ブローチはレディーのたしなみともいえる重要なアクセサリーです。効果的に添えるだけで、装い全体に上品で大人っぽい雰囲気をもたらしてくれます。以前はかしこまった場面向きと思われがちでしたが、最近は見直しが進んで、デイリーに楽しむ人が増えてきました。

世界のおしゃれ上手が見せる絶妙のバランス感をヒントに、ブローチの出番を増やすテクニックを磨いてみてはいかがでしょうか。

ブローチ使いで鮮度をプラス!海外セレブ流おしゃれにアップデートする方法とは?

■1:ジャケットやコートに添えてミックステイストに

チェスターコートを着こなすAlexa Chung(アレクサ・チャン)
ミックスコーデの幅を広げるヒョウ柄のまとい方
チェスターコートを着こなすAlexa Chung(アレクサ・チャン)Alexa Chung(アレクサ・チャン)
コートのムードをずらす「はずし」のキーピースに

メンズライクなはおり物の雰囲気を変えるアイテムとして、ブローチは役に立ちます。有名なファッションアイコンのAlexa Chung(アレクサ・チャン)は、なんとミリタリーのオールインワンの上から、英国紳士風のチェック柄チェスターコートを重ねるという、達人級のスタイリングを披露しました。彼女が選んだのは、文字をモチーフにした「レタードタイプ」。

ストリートとトラッドをねじり合わせるミックス技はお見事。コートの襟にアルファベットのブローチをオン。正統派ブリティッシュの硬さを崩す小技が効いています。

ダブルブレストのジャケットを着こなすSarah Harris(サラ・ハリス)
顔周りや胸元はあえてノーアクセサリーにして、ブローチを引き立てて

目立つ位置のブローチは装いのムードメーカになってくれます。ファッション誌エディターのSarah Harris(サラ・ハリス)は、ダブルブレストのジャケットでファッションショーへ。ボトムスはジーンズで合わせるという、近ごろの人気コーデを選びました。

マニッシュな本格テイラードのジャケットも、襟にフラワーモチーフのブローチを添えるだけで、フェミニン感が加わって、こなれた印象に様変わり。1着のジャケットにジェンダーレスな雰囲気を宿らせる心憎い演出です。ジーンズのカジュアル感も、上品なブローチがやわらげています。

■2:ユニークなモチーフで冬ルックに意外感を演出

ゾウの形のDoutzen Kroes(ドウツェン・クロース)
ダークトーンの服をつやめかせるシャイニーなブローチの煌めき

アイキャッチーな形のブローチは狙ったイメージを呼び込む効果を発揮します。モデルのDoutzen Kroes(ドウツェン・クロース)は、ゾウをかたどったアニマルブローチをコートの襟につけました。

ダークカラーでまとめた装いに、ファニーな表情のゾウが朗らかな気分を加えています。大人の遊び心を感じさせるアレンジです。ミニマル寄りのスタイリングに個性を乗せるうえでは、こういった意外性のあるブローチ投入が効果的でしょう。

人の手がモチーフのブローチをつけるJeanne Damas(ジャンヌ・ダマス)
高い位置にブローチを迎え、顔周りに華やぎをプラス

アートライクなブローチは、シンプルな服にスパイスを添える効果が期待できます。パリジェンヌの代名詞的存在のファッションアイコン、Jeanne Damas(ジャンヌ・ダマス)が選んだのは、人の手をモチーフにした、少しミステリアスでアートピースのようなタイプ。トレンチ風のジェンダーレスなムードのコートに添えて、アイキャッチーに。

襟につける場合、胸に近い位置を選ぶケースが多いのですが、このように肩に近い高めのポジションをチョイスすることで、服のバランスが全体に引き上がって見えます。冬のロングアウターをすっきり演出したいときに使える手です。

■3:シャツをゴージャスにムードチェンジ

デコラティブなブローチをつけるBlake Lively(ブレイク・ライブリー)
本格的な大ぶりブローチで、きちんと感と華やぎをアピール

これまで、ジャケットやワンピースにつけることが多かったブローチスタイルですが、最近はゴージャス感を高める技として、シャツとの相性を試すおしゃれリーダーが増えてきました。

女優のBlake Lively(ブレイク・ライヴリー)は、グラフィカルなプリント柄のシャツの第1ボタンあたりに、デコラティブなブローチを投入。シャツのモダンな柄と、ブローチの古風な雰囲気をクロスオーバーさせました。華やかさとクラシックな落ち着きの両方をもたらすうえでも、ブローチがひと役買っています。

アンティーク風のブローチをつけるTaylor Tomasi Hill(テイラー・トマシ・ヒル)
カジュアル感を薄めるには、古風でビッグサイズのブローチを選んで

シャツの個性をやわらげたり、別ムードを添えたりするのにも、ブローチは重宝します。ファッションディレクターのTaylor Tomasi Hill(テイラー・トマシ・ヒル)は、メンズ風味のチェック柄シャツに、アンティーク風のブローチを引き合わせました。

ボトムスもジーンズで合わせて全体がカジュアルな装いに。そこに、あえて1点だけ豪華で装飾的なブローチを取り入れることによって、普段着感を遠ざけ、逆にハイセンスなミックスコーデに昇華。ブローチが印象を変える働きを証明するようなスタイリングです。

おしゃれの主役級アイテムとして活用するなら、目立ちやすいポジションに迎えるのがブローチの存在感を強めるポイントです。ブローチのモチーフや質感次第で、ムードを方向づけできるので、着回しにも役立ちます。

従来のクラシックなイメージだけでなく、マニッシュやストリートといった、着こなしの表情を深くする使い方がコーデのバリエーションを広げてくれそう。今回ご紹介した以外にも、ざっくりニットやカーディガンといった服にも合ううえ、ベレー帽やマフラー、布トートバッグなどの小物類にも使えるから、自分流のカスタマイズも楽しんでみてください。

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この記事の執筆者
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報、着こなし解説などを発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かした解説が好評。自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い。著書に『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』(学研パブリッシング)がある。
WRITING :
宮田理江
EDIT :
石原あや乃