女性と映画を観にいくのにこれ以上の上物はない、と断言できる映画であります(いや、もちろんオトコひとりでもじゅうぶん楽しめます)。奥様やガールフレンド、娘ちゃんと、お楽しみあれ。この絶望的なまでに暑い夏を2時間忘れられることウケアイです。

全員女性の犯罪ドリームチーム「オーシャン」

オーシャンが再びスクリーンに帰ってきた!

『オーシャンズ8』© 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

なにせ、サンドラ・ブロック(『ゼロ・グラビティ』でアカデミー賞最優秀主演女優賞候補。『デンジャラス・ビューティー』シリーズのお茶目ぶりもこのヒトのストロングポイント)を親玉にする女性ばかり8人の犯罪ドリームチーム。それが、あのメットガラ(ニューヨークはメトロポリタン美術館で行われる世界でもっともラグジュアリーでエクスクルーシブなファッションの祭典)に登場する1億5000万ドルの宝石の強奪に挑むという物語なのだから!

ターゲットはアン・ハサウェイ!?

『オーシャンズ8』© 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

女性からの好感度バツグンのブロックに加え、ひたすらスタイルがよく、美し過ぎるアン・ハサウエイ(『レ・ミゼラブル』でアカデミー賞、ゴールデングローブ賞受賞など、押しも押されぬハリウッドの主演クラス女優)、クールな演技派ケイト・ブランシェット(『ブルージャスミン』『キャロル』など主演多数。好みですねえ)、キュートなリアーナ(世界中で6千万枚のアルバムと2億1500万のデジタルトラックを売り上げた、デジタルアーティスト)の4人が揃えば、女性なら、そりゃあなた、そのうちの誰かひとりぐらい〈ちょっと観てみたいかな〉となるわけですよ。まさにキャスティングの妙ですな。

また、犯罪映画ではあるが、銃弾が飛び交うことも、死体の山が築かれることもない。そのあたりも女性客は歓迎するはず。そのかわり、盗みのトリック&テクニックは実によく練られていて、そこは『スティング』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』などハリウッドが得意とするコン・ムービー(サギ師イカサマ師映画)の伝統がしっかり息づいていると思いましたね。演出も正統的で、意味不明な場面転換などでてきませんからご安心を。非常に分かりやすくできた映画で、ぼくは、数年後もう一度観てもいいなと思いましたもの。

ただ……メンプレを愛読する男性諸氏には、やっぱり本家本元、1960年のオリジナル『オーシャンと十一人の仲間』(ルイス・マイルストーン監督)も押さえておいてほしい。

オーシャン役はあのフランク・シナトラ。彼がキャスティングするラスベガスのカジノ強盗グループは、第二次大戦の兵隊仲間たちで、その後リメイクされたソーダ―バーグ×ジョージ・クルーニー版よりもずっとコミカルで、気楽に楽しめます。

ディーン・マーティン、サミー・デイビス・ジュニア、ピーター・ローフォード、ジョーイ・ビショップたちがメンバーのそのグループは、映画の外では”Rat Pack”、つまり「ネズミ軍団」と呼ばれるシナトラをリーダーにした、歌、モノマネ、ギャグなどをアドリブ中心で演るの芸達者の集まりでもあって、1960年代アメリカの大人のエンターテインメントを代表するといっても過言ではない存在感を示していたのですよ。粋でしたもん。

ネズミ軍団というと、なぜまたそんな不衛生な生き物の名前をつけるんだと訝しがる方もいらっしゃるでしょう。こいつはね、彼らが常に真っ黒なタキシードを着ていたこと、それに酒やギャンブル、女性関係などいつでも悪さをしている連中といった意味も含まれるのね。

元祖『オーシャン』では、60年代最高峰のスーツスタイルが楽しめるところがオススメの最大の理由。ぼくが無地のグレーやソリッドカラーのタイが好きになったのは、実はこの映画がキッカケなんです。ケネディ家との繋がりもある英国人ピーター・ローフォードの着こなしなんて実にいいわけ(実生活では、シナトラと結んだが故の暗部もあるのだが……)。

 
『オーシャンズ8』
8月10日(金)全国公開
配給:ワーナー・ブラザース映画(C) 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC