健康意識の高い人たちに人気のスポーツといえば、ランニング。この秋から始めてみたいと検討中の人も多いのでは?
ランニングを始めるに当たって押さえておきたいのは、なんと言っても周囲の人に対するマナーです。細かいルールがなく、誰でも気軽に参入できるランニングにおいては、我が物顔で公道を走り、知らずに周囲に迷惑をかけてしまうケースがあとを絶ちません。自分が走ることばかりに夢中になってしまうと、思わぬマナー違反やトラブルにつながる恐れが……。
そこで、マナー講師の金森たかこさんから、ランニング中のNGマナーを教えていただきました。
走っているときに意外とやりがちなNGマナー7選
■1:ランニング中に歩行者を猛スピードで追い越すのはNG
ランニング中のマナーとして、まず忘れてはならないのは、歩行者への心配り。
ランナーズハイで自分の世界に浸りきってしまい、猛スピードで歩行者の真横を追い越すような行為は控えましょう。歩行者の立場からすれば、自分の脇をいきなり駆け抜けられると非常に怖い思いをします。歩行者を追い越す際は、なるべく間隔を空けたり、スピードを落としたりしましょう。
■2:他のランナーを無言で追い越すのはNG
対歩行者だけでなく、ランナー同士で気をけるべきマナーとしては、どのような点が挙げられるでしょうか?
「ランナー同士では、お互いに声をかけ合うのが大事です。例えば、追い抜く際には『すみません、右側を失礼します』、そして追い抜いたあとに『ありがとうございます』の一言を。無言のまま追い越そうとすると、接触事故につながる恐れがありますし、お互いに気持ちよく走るためにも声かけマナーを実践しましょう」(金森さん)
無言で追い抜かされるのは気分的にもよくないもの。恥ずかしがらずに追い越し時には声をかけるようにしましょう。
■3:商店街のアーケードを全力疾走するのはNG
商店街のアーケードは、雨の日のランニングコースとして人気。ここでランナーが注意すべき点としては何があるのでしょうか?
「商店街のアーケードは、時間帯によって様相が変わります。日中の人通りの多い時間帯には歩行者の邪魔にならないように注意しましょう。他方、夜間の21時以降は、人通りは少なくなりますが、反面、通行規制が解かれて、車の通行量が増える傾向にあります。夜間は夜間で、ドライバーの迷惑にならないように、周囲に十分に目を配りしましょう」(金森さん)
商店街のアーケードは本来は走行目的の場でありません。どの時間帯に走るにしても、「使わせていただく」という意識が大切なのかもしれませんね。
■4:夜間や早朝に黒ずくめの格好で走るのはNG
夜間のランニングでは、必ず明るい色のウエアや反射具を着用すること。暗闇にまぎれる格好で走っては自身が事故に遭いやすいだけでなく、他の歩行者やランナーにも不安を与えてしまう恐れがあります。では、明るい時間帯であれば、暗い色のウエアで反射具をつけなくてもいいかというと、そうとは限りません。
「早朝の住宅街などでは、ひと目でランナーだとわかるファッションで走るのが望ましいでしょう。人気のない場所で、突然、黒ずくめで息の荒いランナーに遭遇すると、ひとり歩きの女性などはびっくりしてしまうかもしれません。たとえランナーが女性であっても、ぱっと見た目では判断がつかないこともあります。不審者ではなくランナーだと瞬時にわかるように、夜間はもちろん早朝でも目立つウエアや反射具を着用するほうがよいでしょう」(金森さん)
自他の身を守るだけでなく、周りの人をヒヤッとさせないためにも、黒装束で全力疾走するのはやめましょう。
■5:夜間や早朝に住宅街でおしゃべりしながら走るのはNG
夜間や早朝のランニングで、ほかにも気をつけるべき点はあるでしょうか?
「仲間と一緒に住宅街を走る場合は、話し声に注意しましょう。大声で話しているつもりはなくても、閑静な住宅街では話し声が意外と室内まで響きます。それが毎朝、毎晩となると大迷惑になってしまいますので、おしゃべりは控えましょう」(金森さん)
ひとりで走っている場合でも、足音やイヤホンからの音漏れが、うるさいこともあります。夜間や早朝の住宅街のランニングは、なるべく静かに行いましょう。
■6:信号待ち中に屈伸したり飛び跳ねたりするのはNG
ランニング中に信号無視をするのはマナー以前の交通ルール違反ですが、信号待ちの際には、どのように振る舞うのがマナー違反に当たるのでしょうか?
「信号待ちで人が混み合っているところで、大きな動きで屈伸したり、ぴょんぴょん飛び跳ねたりすると、ぶつかりそうで近くの人に不快な思いをさせる恐れがあります。信号待ち中に屈伸やジャンプをするのであれば、人混みから少し離れて、十分なスペースを確保して行いましょう」(金森さん)
わざわざ人口密度の高いところで通常の歩行者とは異なるパターンの動きをするのは、周囲を困惑させるもと。急に立ち止まりたくない場合は、その場で控えめに足踏みするか、人混みから離れた地点でアクションするようにしましょう。
■7:マナーを教えずに子どもを公道で走らせるのはNG
小学生のお子さんのいるかたは、自身だけでなく子どものランニングマナーにも注意しなければなりません。
「地区や小学校の駅伝大会などに向けて、お子さんがランニングする姿を見かけることもあります。子どもは集団で団子になって走ったり、コースを逆走したりして、周囲を冷や冷やさせることもしばしば。この責任は、子どもではなく、注意しない大人の側にあると思います。
ただ勝ち負けだけにこだわるのではなく、スポーツはマナーを教えるよい機会です。お子さんの将来のためにも、一列で周囲を気遣いながら走るなど、マナーをしっかり身につけさせましょう」(金森さん)
事前にしっかり教えても、子どもはマナーを守れるとは限りません。もし、公道で自分の子どもがマナー違反をしてしまったら、毅然とした態度で叱ったり、迷惑をかけた人に対して、子どもと一緒に謝ったりするなど、親が子どものランニング中の行動について責任をもちましょう。
ランニングはストレス解消にもなりますが、自分の心無い振る舞いのせいで、周囲の人にストレスを与えてしまっては元も子もありませんよね。これからランニングを始める人だけでなく、すでにランニング習慣のある人も、ぜひ今回ご紹介したマナー違反を押さえておきましょう。
ウイズ株式会社
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美