ラグジュアリーファッション誌・Precious1月号誌面で開催した、第1回「Precious WATCH AWARD 2018」。2018年の新作時計から、各賞を発表したこの企画がたいへん好評で、大きな反響を生んでいます。
そこで今回は特別に、その審査員を務めて頂いた雨宮塔子さんに「Precious WATCH AWARD 2018」に関する裏話と、誌面では語りつくせなかった「時計愛」をインタビューしました。
雨宮さんが語る、代々引き継がれた「時計愛」
「時計に関しては決して詳しいという訳ではないので、僭越です」――第1回「Precious WATCH AWARD 2018」の審査員をお願いした際、実は当初、こう辞退された雨宮さん。すべての仕事に対して、真摯、謙虚に取り組む雨宮さんらしい言葉ですが、ご自身がずっと時計を愛してこられたことを把握しているPrecious編集部は食い下がり、承諾をいただきました。
「そう、専門的な知識が豊富というわけでもないのに審査員というのは本当に僭越でしたが、時計はなぜか、ずっと好きだったので。2018年に発売されたたくさんの時計と資料を拝見しながら、楽しませていただきました」
何か大きな買い物をするとしたら、「ジュエリーではなく時計」だったという雨宮さん。
「時計だったら、ある程度のお金をかけるのに、腹をくくれるんですよね(笑)」
最初に自分で時計を購入したのは、TBSのアナウンサー時代。雨宮さんが選んだのはユニセックスな自動巻きのカルティエ『パシャC』でした。
「あれは入社2年目か、3年目だったでしょうか。『チューボーですよ!』の特番のロケで香港へ行かせていただいたんです。ご一緒した女性プロデューサーの方も、とても時計がお好きで、『時計は自分で買う主義』という方で。彼女に背中を押された部分もありましたけれど、今でも使っていますし、頑張って買ってよかったと思っています」
20代前半で選んだのは、大ぶりな機械式時計。女性が機械式時計をつけることが、まだとても珍しかった当時、すでに洗練された「時計好き」の選択をしていた雨宮さん。
「父が、時計が大好きで。毎晩、時計のリュウズを巻き上げている姿を幼いころから見ていたので、知らないうちに影響を受けていたのかもしれません。思えば祖父母も時計が好きで、受け継いでいるものもありますし、遺伝なのでしょうかね(笑)」
色違いで購入するほどに惹かれた愛用時計は「エルメス」&「ジャガー・ルクルト」のウォッチ
そんな雨宮さんが現在、最も愛用されているのは、第1回「Precious WATCH AWARD 2018」の記事のプロフィールにも記されている通り、「エルメス」と「ジャガー・ルクルト」のコラボのアンティークウォッチ。なんと、ストラップを色違いで、同じ時計を2本所有されています!
「最初に購入したのは黒のストラップのほうで、正確には憶えていませんが、10年前くらいでしょうか? パリのサントノ―レの時計専門店のショーウインドーに飾ってあったんです。たまたま前を通りかかったときに、スーッと惹きつけられまして。でも即決ではなくて、何日か通って悩んだ末に、『やっぱりこれだ!』と」
「エルメス」と「ジャガー・ルクルト」という超名門メゾンのWネーム。「詳しくない」とはやはり謙遜で、かなり目利きのセレクト。
「いえいえ、ただ単にデザインにひと目惚れしただけで。何日かお店の前をウロウロして(笑)、勇気を出してお店に入り、見せてもらったときに初めて『ジャガー・ルクルト』のものだとわかったんです」
その後、「あまりの使い勝手の良さに」、白いストラップのものも発見して購入。
「おもしろいなと思うのが、まったく同じ時計なのに、ケースの裏に『HERMES』と刻印されているのは、2本目の白いストラップのほうだけ。つくられた年代によって違うのかもしれませんね」
この2本の時計は、ニュース番組『NEWS23』の放送でもたびたび着けて出演されていますが、長年使い続けてもなお、気に入っているポイントはどんなところでしょう。
「この2本の時計はブランドを主張し過ぎない、さりげないところが気に入っています。報道番組なので、当然、ニュースをお届けすることが大切ですから」
『NEWS23』ではあらかじめ決めてある1週間分の衣装に合わせて、まず時計を決める。そしてその時計に合わせて、その日の私服を決めているという雨宮さん。平日は毎日、夜の生放送に出演しているため、現在の東京での時間は、23時を軸に回っているようです。
「パリでは、夕方と夜の間――日が落ちるまでのアペリティフの時間が大好きでした。でも今は、アペリティフの時間から仕事に本格的に取り組みますから(笑)。『NEWS23』は、出演者もスタッフの皆さんも、今の私には家族のような存在で、そんな現場で毎日仕事をさせていただいていることは本当に幸せなことですが、その日、そのときの空気の匂い、空の色、そんなものを見たり感じたりするパリの時間を懐かしく、愛しく思い出すこともあります」
自分の感覚を信じて、「運命の1本」に出合ってほしい
それでは、世の中の女性が自分のために、大きな買い物をするときの常套句。「頑張った自分へのご褒美」で、次の1本を探されては?
「私の場合は今までも全部、『出合い』で、探して買ったことはないんです(笑)。時計って、その人のスタイルが如実に出ますよね。『Precious WATCH AWARD 2018』は、そのスタイルを見つける指標というか、ヒントになると思いました。写真が訴えかけるところも大きいし、記事を読んでいくうちに自然と知識がついてきて、私自身とても勉強になりました。
でも、少し天の邪鬼ですが、読者の方には受賞した時計に無条件に飛びついてほしくはなくて(笑)。最終的には自分の腕につけて、自分の感覚を信じて、自分の『運命の1本』に出合って頂きたいです。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- 洞澤佐智子(CROSSOVER/静物)
- EDIT&WRITING :
- 岡村佳代