秋といえば栗ご飯がおいしい季節ですね。ぜひ手づくりで楽しみたいですが、自分で皮をむくのはちょっと大変なイメージが。簡略化する手づくりの方法はいくつもありますが、やはり最高級の栗を入手して、手の込んだ味わいを追求したいものです。

そこで今回は、「最高においしい栗ご飯」をつくる条件を探ってみました。また、おいしい栗ご飯のつくり方や栗の皮を簡単にむく方法などを、高級栗といわれる「丹波栗」の名産地の方に教えていただきました。今年の秋は、ぜひ最高レベルの栗ご飯を手づくりしてみましょう。

「最高においしい栗ご飯」をつくる3つの条件

最高においしい栗ご飯には、どのような条件があるのでしょうか。

それを知るには、栗の名産地に聞くのが一番! ということで、高級栗で知られる「丹波栗」の名産地である兵庫県篠山市に問い合わせてみました。農都創造部 農都政策課の岸野良広さんによると、おいしい栗ご飯の条件には「栗の品種」、「栗の甘みが最もおいしく引き出される時期」、「調理法」の3つにあるのだそう。詳しく見ていきましょう。

■1:栗ごはんによく合う品種を選ぶ

栗ごはんによく合う品種を選ぶ
栗ごはんによく合う品種を選ぶ

最高においしい栗ご飯には、どの栗を選ぶといいのでしょうか。

「栗と言えば『丹波栗』と言われるように、日本の栗のルーツを探ると『丹波栗』に行きつきます。果肉は黄色で甘みと香気が多く、風味が高いのが特徴です。また形が他の品種に比べて扁平(へんぺい/ひらたい)です。そして、古い品種のため風で落下しやすく、収穫量も少ないため栽培が難しい品種です。

その丹波栗の中でも、甘み(糖度)が高く風味があるのが『銀寄(ぎんよせ)』という品種で、栗ご飯によく合います。収穫直後に冷蔵保存することで甘みが増します。収穫時期は9月下旬から10月上旬です」

銀寄せを手に入れるには、どのような方法があるのでしょうか。

「他の品種と混ざっている栗は『くり』と表示され販売されています。ですので『銀寄』と表示されている栗を果物店や通販店などで見つけてみてください」

■2:栗の甘みが最もおいしく引き出される時期を逃さない

栗の甘みが最もおいしく引き出される時期を逃さない
栗の甘みが最もおいしく引き出される時期を逃さない

おいしい栗を手に入れたら、今度はその栗をいただく時期を調整することで、さらにおいしさが増すのだそう。

「拾ってすぐの栗“生栗”は、虫の卵や幼虫が中にいることが多く、くん蒸などの害虫対策がされていない栗では購入後、すぐに温湯(おんとう)処理をするか0℃程度の冷蔵庫で貯蔵します。また、冷蔵庫で4~6週間冷蔵すると糖度が高くなり、おいしい甘みを持った栗となります」

そこで、栗を入手したら、甘みを引き出すためにやっておきたい自宅冷蔵庫での短期貯蔵の方法を教えていただきました。

【栗の温湯処理の方法】

2リットルの水を鍋に入れて火をかけ、水温が75度~80度になったら、栗1キロを素早く入れる。火を弱くして80度以上に上がらないように注意して1分間浸したら、水を切る。(水量対栗の量、水温、時間は厳守!)

【冷蔵・冷凍処理の方法】

(1)購入した栗を密封せずに1~2日間冷蔵庫に入れ、栗の温度を下げる。
(2)ポリエチレン袋に移して密封し、0℃±2℃の冷蔵室で4~6週間貯蔵することにより糖度が3倍から4倍と一番高くなる。
(3)その後、徐々に糖度が下がっていくため、長期間貯蔵する場合はそのまま冷凍庫に移して保存する。

4~6週間、つまり1か月~1か月半貯蔵したころが最もおいしい時期ということ。10月初頭に入手したら食べられるのは11月初旬~11月下旬ということになりますね。まずは入手したての味、そして短期貯蔵後の味を2度楽しむというのもよさそうです。

■3:「最高においしい栗ご飯」のつくり方を知る

そして3つ目の条件は、栗ご飯の調理法。篠山市の公式サイトにも掲載されている最高においしい栗ご飯のつくり方を教えていただきました! 材料の分量はもちろん、手順もしっかり守りましょう。

「最高においしい栗ご飯」のつくり方を知る
「最高においしい栗ご飯」のつくり方を知る

栗ご飯のレシピ

【材料5人分】
米……カップ4
栗(むき身)……カップ2
ゆずの皮……少々
塩……小さじ1
しょうゆ……小さじ1
酒……小さじ3
みりん……小さじ1

栗の皮むきのコツ

「栗を皮つきのまま湯の中に2~3時間つけておくと、鬼皮がやわらかくなってむきやすくなります。また軽くゆでてから、いったん冷凍し、少し解凍したところでむくと渋皮もきれいにむけます」

皮をむいた栗

つくり方

1.むき栗は、小さければそのまま、大きければ1個を2つか3つにカットし、30分くらい水に浸けてあく抜きをする。

2.米は洗って、30分水に浸けておき、同量の水に、塩、しょうゆ、酒、みりんを分量通りと、栗を加えて普通に炊く。炊き終わったら10分~15分蒸らす。

3.器に盛ってから、ユズの皮の細切りを散らすか。ユズの皮をおろし金ですりおろしてふりかけてもよい。

味つけは、塩、しょうゆ、酒、みりん。ユズでほのかな香りのアクセントがある、とってもシンプルなものになっています。岸野さんによると、ポイントは、あく抜きをすることと分量通りの調味料なのだそう。

最高においしい栗ご飯をつくるためには、もともと甘みが強い栗を使い、栗そのものの甘みが楽しめる時期に、今回紹介した調理法でつくること。ぜひ、この秋、実践してみましょう。

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この記事の執筆者
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WRITING :
石原亜香利