マリリン・モンローの深い闇、そして圧倒的なまでに清らかな美しさの秘密

好評連載「官能コスメ」の第19回は、マリリン・モンローに注目。 女性の官能と、その本質について、美容ジャーナリストの齋藤 薫さんが読み解きます。

シャネルの「ル リフト クレーム」の魅力をGIFアニメーションでお届けします

「完全に馬鹿げているほうが、完全に退屈よりまし」

「男性は、女性のことを、まるで本かなにかのように思っているの。表紙が目立たなかったら、中身を読もうともしないもの」

「キャリアって素晴らしい。でも寒い夜には、それに寄り添うことはできないわ」

「男性と平等でありたいと求めるような女性は、野心が足りないのです」

意外だけれど、すべてマリリン・モンローが残した言葉である。いずれも厭世的であるけれど、極めて哲学的である。そして驚くほど正しい。

名言を多く残した女優は少なくないが、例えばオードリー・ヘプバーンは、「美しい目が欲しいなら、人の良いところを探しなさい。美しい唇が欲しいなら、優しいことだけを話しなさい」といった、道徳観にあふれた、美しい言葉を残した。

しかしマリリン・モンローは、あくまで女性の視点でありながら、人間社会の裏側を鋭くえぐるような、リアルな言葉を残しているのだ。ある意味、この人でなければ表現できない言葉を使って。

私たちが知っているのは、腰を艶めかしくくねらせながら歩くマリリン・モンローや、スカートがめくれあがるのをどこかうれしそうに押さえるマリリン・モンローばかり。しかしそういうふうに、あっけらかんと120%の女を生きる女に、こんな言葉が語れるのだろうか? こんな見事な理屈を操れるのだろうか?

私はこうした名言を見るにつけ、マリリン・モンローのなかの深い闇と重たい苦悩を覗きこむような気がして、ちょっと辛くなる。もっと言うならば、そもそも知性があるからこそ、人には闇が生まれ、苦悩するのだという法則をこの人に当てはめてみると、女優である以前に「世紀のセックスシンボル」と呼ばれたことに、この人は一体何を思ったのだろうと、なんだか背筋が寒くなるのだ。

スカートがめくれあがるのをどこかうれしそうに押さえている(ように見える)マリリン・モンロー

世界中にここまで愛された女性はいないのに、そういう自分自身にこんなにも苦しんだ人はいなかったのかもしれないのだ。事実この人は、こんな言葉を残している。

「ハリウッドから引退して、私を正当に扱ってくれる人と出逢いたいわ。田舎に住んで生活を根本的に変えたいとも思うの」

「ちょっとおつむの弱い、グラマラスでセクシーなセックスシンボル」という立場を演じなければいけなかった自分から、いつか必ず脱却したいと、常に夢見ていたのだろう。

その証拠に、この人はもうすでに十分なキャリアを積んでいるににもかかわらず、アクターズスタジオで改めてメソッド演技法など学び、貪欲に自分を磨こうとしていた。

一方で、新聞や雑誌の政治欄を読みあさっていた、ともいわれる。言うまでもなく、ケネディ大統領や弟のロバート・ケネディ上院議員事との不倫も報道されたが、ただ肉体的な魅力をアピールするにとどまらず、彼らと多少なりとも対等に話をしたいと考えたのだろうか?

いずれにせよ、彼女は大スターとしての自分の座に甘んじることなく、スキルを磨き、教養を身に付けようと努力をしていたことは間違いないのだ。強烈なまでの知的コンプレックスから。

それを裏付けるのは、大リーグのスーパースター、ジョー・ディマジオと離婚した翌年、作家のアーサー・ミラーとの結婚に踏み切っていること。ところが、結婚直後から精神不安定に陥り、精神病院への入院も噂されている。

マリリン・モンローとアーサー・ミラー(左)

実はこの結婚に関しても、モンローは哀しい証言をしている。

「私は、マリリン・モンローを演じ続けるのがもう嫌だったの。私がアーサーに惹かれた理由のひとつは、彼が、ほかの誰でもない、私を欲しいと言ったからよ。彼と結婚すれば、マリリン・モンローから遠ざかることができると思ったのに、違ったのよ」

アーサー・ミラーは、モンローの本質を見ようとするどころか、女優モンローを手に入れるという男の虚栄心を満たすような結婚を果たしたに過ぎなかったのだ。しかしモンローもモンローで、自らの知的コンプレックスを満たすための結婚をしたといってもいい。どちらにせよ、不幸な結婚だったのである。

おそらくは、自分に来るお決まりの役柄への抵抗からなのだろう。その後も、撮影現場に行かずに、主役を降板せざるをえなくなるなどの問題を起こし、なおさら心を病んでいく。

そう考えると、マリリン・モンローがハリウッドでトップスターとして君臨した時期は本当に短かい。多くの時間は、この「不安定で扱いにくい女優」を、業界が持て余していたという形なのだろう。

しかも36歳という若さで、悲惨な最期を遂げるというドラマ以上のドラマ。ある意味、こんなに愛されながら、こんなにも哀しく孤独な女はいなかったほど。結果として、今日に至るまで、自分の存在がここまでのビックネームとして残っていること、本人は夢にも思っていないだろうが、それでもせめても魂の慰めとなるのだろうか。

マリリン・モンロー

もうひとつ、マリリン・モンローに対して、世間には大きな誤解があった。この人の美しさは、意外だけれど、清潔感に満ち満ちていたことである。

いま残されているイメージは、むしろ清潔美とは逆のもの。それもセックスシンボルだったことが一人歩きした結果の、しどけなく、扇情的な印象。ハリウッドの歴史が勝手につくりあげてしまったイメージにほかならない。

でも見てほしい。実際のこの人は、真っ白な肌に、プラチナブロンド、むしろ無垢なまでに愛くるしく汚れのない端正な顔立ち。まさしく少女のように清らかだ。そうでなければ、世紀をまたいでレジェンドであり続けるなど、不可能なのだ。

マリリン・モンロー

だから今、せめてもここで、マリリン・モンローの美しさを讃え、改めてその清潔美をなぞってみたい。不自然なまでにエロティックな仕草で、情欲をそそることを仕事とせざるをえなかった女性の、精一杯の抵抗。それがこの清潔感だということに、いま私たちが気づいてあげ、改めてその清らかな美に敬意を表することが、ささやかな鎮魂になるような気がしてならないのである。

ふっくらやわらかいのに引き締まった「奇跡の肌」を、マリリン・モンローは持っていた【シャネル】

左から/シャネル ル リフト クレーム リッシュ・ル リフト クレーム・ル リフト クレーム フィン 各50ml ¥16,000(税抜)

ハリで引き締まった肌は、ちょっと固めで痩せているイメージがあるけれど、マリリン・モンローの肌はまるでネットでやわらかく包み込んだように、ふっくらやわらかいのにきゅっとコンパクトに引き締まっていた。そうした肌をつくるならば、リフトケアの金字塔、シャネルのル リフト。 単なるさっぱり、しっとりではない、羽の軽さから、たっぷり安定した重量感までを使い分けるような3タイプ、しかしどれもなめらかさの極致。とてもドラマチックな3種類のテクスチャーを取りそろえた新作は、リフトケアの概念を変えるはず。

ついに真打ち登場。「クッションファン」ならずとも必ず魅了される完全無欠の肌づくり【クレ・ド・ポー ボーテ】

クレ・ド・ポー ボーテ タンクッションエクラ SPF25・PA+++ 全6色 ¥9,000(税抜)

マリリン・モンローは、本当に欠点のない肌をしていた。もっと言えば清潔感にあふれた肌をしていた。そうした清潔美肌を再現するならこれ。クッションファンデは今なお進化中で、このクレ・ド・ポー ボーテにシャネルなど、真打ち登場とも言えるトップフレンドからクッションファンデがでるということで、今またこの形状が注目を浴びている。

上質な肌をつくるファンデーションでは他の追随を許さないクレ・ド・ポー ボーテのタンクッションエクラは、欠点カバー力、上品なツヤ、素肌感、遠目からもパッと目を引くような発光感、どこをとっても納得の逸品は、クッションファンならずとも、一瞬で美肌をつくりたい人を魅了するはず。

透明感と血色を生み出すチーク。みんなこれが欲しかった【ローラメルシエ】

ローラメルシエ ブラッシュ カラー インフュージョン 全10色 各¥3,200(税抜)

チークには今、ふたつの役割が求められている。ひとつは言うまでもなく血色。けれど単に色を加えるだけではない、その血色によって肌が透き通るような印象を持つこと。そこがなかなか難しい。そういう意味で、今、絶対注目なのがローラメルシエのチーク。とりわけほのかなピンク系が秀逸で、ふわっとのせるだけでムラなく自然に血色を再現するうえに、肌そのものが美しい透明肌に見えてくる。

しかも朝つくった血色が、午前中にはなくなってしまうのが常だったチークにあって、これは見事にロングラスティング。ましてや色を重ねても色が固まらない。あらゆる意味で傑作、こういうチークが欲しかった!

問い合わせ先

関連記事

この記事の執筆者
女性誌編集者を経て独立。美容ジャーナリスト、エッセイスト。女性誌において多数の連載エッセイをもつほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。近著『大人の女よ!もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)ほか、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。好きなもの:マーラー、東方神起、ベルリンフィル、トレンチコート、60年代、『ココ マドモアゼル』の香り、ケイト・ブランシェット、白と黒、映画
PHOTO :
戸田嘉昭、宗高聡子(パイルドライバー)、AFLO
EDIT :
渋谷香菜子