“東北三大祭り”といえば、青森県の「青森ねぶた祭」、秋田県の「秋田竿燈まつり」、宮城県の「仙台七夕まつり」。夏の暑さを吹き飛ばすほど、お祭りは熱く美しく盛り上がります。今回はこの東北三大祭りの魅力を、「2018年ならでは」の見どころとともに、それぞれの実行委員会にうかがってきました。
■1:踊り手としても参加できる!迫力満点のねぶたが市内を巡る「青森ねぶた祭」/開催期間:8月2日(木)~7日(火)
「ラッセーラー、ラッセーラー」という掛け声で有名な「青森ねぶた祭」
「ねぶた」と呼ばれる紙貼りの大きな人形灯籠や、華やかな衣装をまとい、「ラッセーラー、ラッセーラー」という掛け声とともに練り歩く踊り手「跳人(はねと)」で有名な「青森ねぶた祭」。
青森ねぶた祭の起源は諸説ありますが、奈良時代に中国から入った「七夕祭」と、青森県に古くから伝わる習わしや行事が融合したという説が有力だそう。紙と竹、ロウソクが普及するとお祭りで灯篭をつくるようになり、それが次第に変化して、現在のようなねぶたになったといいます。
会場は青森駅前周辺、最終日の夜は花火大会が行われる「青森ねぶた祭」
お祭りの会場は、青森駅前とその周辺の通り。ねぶたは、8月2~6日は19:10~21:00の夜間に運行し、最終日の7日のみ13:00~15:00の日中に運行されます。また、最終日の夜は花火大会が行われ、6日の表彰式で賞を受賞したねぶたが、打ち上げ花火と一緒に海上を運行します。「花火とねぶたのコラボレーションが楽しめる、青森ならではの花火大会です」(青森ねぶた祭実行委員会事務局・関さん)。
ねぶたの出陣団体数や運行順序、出発位置は日によって異なるので、事前に公式ホームページで情報をチェックしましょう。
「ねぶた祭が最も盛り上がるのは、2~6日の20:30~21:00。多くのねぶたが運行され、出陣団体によっては、約300mにわたって跳人が続くこともあります。大人数の跳人の踊りに、きっと圧倒されますよ」(関さん)。
衣装を着て踊り、跳人としても参加できる「青森ねぶた祭」
青森ねぶた祭は見るだけでなく、跳人(はねと)として参加するという楽しみ方も! 跳人に参加できるのは、2~7日のねぶた運行時。跳人の衣装を着た状態で、スタートを待つ各ねぶたの団体に入ってください。跳人は自由参加なので、事前の登録や当日の受付はありません。
参加する場合はねぶた衣装が必要なので、市内のショッピングセンターで購入、または貸衣装屋で借りるようにしましょう。
「貸衣装屋は着付けもしてくれるので、女性には特におすすめです。貸衣装の料金の目安は¥5,000~¥6,000で、足袋、草履、花笠などは消耗品のため、別途購入が必要となります。
青森ねぶた祭は、参加できるお祭りであることも魅力です。衣装を着て踊り、特別な思い出をつくってみてはいかがでしょう」(関さん)。
ねぶた囃子やねぶたの制作体験ができる、観光施設「ねぶたの家ワ・ラッセ」
ねぶたを楽しむポイントは、青森駅前にある観光施設「ねぶたの家ワ・ラッセ」にも! ここではねぶたの歴史が学べて、ねぶた囃子の体験や、ねぶたの制作体験などもできます。
「ワ・ラッセでねぶた祭に触れてから本番のお祭りを見ると、より一層楽しめると思いますよ」(関さん)。
ねぶたの迫力をもっとそばで感じたいという方は、観覧席を予約してみてはいかがでしょう。予約は、各チケットサイトおよび青森市内の販売店で実施中。満席になる前に、早めの予約がおすすめです。
✔「青森ねぶた祭」、2018年ならではの見どころはココ!
「ねぶた師が半年をかけて仕上げた、渾身の作品をじっくり楽しんでいただければと思います。また、幅9m、奥行7m、高さ5mの大型ねぶたを先導する“扇子持ち”と曳き手による、ダイナミックなねぶたの動きにも注目してくださいね!」(関さん)。
■2:長さ12mの竿燈による演技!金色の稲穂のように提灯が揺らめく「秋田竿燈まつり」/8月3日(金)~6日(月)
厄よけ、みそぎ、五穀豊穣などを願う「秋田竿燈まつり」
竿燈の起源は、江戸時代中期の「ねぶり流し」と呼ばれる、睡魔払いのお盆行事が有力とされています。「ねぶり流し」は、願い事を書いた短冊を飾った笹竹を持って町を練り歩き、最後に川に流す行事で、五穀豊穣や技芸上達を願う、七夕とともに行われていました。
その後、ロウソクが普及すると「ねぶり流し」に灯篭が組み合わさり、厄よけ、みそぎ、五穀豊穣などを願う、現在の竿燈の形ができあがったといわれています。
会場は秋田駅前周辺、「竿燈妙技」と呼ばれる技が競われる「秋田竿燈まつり」
お祭りは秋田市の中心である、秋田駅周辺で開催。大きなもので長さ12mにおよぶ“若”を、差し手が掲げて歩く様子が見られます。
また、お祭りでは「竿燈妙技」と呼ばれる技が競われます。竿燈を高々と豪快にかざし上げる“平手”や、竿燈を腰だけで支える“腰”と呼ばれる大技などがあり、ダイナミックな妙技に圧倒されます。
秋田竿燈まつりでは、毎日異なる竿燈の演技を見ることができます。最終日の8月6日は、最も優れた演者を決める『竿燈妙技会』の優勝者が決定し、その年で一番を飾った演技が披露されます。
真夏の夜空を美しく照らず、「秋田竿燈まつり」の夜本番
夜本番には、会場「竿燈大通り」に約280本の竿燈が集まり、黄金の稲穂のように揺らめいて、真夏の夜空を美しく照らします。流麗な音色が織り成すお囃子と、竿燈の差し手が繰り出す、巧みな技が会場を盛り上げます。
小さな竿燈を上げる体験や、大きな竿燈に触れ、写真撮影も可能
お祭りをもっと楽しみたい方は、竿燈妙技会の会場へ! ここでは、長さ5mの「幼若」と7mの「小若」という、比較的小さな竿燈を体験できるコーナーが設けられています。実際に竿燈を上げて、差し手になって気分を味わってみてはいかがでしょう。
また、演技終了後の「ふれあいの時間」では、大きな竿燈に実際に触れ、写真撮影をすることができます。
美しい竿燈を間近で見たい方は、観覧席の購入がおすすめ
美しい竿燈を間近で良く見たい方は、観覧席の購入がおすすめ。席の予約は前日まで行っており、当日券の販売もあります(※完売の場合は、当日券の販売は行われないので注意)。
✔「秋田竿燈まつり」、2018年ならではの見どころはココ!
大きな竿燈を自在に操る差し手の演技や、繊細ながらも力強さを感じさせるお囃子など、約270年にわたって受け継がれてきた、歴史ある技の数々を楽しめます。また、子どもが竿燈を一生懸命に掲げる姿も見どころです。
■3:日本一のスケールを誇る、由緒正しき豪華絢爛な七夕祭り「仙台七夕まつり」/8月6日(日)~8日(火)
日本一のスケールを誇る七夕まつり「仙台七夕まつり」
仙台藩の祖、伊達政宗公の時代から続く伝統行事「仙台七夕」。昭和2年、地元商家が豪華絢爛な七夕飾りを飾ったことに始まり、今の華やかなお祭りの形になったそう。現在は、毎年200万人を超える観光客が訪れる、日本一のスケールを誇る七夕まつりとして、国内外に広く知られるようになりました。
メイン会場は仙台市中心部と商店街、笹飾りが華やかな「仙台七夕まつり」
仙台七夕まつりの期間中は、仙台市中心部と市内の地域商店街が、巧みな意匠を凝らした華々しい七夕の飾りで彩られます。
「毎年新たに手作りされる笹飾りのデザインは、当日まで企業秘密になっているんですよ。
初日の8月6日には飾りつけ審査が行われ、同日の夕方に地区ごとの受賞作品が発表されます。受賞した飾りには、金賞・銀賞・銅賞のプレートが付けられるので、その年の受賞作品を探してみるのもおすすめです」(仙台七夕まつり協賛会・千葉さん)。
「仙台七夕まつり」の“七つ飾り”とは?
仙台七夕まつりには、“七つ飾り”の存在も欠かせません。“七つ飾り”とは笹に飾る、吹き流し・短冊・紙衣(かみごろも)・折り鶴・巾着・投網・屑篭の7つの飾りのことで、それぞれの飾りに願いが込められています。
「例えば、紙衣は、病や災いの身代わりに捧げられたほか、裁縫の腕が上がるようにという願いが込められており、巾着には、節約・貯蓄の心を養いながら商売繁盛を願う、仙台商人の気持ちが込められています。笹飾りを見上げながら、伝統の七つ飾りを探してみるのも楽しいですよ」(千葉さん)。
「仙台七夕まつり」の休憩は、仙台グルメなどが楽しめる『おまつり広場』へ
ちょっと休憩をしたい時は、『おまつり広場』がおすすめ。「牛タンなど地元の名産品や、地元食材を使った料理を提供する『七夕食堂』、地元プロスポーツチームのチアリーディングやブラスバンド演奏が楽しめる『星のステージ』など、おまつり広場は楽しい企画が目白押しです! 星のステージを見ながら七夕食堂のグルメを楽しめる『お休み処』も人気です」(千葉さん)。
「伊達武将隊」による演武が見られる「仙台城跡ナイトイベント」
メイン会場から少し足を延ばした先の仙台城では、「仙台城跡ナイトイベント」が開催されます。
伊達政宗公の銅像がライトアップされ、仙台の魅力と歴史を伝える集団「伊達武将隊」による演武を観ることができます。七夕まつり期間中、17:00~20:00の開催です。
8月5日(日)の夜には「仙台七夕花火大会」が開催
仙台七夕まつりの前日、8月5日(日)の19:00~20:30には、「仙台七夕花火大会」が行われます。仙台の夜を彩る花火を見た後に、翌日からの仙台七夕まつりを楽しむのもよさそうです。
✔「仙台七夕まつり」、2018年ならではの見どころはココ!
「仙台七夕まつりの見どころは市内を埋め尽くす豪華絢爛な笹飾りですが、今年は仙台市内4か所をめぐるスタンプラリーも一緒に開催されます。参加者を対象に抽選で記念グッズが当たる企画もあるので、今年の七夕まつりは、スタンプラリーのマップを片手に、仙台市内を周遊してくださいね!」(千葉さん)。
活気と熱気に包まれるお祭りは、こちらまでパワーがもらえそうですね! 今年の夏の旅行先が決まっていない方は、ぜひ“東北三大祭り”を見に行く計画を立ててみてはいかがでしょうか?
- TEXT :
- Precious.jp編集部