全体のバランスを整えるためにも、必ず下書きしてから清書に臨みましょう。
■3:少額の切手を何枚も貼る
切手は大きさや重さに合った金額を、間違いのないように貼るのが基本中の基本ですが、金額を合わせるために、何枚も少額の切手を貼るのは考えもの。
封書の左上に、ベタベタと何枚も切手が並ぶさまは、見た目的にもみっともないですし、ありあわせの切手で済ませた感があり、受け手に悪印象を与えてしまいます。封筒に貼る切手は、できるだけ1枚に収めましょう。
■4:会社名を略して書く
宛名書きでも本文でも、会社名を「(株)A4産業」など、略して書くのはマナー違反。「株式会社A4産業」のように、正式名称を書くようにしましょう。
また、会社名は「株式会社●●」の「●●株式会社」の2パターンがありますが、両者を取り違えるのは大変失礼。基本的に、誤字・脱字はあってはならないことですが、とりわけ会社名、人名などの固有名詞は絶対に間違わないように、よくよく確認してから記述するのが望ましいです。
■5:相手の名前が「行の下方」になったり「行をまたいだり」する
正式な手紙で礼儀を重んじる場合は、縦書きが基本。その縦書きでは、相手の名前の位置に要注意です。相手の名前が行の下方にきては、敬意が伝わりにくいので、避けましょう。ましてや行をまたいでしまう(名前が分断されてしまう)のは、言語道断です。文脈上、相手の名前が行の中央より下にさしかかりそうになったら、余白ができても改行して、相手の名前を行頭に持ってくるほうがよいでしょう。
■6:便箋を小さく折りたたみすぎる
実は、便箋の折り方、封筒への入れ方にも正式なマナーがあるのをご存知でしょうか? 便箋を縦書き封筒に入れる場合、封筒の大きさに応じて、三つ折りまたは四つ折りにするのがマナーです。
横書き封筒の場合は、縦横に四つ折りにします。それ以上、小さく折りたたむと、折り目で便箋の見た目を損ね、手紙も読みにくくなるのでおすすめできません。
そして、便箋の封筒への入れ方では、書き出しの部分の位置がポイントになります。縦書きでは封筒の裏面から見て右上、横書きでは封筒の裏面から見て左上にくるようにすると、開封した際に相手から読みやすいです。ちょっとした気配りとして、便箋の折り方、封筒への入れ方マナーをぜひ押さえておきましょう。
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手紙のマナーは慣れていないと難しく感じるかもしれませんが、一度身につければ、一生ものの知識。メールばかりに頼らず、ビジネスでもプライベートでもここぞというときには、心のこもった手紙を送ってみませんか? なお、手紙よりも略式で、職場の人や取引先に手書きメッセージを送る際は、一筆箋を活用するのもありでしょう。
手紙よりも略式な「一筆箋」も活用して
「一筆箋は、一言気持ちを添えたいときに重宝するアイテムです。手紙ほどマナーを気にする必要はありませんが、敢えて気をつける点を挙げるとすれば、用件や分量が多くなりすぎないこと。一筆箋ではポイントを簡潔に記し、なるべく1枚におさめます。もし、伝えたいことが多くて2枚以上にわたるのであれば、一筆箋よりも手紙のほうが適しているでしょう」(寿さん)
デジタル全盛の今だからこそ、手書きの手紙や一筆箋は、相手から喜ばれることまちがいなし! より気持ちを伝えるためにも、今回ご紹介したマナーをぜひ押さえておきましょう。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美