職場で「さすが」と一目置かれる人物か、「どうせ」と見くびられる人物か。どちらになりたいかといえば、もちろん前者ですよね。なのに、仕事をいくらがんばっても、なぜか、周りから評価されなかったり、自分が軽く扱われていたりするように感じることはありませんか?
それは、もしかすると、あなたの日ごろの何気ない言動や態度に原因があるのかもしれません。今回は、日本心理教育コンサルティング代表でカウンセラーの櫻井勝彦さんに、人から下に見られやすい人が無意識にやっているNG習慣を教えていただきました。
見下されやすい人が無意識にやっているNG習慣7選
■1:下がり眉メイクをするのはNG
まず、第一印象から下に見られやすい人にはどのような特徴があるのでしょうか? 櫻井さんによれば、見た目の印象において眉毛の形は非常に重要とのことです。
「そもそも、周りから下に見られやすいのはどのような人物かというと、一言で表すと優しそうな雰囲気の人なんです。人間も動物の一種ですから、相手が自分にとって危険な人物かどうかは、見た目で本能的に判断します。
この点、眉が釣りあがっていて眉間の狭い人は、周りから攻撃的な人物だと判断されやすく、逆に、眉が下がりぎみで眉間の広い人は危害を加えてきそうにない、いわゆるアンパイの人物だと見られやすいのです。
下がり眉や眉間の広さでそのように見られることには、相手に安心感や親しみやすさを与えるというプラス面もあるものの、その表裏一体として、『この人になら何をしても大丈夫』と軽く扱われやすいというマイナス面もあります」(櫻井さん)
もちろん、上がり眉は上がり眉で怖そうに見られるというデメリットがあるので、上がり眉を推奨するわけではありませんが、下がり眉のせいで自分は損しているかも……という人は、メイクの仕方を少し工夫してみましょう。最も理想とされるのは、いわゆる三日月形の眉とのことです。
■2:表情にしまりがないのはNG
顔の特徴としてもうひとつ、表情にしまりがあるかどうかもポイントだと櫻井さんは主張します。
「人から見られていることを意識して、表情を引き締めている状態というのは、いわば戦闘態勢。そのような凜とした表情の人物を、人はおろそかにしようとは思いません。逆に、表情が弛緩していると、いかにも無防備に見えて、周りからおざなりに扱われやすくなる恐れがあります」(櫻井さん)
表情をつくるのは訓練しだい。自分は人から下に見られやすいと悩んでいる人は、ときどき鏡の前で表情を引き締めるトレーニングをしてみましょう。口角を上げながら唇をしっかり閉じ、目力を出すように意識する。こうした日ごろの積み重ねで、周りから見くびられないオーラを身につけてみてください。
■3:姿勢が悪いのはNG
顔以外の見た目の印象では、姿勢が悪いと人から下に見られやすいとのこと。
「野生の動物は相手を威嚇するときに、自分の体を大きく見せようとしますよね。逆に、体を小さく丸めるのは萎縮的な態度です。人間も、背筋が曲がっていると自信がなさそうに見えるので、姿勢が悪い人は周りから低く見られやすくなります。
また、姿勢が悪いということは、体が弛緩した状態でもあるので、そういう点でも、人から軽んじられる危険性が高まるといえるでしょう」(櫻井さん)
顔だけでなく背筋にも緊張感をもたせること。座って作業するときも、立ち歩くときも美しい姿勢をキープしたほうが堂々として見えて、周囲の評価がアップすることでしょう。
■4:声が小さいのはNG
職場で会話するときに、声が小さすぎて「え、今なんて?」と聞き返されることはありませんか? それで、「聞き取りやすいように大きな声で話そう」と心がけていればまだ良いのですが、「聞き返されるのが面倒だから、あまり話さないでおこう」と口をつぐんでしまうと、周りからどんどん下に見られる恐れがあります。
「気が強い人か弱い人かは声の大小で認識される傾向があります。つまり、声が大きいほど押しが強く、逆に声が小さいと気が弱く流されやすいように見られがちです。
また、そもそも口数が少ないのも、人から下に見られやすい原因。何も主張しないと「この人は何を言っても大丈夫」と思われてしまいます。かと言ってあまり自己主張が激しいのも考えものですが、周りから軽んじられないためには、適度に自分の意見を相手に届くはっきりした声で発言することが大切です」(櫻井さん)
たしかに、世間でリーダーシップがあると目されている人物は、おしなべて声がクリアで主張すべき所ではしっかり主張しますよね。話すときに息をしっかり吐き出すことと意識しましょう。
■5:話にまとまりがないのはNG
声の大きさだけでなく、話す内容によっても、人は無意識に相手をランク付けすることがあるようです。
「見た目が優しそうでも、話してみると芯の強さが感じられ一目置かれる人もいれば、逆に、強面でも会話によって見掛け倒しだと判断されてしまうこともあります。
論理的で単純明快な話し方をする人は、中身があると評価されて相手から下には見られにくくなるのです。他方、長々とまわりくどくしゃべって結局、何が言いたいのかわからないような人は低く見られやすいので注意しましょう」(櫻井さん)
特に職場においては、ただ自分が思いつくまま話すのではなく、“結論→理由”の流れを意識して相手にわかりやすく伝えるようにしましょう。
■6:自分の欠点ばかりにフォーカスするのはNG
ここまで顔や姿勢、話し方など、外形的な特徴を紹介してきましたが、実は、人に下に見られやすいかどうかは、その人の内面によるところが大きいようです。
「自分は人から下に見られているかもしれない……と不安な人は、自分の欠点を意識しすぎているのではないでしょうか。人間誰しも欠点や苦手なことはいくらでもあるはずです。ただ、『あの人はすごい』と周りから一目置かれている人物は、自己の“できない”よりも“できる”ことにフォーカスして、長所を伸ばすことに力を注ぐ傾向があります。
逆に、自分のマイナス面ばかりに目を向けて、自分にはいいところはひとつもない、と萎縮してしまうと、本来もっているはずの能力も十分に発揮できません。そうなると、ますます人から低く見られ、さらに自信を喪失し……という完全に負のスパイラルです」(櫻井さん)
自信をもてない人が、いきなり自己評価を高めることはなかなか難しいことですが、まずは自分の粗探しをするのはやめましょう。
例えば、“人から下に見られやすい”という点でさえも、“優しそう”や“親しみやすい”などとプラスに捉えることもできるのです。他人の評価にただおびえるのではなく、自分の個性・特性を活かすにはどうすればよいのか考える癖を習慣づけてみてください。
■7:「黙って従っているほうが得」と思い込むのはNG
誰しも表層意識では「人から下に見られたくない、バカにされたくない」と感じていることでしょう。しかし、実は、ある種の思い込みによって、無意識のうちに人から低く見られる「役割」を引き受けてしまっている人もいるようです。
「カウンセリングでも、『私は人から下に見られやすいのです』というご相談はよくあります。そういう悩みを抱えた人たちからじっくり話を聞いてみると、子ども時代にルーツがあることが多いのです。
例えば、気の強い兄弟などがいて、少しでも反抗すると倍になって仕返しされる。そういう経験があると、『下手に物を言うと損だ』、『黙って従っているほうが得だ』というふうに学習してしまいます。そうすると、大人になってからでも、無意識のうちに『こちらのほうが安全だから』と他人に譲ってしまう選択ばかりしがちなのです。
こうした子どものときに身につけた癖の改善は、たやすくはありません。ただ、克服の第一歩は、まずは『黙って従っているほうが得だ』という思い込みの存在に気付くことでしょう」(櫻井さん)
自分は周りから見下されている……と悩んでいる人は、実は自らそのポジションを引き受けてしまっているのでは? 「自分はどうせ」という思い込みこそが、「あの人はどうせ」と人から軽く扱われる元凶だといえます。そんな自身の内面にまず気付いて、自分にOKを出してあげましょう。
また、「黙っていると従っているほうが得」だという思い込みの根底には、「自己主張して相手に怒られたり嫌われたりするのが怖い」という恐れがあるのでは? ただ、自己主張すること自体が即、人間関係の悪化を招くわけではありません。
相手の気持ちを尊重しつつ、自分の意見をうまく伝えるアサーションというコミュニケーションの技法もあるので、伝え方を工夫しつつ、「黙っているよりも自分の意見を伝えたほうが得」という経験を少しずつ積んでいけるといいですね。
表情や姿勢、話し方を変えるのももちろん大切なのですが、櫻井さんによれば、まずは「黙って従っているほうが得」という思い込みの克服という根源的な問題を解決することで、おのずと表情や姿勢、話し方も自信のあるものに変わっていくとのことです。
「もっと周りから尊重されたい!」という人は、今日から内面と行動の両方を変えていくように心がけましょう。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美