今年、カーリング女子日本代表が試合の合間に食べていた「赤いサイロ」というチーズケーキが一躍、話題となりました。見ていて「思わず食べたくなった」、という人は多いのではないでしょうか?

チーズケーキはおやつとしてはもちろん、差し入れにもちょうどよく、ふんわりした舌ざわりのスフレタイプや、濃厚なベイクドタイプなどさまざまあるファンの多いスイーツ。そんなポピュラーなチーズケーキですが、最もおいしく味わうにはいくつかの条件があるのです!

今回、チーズプロフェッショナルの小笠原由貴さんに、おいしいチーズケーキの選び方や、食べ方アレンジなど、チーズケーキのおいしい食べ方の条件についてのお話を伺いました。

どんな「チーズケーキ」でも最高においしく食べるための8つの条件

■1:チーズは「ヨーロッパの伝統的なもの」を選ぶ

品質が厳格に守られているチーズが一番!

チーズケーキのキモとなるのは、やはりチーズ。どんなチーズを使っているケーキがおいしいのでしょうか? 小笠原さんは、伝統的につくられているものがいいと言います。

「フランス産のカマンベール、ブリ・ド・モー、コンテ、フロマージュ・ブラン。イタリア産ゴルゴンゾーラ、パルミジャーノ・レッジャーノ、リコッタ。イギリス産チェダー。デンマーク産クリームチーズなどがいいと思います。

これらのヨーロッパで伝統的につくられているチーズは、動物の生育環境や餌、原料乳の鮮度や質、製法や製品となったチーズの品質が厳格に守られているので、安心感がありますし、味もおいしいです。

また、国内のチーズ工房で職人さんたちがつくっているチーズも最近、ぐんぐんおいしくなっており、そのレベルの高さにびっくりします。どんな環境でどんな人がつくっているかが見えやすいのも、安心、安全、おいしい、という点で、国産のメリットです。それにおいしさを追求して真摯に取り組んでいる姿を見ると、購入して応援したくなりますよね」(小笠原さん)

ヨーロッパで伝統的な製法でつくられているチーズか、国内のチーズ工房で丁寧につくられたチーズを使用しているチーズケーキであれば、間違いなくおいしくいただけそうです。

■2:ベイクドチーズケーキは「冷凍していないもの」を選ぶ

チーズケーキはベイクドチーズケーキ、シフォンケーキ、レアチーズケーキなど、いくつかの種類があります。それぞれのおいしさの決め手となるポイントは、あるのでしょうか? この疑問をぶつけると、冷凍していないかどうかが重要だそうです。

ベイクドチーズケーキでしたら、みっちりと生地が詰まっていて、どっしりしているもの。冷凍していないというのもポイントです。というのも、冷凍して解凍したものは、水分がにじみ出てきているものがあるからです。そして、味の余韻が長いものがよいです。ベタッとした油脂感が舌に残るのはあまりおいしくないですね。

シフォンケーキでしたら、口どけの良さと鼻から抜けるチーズの風味がポイントレアチーズケーキでしたら、同じく口どけの良さ、そしてチーズの風味と甘味、酸味のバランスです。

すべてに共通するのは、チーズの風味がよく、材料の質のよさを感じるもの、そして体馴染みのよさです。おいしく体によいものは、体にスッと入っていく感じでもたれず、体が喜んで吸収しようとしている感覚があると思います」(小笠原さん)

これらは、一度食べてから判断するポイントになりますので、これらのポイントを押さえたチーズケーキと巡り合えたら、いいチーズケーキに出合えたということになりそうです。

■3:店頭や公式サイトの商品説明で「原材料」を確認する

チーズケーキは、お店で食べることも多いと思います。「この店のチーズケーキはおいしそうだ」と判断する基準のようなものは、あるんでしょうか? 

「まずは、原材料を確認したいです。材料がシンプルかどうか、余分な添加物が含まれていないか。きちんとしたものを使っていれば、余計なものを加える必要がないので。また、店頭や公式サイトの商品説明でどんな材料を使っているか紹介されていれば、それも参考になると思います。

店構えや雰囲気も重要です。チーズケーキに関しては、ちょっとクラシックで重厚感のある店構えのお店の方が、私の場合は好みに合ったものに出合えるな…と感じています。

そして、ケーキの並べ方がそろっていてきれいなところは、よいお店が多いです。仕事の丁寧さ、きれいさが、ディスプレイにも反映されていると思います」(小笠原さん)

お店で使っている原材料がよいものか判断し、店構えやディスプレーを確認することで、おいしいチーズケーキに出合える確率があがりそうです。さらに、おすすめのお店も教えていただきました。

『ゴッサムグリル』(東京・恵比寿)のNYチーズケーキは、ぎゅ~っと詰まってずっしり濃厚。口どけよく、風味もよく、後味までずっとおいしいです。いい材料を使ってきちんとつくっていることを感じさせる忘れられない味で、さすがはVIRON系列のお店です。

『レゾルカ』(東京・銀座)のゴルゴンゾーラチーズケーキは、ブルーチーズが効いている大人味です。ワインと合わせて夜中に食べたいチーズケーキ。蜂蜜が付いているのもうれしいポイントです。

『弓削牧場』(神戸・裏六甲)の自家製生チーズのシフォンケーキは、完全放牧牛のミルクでつくったフレッシュチーズと、平飼い卵でつくったシフォンケーキ。瑞々しいくらいにしっとりしていて優しい風味で、体にすっと馴染むような素材のよさを感じます。

『レティシア』(東京・祐天寺)の塩チーズケーキは、甘じょっぱい味がクセになるチーズケーキですね。お酒と合わせてもおいしいと思います」(小笠原さん)

通販もやっているので、専門家が太鼓判を押すほど、おいしいチーズケーキを食べたい人はぜひチェックしてみましょう。

■4:レアチーズやスフレにはコンフィチュール、ブルーチーズにはいちじくジャム、ベイクドには生クリームを合わせる

ベリー類が合うのはレアチーズケーキやスフレチーズケーキ

チーズケーキはシンプルに、そのままでいただくのももちろんおいしいですが、生クリームやフルーツが乗っている場合もありますよね。チーズケーキに添えるもの、合わせる食材として、それぞれに一番相性がいいものがあるそうです。

「レアチーズやスフレタイプには、フルーツのコンフィチュールが合います。中でもブルーベリーやラズベリー等のベリー類や柑橘系がいいと思います。ジャムではなく、果実のフレッシュ感が残って食べ口の軽いコンフィチュールがベターです。

ブルーチーズを使ったチーズケーキには、いちじくジャムか蜂蜜。こちらはコンフィチュールより凝縮感のあるジャムの方が合います。おいしい塩をほんの少しふっても味が引き立ち、食べ飽きませんよ。ベイクドチーズケーキには、6分立ての無糖生クリームがおすすめ。クリームの中にラムレーズンを入れても美味です」(小笠原さん)

チーズケーキの種類によって、合うものはさまざま。家でいただくときはこれらの食材を合わせて食べるのもいいですし、お店でいただくときには、これらの食材が添えてあったら、よいお店と言えるかもしれません!

■5:ニュータイプでは黒いバスクチーズケーキやザル入りチーズケーキを選ぶ

バータイプのチーズケーキやカップに入ったチーズケーキなど、今やチーズケーキもどんどん新しいタイプが登場しています。そんなニュータイプチーズケーキで、特においしいものはあるのでしょうか。おすすめのお店を挙げていただきました。

『GAZTA』(東京・白金)のバスクチーズケーキは、『焦げてる?』と思うくらい、しっかりと焼かれた表面の焼き色がインパクト大です。味わいはチーズの風味がしっかりとしていて、ワインともよく合う本格派。なめらかさ、口どけのよさも秀逸です。

『高千穂牧場』(宮崎・都城)や『銀のぶどう』(東京・丸の内ほか)の、ザル入りチーズケーキもおすすめです。ザル入りという見た目は、手土産にすると喜ばれます。やわらかくふんわりとした食感や軽さと口どけの良さも魅力ですね」(小笠原さん)

スペインのバスク地方で生まれた黒いチーズケーキこと、バスクチーズケーキの専門店『GAZTA』は、7月に東京・白金に上陸したことで話題に。今後もこういった新しいチーズケーキが増えていきそうなので、要チェックですね。

■6:チーズケーキの「底に生地があるもの」を選ぶ

タルトはおいしさを格上げする存在

チーズケーキには、底にタルト生地がついているものと、そうでないものがあると思います。どの組み合わせが最高なのかを聞くと、実はないものよりあるもののほうが、おいしくいただけるのだとか。

「個人的には、ニューヨークタイプのベイクドチーズケーキに、砕いたグラハムクラッカー+バターの生地を敷きつめたものがいちばん好きです。底の生地は、ないよりあったほうが、食感と味のよいアクセントとなって、単調さを防ぎつつ、よりおいしく完食できます」(小笠原さん)

チーズケーキはものによってはかなり濃厚で、ともすればくどいとも感じられてしまうことも。底にタルト生地があることで、いいアクセントになって食べやすくなるんですね。

■7:ベイクドは「常温に戻して」から、スフレは「軽くレンチン」してから食べる

では、チーズケーキをテイクアウトして家で食べるときの食べ方としては、どういうふうに食べるのが一番おいしく味わえるのでしょうか?

「ぎゅっと詰まった重厚感のあるチーズケーキは、スプーンやフォークで少しずつ取って、口の中で溶かしながら味わうのがいいと思います。私は、合間にコーヒーやワインをちびちびと飲みながら食べるのが好きです。

また、ベイクドタイプは常温に戻してからいただいたほうが、チーズの風味が立つので、チーズ好きにはおすすめです。スフレタイプはレンジで軽く温め、カットしたほわほわケーキを手づかみで大口を開けて、バクッといただくのが禁断の幸せ! 人が見ていないときに、家でこっそりやってみてください(笑)」(小笠原さん)

これもチーズケーキの種類によって、おいしくいただける食べ方が変わってくるのですね。それぞれのタイプに合わせて、ぜひ参考にしてみてください。

■8:ベイクドにはブラックコーヒー、レアチーズにはレモンティーかスパークリングワイン、スフレには紅茶かシャンパンを合わせる

ベイクドチーズケーキはドリップコーヒーがよく合う

チーズケーキをちょこちょこ食べながら合間に飲み物を、というお話もありましたが、それぞれの種類のチーズケーキで、合う飲み物は何かも教えていただきました。

「ベイクドチーズケーキには、ブラックコーヒーが合います。それもイタリアンコーヒーではなく、ドリップコーヒーがベター。ベイクドチーズケーキには、コーヒーくらいの力強さがあったほうが、バランスが取りやすいです。

どっしり詰まったニューヨークタイプには、フルボディの赤ワインでもいいと思います。チーズの風味が濃厚なので、チーズにとワインを合わせる感覚でも、バランスが取れるんです。樽香(たるこう)を効かせたものも合います。ベイクドチーズケーキならではのロースト香、トースト香は、ワインの樽香と同系列なので、違和感なく合わせられます。

チェダーチーズを使った重厚なものには、ポルト酒やブランデーでもいいですね。濃厚な味わいのチェダーチーズは、もともとポルト酒、ブランデー、ウイスキーなどの、度数の高いしっかりとしたお酒と合わせることが多いので、そのチーズを使った重厚感のあるケーキも合わせやすいんです。

ブルーチーズを使ったベイクドチーズケーキには、赤ワインが合います。ケーキの重さによって、軽め~重厚感のある赤ワインのいずれでも合わせられますが、酸味があまりないもののほうがよいです。エスプレッソでも。ブルーチーズに赤ワインを合わせる感覚ですね。ブルーチーズは塩味が強めなので、お酒と合わせやすいのです。

レアチーズケーキには、レモンティーやシャンパーニュなどのスパークリングワインを。レアチーズケーキは、レモンやヨーグルトの酸味のあるものが多いので、酸味という共通項でレモンティーを合わせたいです。スパークリングワインは、レアチーズケーキの繊細さや口どけのよさが、シュワシュワとした泡によく合うので、いいと思います。

スフレタイプのチーズケーキには、紅茶またはセック~ドゥミセックくらいのスパークリングワインを。ティータイムにいただきたいスフレタイプの軽い食感は、ダージリンのストレートなどの軽やかさが、バランスぴったり。

また、しゅわしゅわととけていくような食感も、スパークリングワインの泡と相乗効果で、おいしくいただけます。中でもちょっと甘めのワインの方が、ケーキとの一体感があってよく合います」(小笠原さん)

チーズケーキの種類によって、いろいろな飲み物を合わせて楽しめそうですね。ぜひ、それぞれ合わせてみて、その相性や味の違いも楽しんでみてください。

ひと口にチーズケーキといっても、今やどんどん新しいタイプが登場しており、たくさんの種類があります。今回紹介した条件を思い出して、どんなチーズケーキでも最高においしく召し上がってくださいね!

小笠原由貴さん
チーズプロフェッショナル
(おがさわら ゆき)学生時代からチーズに興味を持ち、多種多様なチーズを食べ比べ、書籍で知識を得る。さらにナチュラルチーズ専門店で働き、チーズの味わい、知識等を学ぶ。現在は、食に関する幅広い知識・技術を活用し、恵比寿でパンと料理の教室「la nature(ラ・ナチュール)」を主宰。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、チーズプロフェッショナル 、フランスチーズ鑑評騎士の会シュヴァリエ。
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WRITING :
Mami Azuma
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