皇室御用達、前原光榮商店の「日傘」とは?
実用性と趣向性を兼ね備えた、前原光榮(まえはらこうえい)商店の日傘。道具としての用を極めながら、装いとしての美も追求している、この傘の魅力に迫ります。

長く使ってこそわかる、道具と嗜好品の絶妙なバランス
皇室御用達の傘で知られる「前原光榮商店」。傘の量産化が進み、安価な傘が出回るなか、あえて「差すのが楽しくなるような、高品質で長く使える傘を」と、前原光榮氏が1948年に創業。絹の生地にろうけつ染めで草木を描いた傘など、手のかかる製法でコスト度外視、少量ながら品質にこだわった手づくりの傘は、工芸品として注目され、コレクターにも人気だったとか。
「この日傘は、当時のデザインを引き継いだもの。日差しを除ける道具としての役割を果たしながら、閉じても開いても美しいデザインはさすがです。特に、閉じた状態で輪っかの手元(持ち手)を、ハンドバッグのように手に持ってチャーミングに決まるのは、趣向性の高いデザインならでは」とは、スタイリストのチズさん。
生地、傘骨(かさぼね)、手元、加工(生地の断裁と縫製、組み立て)と、日本の傘づくりが始まった当初から続く分業制とその工程、100以上。すべてが高い技術をもつ、職人による手作業です。
「細部まで妥協しないていねいなつくりは、長く使ってこそ実感できるもの。これも名品の条件です」(チズさん)
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ころんとした輪っかの手元は楓の一刀彫
前原光榮商店の日傘の象徴ともいえる、パラソルのような輪っかの持ち手。素材は使うほどにツヤと味が出る楓。素材、形ともに、好みのパーツを選ぶこともできるが、昔から変わらないこの形が一番人気。オレンジ色の露先も当時の形を維持、彩りを添えています。
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強度と美しさにこだわった10本骨
雨傘、日傘とも一般的な傘骨は8本だが、前原光榮商店の雨傘は16本、日傘は10本が基本。風にも強いという強度面のメリットはもちろん、開いたときのシルエットの美しさに驚きます。
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開いた時にわかる円形に近いフォルム
ざっくりとした麻のような風合いの厚手の生地は、綿の番手の太い糸を使用。定番のオフホワイト、ブラックのほか、鮮やかなイエローやレッド、シックなベージュやグレーなど全22色。
※掲載した商品の価格は税抜です。
問い合わせ先
- 前原光榮商店 TEL:03-3863-4617
- PHOTO :
- 赤尾昌則