喫茶店や駅で相手と待ち合わせすること、仕事でもよくありますよね。その際、「あれ?こういうときってどうすればいいんだっけ?」とマナーに迷うことはありませんか?

もしそうした迷いが全くないのであれば、あなたはマナーの達人か、自分が気づいていないだけで相手には大変失礼なことをやらかしている可能性が高いです。待ち合わせはその日の第一印象を決めるファクターなのに、そこで悪い印象を持たれていたとすれば大損ですよね。

そこで、今回はマナー講師の永田之子さんから、喫茶店や駅で待ち合わせをするときのNGマナーについて教わりました。うっかり恥をかかないように、以下の8つを気を付けていきましょう。

喫茶店や駅で「仕事の待ち合わせ」をするときに気をつけたいNGマナー8選

喫茶店で待ち合わせするときのNGマナー6つ

まずは喫茶店で待ち合わせするときのNGマナーから。喫茶店といえば、一般的にはリラックスする場所ですが、ビジネスシーンにおいては気の緩みは厳禁! これだけはぜひ押さえておきたいNGマナー6つを見ていきましょう。

■1:店内でくつろいで待つのはNG

待ち合わせ時は店内でくつろぎすぎないように!
待ち合わせ時は店内でくつろぎすぎないように!

喫茶店などのお店で待ち合わせする際、“店の外で待つ”、“店内で待つ”の2通りの待ち方があるようです。ビジネスマナーとしてはどちらが正しいのでしょうか?

「店内で待つのもNGではありませんが、外で待つほうがおもてなしポイントが高いです。外で待つか店内で待つかはTPO次第だといえるでしょう。例えば、相手から『中でくつろいでいてください』と言われたときや、大雨や炎天下では、外で待つとかえって相手を恐縮させてしまう恐れもあるので店内で待つのが適切です。

店内では、上座(出入り口から遠い席や窓側、景色が美しく見える席など)は空けておき、下座に座ります。相手の言葉に甘えて本当にリラックスするのではなく、いつでも相手をお迎えする気持ちで待ちましょう」(永田さん)

外で待つのか、店内で待つかは相手との関係性次第で、一概にどちらが正解とは決められませんが、少なくとも“外で待つほうがおもてなしポイントが高い”という点はぜひ押さえておきましょう。

■2:待っている間に自分好みのものを先に注文するのはNG

先に好きなものを注文するのはあり?
先に好きなものを注文するのはあり?

店内で待つ場合、先に飲み物を注文してもよいのでしょうか? それとも、相手が来るまで待つべき!?

「これもTPO次第だといえますが、基本的には相手が来るまで待つほうがおもてなしポイントが高いです。特に、初めて会う取引先との待ち合わせでは、先に注文せずに待つほうがよいかと思います。というのも、相手と同じものを注文することによって好感度が高まり、初対面でも円滑にコミュニケーションを進めやすい傾向があるからです。

ただし、相手から少し遅れる旨の連絡があった場合は、先に注文しましょう。この場合、注文せずに待っていると、かえって相手の気持ちに負担をかける恐れがあります。

先に注文して、相手が到着した際に『おいしくいただいておりました』と笑顔で伝えると、相手の心が軽くなるのではないでしょうか。先に注文するのは、コーヒーか紅茶が無難。自分の好みで奇抜なものや高いものを注文しないようにしましょう」(永田さん)

先に飲み物を注文してよいかどうかは、相手の立場に立って判断するとよさそうですよね。

■3:スマホや読書に夢中になるのはNG

読書に夢中だと相手を見落とす恐れが…
読書に夢中だと相手を見落とす恐れが…

相手を待っている間に、他に注意すべき点はあるのでしょうか?

「スマホをチェックしたり、読書したりしながら待つ方が多いかと思いますが、それに夢中になって相手が到着したのに気づかなかったなんてミスは避けたいところ。挨拶のタイミングが遅れると、相手は無視されたように感じてしまうかもしれません。スマホチェックは待ち合わせ時間の15分前、読書は5分前には終了して、相手がお見えになるまで顔を上げて待ちましょう」(永田さん)

待ち合わせ時間が近づいたら、スマホ画面や本よりも、お店の入口に注意を向けましょう。

■4:座ったまま最初の挨拶をするのはNG

いよいよ相手が到着。お店の入口に相手の姿を発見したら、どのように出迎えればよいのでしょうか?

「相手の姿が見えたら、座ったままではなく、立ち上がって挨拶するのがマナーです。立ち上がって相手と目が合ったら軽く会釈をしましょう。特に、初対面の相手に笑顔で自分から挨拶すると、第一印象がとてもよくなります」(永田さん)

永田さんによれば、挨拶のタイミングは2回。相手がお店に入店してきた時点で立ち上がって1回。そして、席に着く前に2回目の正式な挨拶をするのがよいとのことです。挨拶は先手必勝で相手の心をつかみましょう。

■5:遅刻していないからといって待たせた相手に謝らないのはNG

もしも相手が先に到着いていたら?
もしも相手が先に到着いていたら?

ここまでは先にお店に着いて相手を待つというシチュエーションでしたが、場合によっては、お店に早めに着いたのに、さらに相手のほうが早かった……ということもあります。このケースでは、どのように振る舞うべきでしょうか?

「遅刻がマナー違反なのは当然ですが、仮に、約束の時間より早く着いたとしても、相手を待たせてしまったことに対して、丁寧に謝りましょう。15分前に到着したなら『今後は30分前ルールを徹底いたしますね』などと、ちょっと冗談ぽく言ってみるのもいいかもしれません」(永田さん)

時間をしっかり守りさえすれば失礼ではない、ということではなく、相手に対する気配りを常に忘れないようにしましょう。

■6:相手を無理やり上座に座らせるのはNG

もし、先に到着した相手が、目上にもかかわらず下座に座っていたらどうすればよいのでしょうか?

「下座に座っている相手を『こちらにどうぞどうぞ』と無理やり移動させるのは、相手に負担をかけることにもなり、マナーに適っているとはいえません。このケースでは、『私がこちらに着席してもよろしいのでしょうか?』とお伺いしたうえで、自分が上座に座ってもよいでしょう。一言添えることで、きちんと上座・下座のマナーは心得ているということが相手に伝わり、失礼にあたりません」(永田さん)

これで「しまった! 先方が先に到着して、しかも下座に……」という事態にも、エレガントに対応できますね。

駅で待ち合わせするときのNGマナー2つ

続いては、駅で待ち合わせするときのNGマナーです。駅でも喫茶店での待ち合わせと同様、まずは約束の時間の15分くらい前からは、スマホ画面などを気にするよりも、顔をしっかり上げて相手をお迎えする姿勢でいることが基本とのこと。そのほか注意すべき点としては、以下のようなものがあります。

■7:初対面の相手にわかりやすい目印を伝えていないのはNG

混み合う場所での待ち合わせの注意点は?
混み合う場所での待ち合わせの注意点は?

利用者の多い駅で初対面の人と待ち合わせする場合、お互いに顔がわからず、相手を不安にさせてしまうこともあります。このような事態を避けるためには、どういった点に気をつければよいのでしょうか?

「まず、事前に当日の髪型と服装をお伝えしますが、私の場合、さらに目立つワンポイントを持参するようにしています。例えば、赤い紙袋や黄色いブックカバーなどですね。ただし、うっかり相手の競合他社のものを選ばないようにしましょう。これに限らず、当日の持ち物はできるだけ競合他社のものを避けるべきですが、もしも、どうしても代替が利かないものがあれば、サージカルテープなどで社名を隠すようにするのがよいかと思います」(永田さん)

例えば、“セミロングで紺色のパンツスーツ”だけでは、同じような人物が近くにいてまぎらわしい可能性がありますが、これにワンポイント小物が加われば、相手にとってかなり安心ですね。

■8:飲食しながら相手を待つのはNG

飲み物は15分前には処分しよう
飲み物は15分前には処分しよう

待ち合わせ時間よりかなり早くから待つ場合、ちょっと飴やガムを食べたり、飲み物を飲んだりすることもあるでしょう。ただし、待ち合わせ時間が近づいているのに、飲食を続けるのはマナー違反にあたる恐れがあります。

「待ち合わせ時間の15分前には、飲みかけのペットボトルなどは鞄にしまい、テイクアウトのコーヒーなどは処分しましょう。飲み食いしながら相手を待つのではなく、顔を上げて、“あなたをお待ちしています”と真心が遠目からでも相手に伝わりやすい姿勢でいることが大切です」(永田さん)

待ち合わせの場所を問わず、相手を歓迎する、相手との対面を楽しみにする心こそが、何よりも重要かもしれませんね。

待ち合わせ時の印象がよければ、その日の商談だってきっとスムーズにいくはず。ぜひ、今回ご紹介したマナーをしっかり押さえて、出会い頭、第一印象から「この人と仕事をしてみたい」と思われるキャリア女性を目指しましょう。

永田之子さん
話し方講師、マナー講師、司会者、婚活カウンセラー
(ながた ゆきこ)アナウンサー時代に得たノウハウをもとに「明るく元気になれる会話」を提供している。個人の魅力を最大限に引き出すプロとして、話し方&マナーの個人指導教室を運営。セミナー講師、司会者としても活動中。
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この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
中田綾美
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