教科書通りの食べ方マナーでは、なかなか対応できない料理が配されたら、「きれいに食べるにはどうすればいいの?」と一瞬、焦ってしまうことはありませんか?

そこで意外と知らない料理の食べ方マナーをお届けします。今回は、「ハンバーガーとサイドメニュー」の食べ方マナーを、ヒロコマナーグループのマナー講師の方に教わります。

3種のハンバーガーの食べ方マナー

まずはハンバーガーの種類別の食べ方マナーから。それぞれの美しい食べ方マナーや、よくある疑問について、ヒロコマナーグループ代表の西出ひろ子さんと、同グループのマナーコンサルタント川道映里さんに解説・回答いただきました。ひとつずつ確認していきましょう!

■1:重なって縦に長いハンバーガーの食べ方

ボリューミーなハンバーガー
重なって縦に長いタイプの食べ方マナーは?
—— 縦長でものすごく食べにくい!基本的な食べ方は?
「紙などに包まれているハンバーガーは、自分の口のサイズに合うように、あらかじめハンバーガーを上からそっと潰しておきます。そのとき、強く力を入れてハンバーガーを潰すと、ソースや肉汁がこぼれてしまうので注意しましょう。
レストランでは、ナイフとフォークが一緒に出される場合があります。『ナイフとフォークを使ってハンバーガーを食べてもいいですよ』というお店側の意向と配慮ですので、ナイフとフォークを使って食べても構いません。しっかりフォークで刺して、左側からひと口分ずつ切って食べましょう」
—— 途中で崩れてきたり、液だれしてきたりしたときの対処法は? 
「紙などに包まれているハンバーガーは、包み紙が、液だれしてきた場合の受け皿になってくれます。その際、周囲から見える側の包み紙を少し立てると、相手から自分の口元が見えないのでおすすめです。
ナイフとフォークが用意されている場合、ハンバーガーの層が多いのであれば、層をふたつに分けてそれぞれを切っていただくという方法もあります。上の層と下の層に分けてそれぞれをいただくということです。切り分けしやすい具材のところに横からナイフを入れ、フォークで脇を押さえながら持ち上げ、上のバンズ(パン)が下にくるように、ひっくり返してお皿の中、手前に置きます。これにより具材でお皿を汚さずに済みます。ナイフとフォークで左側からひと口大に切って食べていけば大丈夫です。こうすることでとてもスマートに食べることができます。
その他、お店にナプキンがある場合は、洋服が汚れないよう膝にかけておくと安心ですね。お店にナプキンがない場合は、ご自分のハンカチ(できれば大判)を代用してもいいでしょう」
—— 食べやすいようにぎゅっと潰してもいいの? 
「基本的に、ハンバーガーの上からそっと潰しても構いません。最近は、口を開けて食べることができないくらい人気の縦長のハンバーガーがあります。その高さにもよりますが、具材やソースがなるべくはみ出さないように“ゆっくり”潰してみましょう。」

■2:幅が広いハンバーガーの食べ方

ハンバーガーを食べる男性
幅が広いハンバーガーの食べ方マナーは?
—— 幅が広いハンバーガーは男性用?そもそも頼むべきではない?
「男性女性関係なく、彩り豊かな野菜などを挟んだ具だくさんのハンバーガーも、おいしくいただきましょう。しかし、まだ付き合って日の浅いお相手とのデートなどで、恥ずかしいと思い場合は、注文しないほうがいいですね。気心知れた女子同士や、ひとりのときには、思う存分大口を開けて食べても良いと思います。そのときの状況や相手に応じて、注文するかしないか、自身で選択するのが、エレガントな女性です。エレガントとは、もともとの語源は『選ぶ』という意味です」
—— かぶりつくとはずかしい!できるだけ上品に食べるには?
「そもそも、マナーは絶対そうしなければならないといった決まりごとはありません。同じテーブルの人がかぶりついて食べているのであれば、自分も相手と同じように『おいしいね』と言いながらかぶりついて食べるのが本来のマナーといえます。テーブルマナーで大切なことは、その場にいる人たちとおいしく料理を楽しみながら食べることですから。
もし、かぶりつくことが気になる場合は、先述のとおり、相手から自分の口元が見えないように、包み紙を立ててみましょう。そうすることで、相手への配慮も感じさせ、上品にみえます。さらに、バンズ(パンの部分)の端をしっかりと押さえることで、具材がこぼれにくくなります」
—— カットしてもいいの?
「ナイフやフォークが出された場合は、それらを使用して『カットして食べてもいいですよ』というお店側の意向や配慮ですので、カットしても構いません。ナイフだけであれば、左手で、フォークがあればフォークでバンズをしっかりと押さえた状態で、右手に持っているナイフを使ってハンバーガーを上から二等分にカットします。食べやすく二等分にした後は、さらに食べやすようにカットして食べても良いですし、両手で持って食べても大丈夫です」

■3:自分ではさむタイプのハンバガーの食べ方

トレイにのったハンバーガーの材料
自分ではさむタイプのハンバガーの食べ方マナーは?
—— 自分で具を重ねるときはフォークを使うの?
「フォークがあれば、それを使ってもいいですよ、というお店側の配慮でありサインですから、使用して構いません。もちろん、手を洗う、もしくは手を拭くのであれば、手で行ってもマナー違反とは言えません。ただし、手で行うことに抵抗のある人で、フォークがない場合は、お店の人に『恐れ入りますが、フォークを貸していただけますか』とお願いすると良いですね。できれば、ナイフもあったほうがやりやすいでしょう」
—— 食べやすいようにぎゅっと潰してもいいの? 
「はい、こちらも食べやすいように上から軽く潰しても構いません」

■番外編: ライスバーガーの食べ方

ライスバーガー
ライスバーガーの食べ方マナーは?
—— 手で直接持っていいの?それともフォークで食べるの?
「こちらも先述同様に、フォークがあればフォークを使って食べても良いというサインです。ただ、フォークだけでは食べにくいと思いますので、ナイフも貸してもらえると良いですね。その他、同じテーブルの人が手で持って食べていれば、同様に手で持って食べるのがマナーといえます。マナーは、周囲の人に合わせることもそのひとつなのです。もしも、手を汚したら、紙ナプキンでふきましょう」
—— 食べながら崩れてきたらどうする?
「紙に包まれている状態で、手で持っていて崩れてきた場合は、紙の中で、整え直します。紙に包まれていない場合は、お皿の上に戻し、ナイフとフォークで食べます。ナイフとフォークがない場合は、お店の人にお願いをして貸してもらいましょう」

意外と知らない!? サイドメニューの食べ方マナー

続いて、ハンバーガーでよく一緒に提供されるサイドメニューについても食べ方マナーを心得ておきましょう。

■1:フライドポテト・オニオンリング

フライドポテト
フライドポテト・オニオンリングの食べ方マナーは?
—— ケチャップなどをつけて食べるときのマナーは?
「自分のお皿に、自分が使用する分のみを入れます。複数人でケチャップなどを共有するときは、一番目上の人から順に使用していきます。もし、自分が目上であれば『お先に』とひとこと伝えてから、自分のお皿に取ります。そうでない場合は、自分の番がくるまで待ちます。つけるときは、基本的に一度きりにします。一度食べたものを再び共有のケチャップにつけることを不快に感じる人もいるので注意しましょう。また、食べかけのものは、お皿に戻さず持ったまま食べ切るのがマナーですし、見た目も美しくスマートです」

■2:フライドチキンなどのフィンガーフード

チキンナゲット
フライドチキンなどのフィンガーフードの食べ方マナーは?
—— 手づかみでOK?
「はい。ナイフやフォークがついてない場合は、基本的に手づかみで構いません」
—— ひと口で食べるべき?
「ひと口で食べられるものは、食べて構いません。ナイフとフォークがある場合は、左側からひと口大に切って食べましょう」

ハンバーガーやその他のサイドメニューの食べ方は、普段、人には聞けないものです。でも、いざかしこまって食べるときには戸惑ってしまうこともありますよね。ぜひ今回のことをヒントにして、いざというときにも美しくいただきましょう。

西出ひろ子氏
西出ひろ子さん
マナー講師・マナーコンサルタント
(にしで ひろこ)マナーは相手の立場にたつ『相手ファースト』という真心マナー®とおもてなし礼法®を伝える第一人者。和食、洋食などの食べ方のマナーの書籍やテレビ出演など多数。企業での人財育成やコンサルティングをはじめ、NHK大河ドラマや映画などで、多くの俳優や女優たちにマナー指導もおこなうマナー界のカリスマ。海外でも、プロトコル、エチケット、日本のマナーなどを指導している。その教えを学びにすでにマナー講師として活躍している人々などが世界中から訪れ、マナー講師の育成指導もおこなっている。近年は、マナー評論家・マナー解説者としてのメディア取材や出演依頼も多数。近著に『運を味方につけるプリンセスマナー』(河出書房新社)など、著書・監修本は国内外で80冊以上。
http://www.hirokomanner-group.com
川道映里氏
川道映里さん
マナーコンサルタント
ヒロコマナーグループ 副代表、ウイズ株式会社 副社長、一般社団法人マナー教育推進協会代表理事副会長
(かわみち えり)結婚を機に四国地方を中心にマナー講師として活動。その後、マナー界のカリスマ・西出ひろ子氏の提唱する真のマナー論に感銘を受け、西出ひろ子氏に師事。同氏のもとで、コンサルタントの資格を習得後、マナーコンサルタントおよびビジネスマナー講師として、行政機関大学などで「ビジネスマナー」「営業・接客・接遇」「テーブルマナー」「面接対策」等を指導。2018年5月に青春出版社から『10歳までに身につけたい一生困らない子どものマナー』を西出ひろ子氏と共著にて初出版。
個人向け講座 ファストマナースクール
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
石原亜香利
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