日本のどこかで、たったの数日間のみ行われる、幻の野外レストランとして知られる「DINING OUT(ダイニング アウト)」。年に数回、地域創生のため行われるこのプロジェクトは、現地に行くまで、その内容は誰にも知らされないという、いわばミステリーツアーのようなもの。

前情報として共有されるのは、集合場所と「足元が不安定な場所を歩くため、肌を露出したサンダルやヒールはNG」などという、なんとも不思議なドレスコードのみ。

それだけ聞かされると、若干の不安は否めませんが、参加した者のみが体験できるスペシャルなプロジェクトがどんなものなのかを探るべく、Precious.jpでは潜入取材を敢行。参加者しか知りえないドラマティックな一夜を完全レポートします!

「何が起こるかわからないドキドキ感」こそ旅の醍醐味

今回で15回目を迎えたこのプロジェクトの舞台に選ばれたのは、沖縄県南部に位置する南城市。2018年11月23・24日の2夜限定で開催された「DINING OUT RYUKYU-NANJO with LEXUS(ダイニング アウト リュウキュウナンジョウ ウィズ レクサス)」は、ダイニング アウト史上最も神聖な場所ともいえる、琉球誕生の地・久高島へフェリーで渡るところからスタートしました。

Part1:琉球の歴史を徒歩で巡る「レセプション」

  • フェリーくだか Ⅲ
  • 非現実へと引き込む壮大な自然美

船に揺られること約30分。見慣れた都会の風景が消え去り、自然の美しさと向き合う準備ができたころ、久高島に到着。ここでは、「レセプション」といわれる、料理をいただく前の儀式が行われました。

お祈りからイベントはスタート

毎回、内容は異なるとのことですが、今回は、ホストであるコラムニストの中村孝則氏の案内のもと、島全体を歩きながら琉球の歴史や神々について説明を受けました。 

最後の神女・福治洋子さん登場

琉球神話では、天上より琉球に降り立ったアマミキヨによって島々が創られたと伝えられており、その開闢の祖が最初に降り立った場所が久高島だったといいます。神々が住む島として崇め奉られてきたこの場所は、昔は女性しか足を踏み入れることができなかったとか。今回は、生きた最後の神女である「福治洋子さん」のお話を直接聞くことができました。

高級食材「イラブー」の解説

また、400年以上歴史のある久高島の名産である高級食材として知られる、イラブーの燻製加工場も見学させていただきました。滋養強壮の薬膳として王府へ献上されていたこのウミヘビは、かつては漁をすること自体神女にしか許されなかった、とても神聖な食材だといいます。

  • EBISU MEISTERで乾杯!
  • 厳選素材が使用された3種のフィンガーフード

さらに、島内に点在する神聖なスポットを回ったのち、最北端のカベール岬へ。ここでは、この地へ辿り着いた記念に、フィンガーフードとドリンクで乾杯! 沖縄県産の伝統食材や、今回ディナーを担当される樋口宏江シェフの出身地でもある三重県伊勢市の名産・アワビなど、贅沢な食材が使用されたこだわりの3種がお目見えしました。

  • 最北端のカベール岬へ移動
  • 祈りを捧げる洋子さん

神の国「ニライカナイ」に向かって祈りを捧げたのち、フェリーで再び本土へと移動。ディナー会場へと向かいます。

Part2:すべての謎が解き明かされる「ディナー会場」へ

港ではレクサスがお出迎え

港に戻ると、そこには運転手つきの「LEXUS(レクサス)」がズラリ! グループごとに車に乗り込み、ディナー会場へと移動します。自ら運転しての試乗も可能なドライビングプログラムは、乗り心地を体感したい男性陣にも人気。

知念城跡

静かな乗り心地を堪能しながら自然が生きた奥地を進み、向かった先はディナー会場となる知念城跡。切石組みのミーグスク(新城)と自然石を積んだクーグスク(古城)から成るこの神聖な地は、琉球王国時代から続く聖地巡礼の拝所のひとつ。国の史跡にも指定されています。

野外レストラン

城壁のなかへと進むと、そこには温かな光に包まれた野外レストランがオープン! この日のために用意されたプレミアムな空間が、これから始まるストーリーへの期待値を高めました。

Part3:日本を代表する女性シェフによる「11皿の奇跡のコース料理」

二夜限定の料理人に指名されたのは、伊勢志摩サミットでワーキングディナーを担当された、志摩観光ホテルの総料理長を務める樋口宏江シェフ。各国の首脳陣の心を掴んだ、日本を代表する女性料理人によって振舞われるコース料理には、想像を遥かに超えるサプライズが凝縮していました。

志摩観光ホテルの総料理長を務める樋口宏江シェフ

メニューを決める上でのルールは「地産の食材を使う」こと。樋口シェフは、事前に何度もこの地を訪れ、地元の歴史や伝統文化、食材について学ばれたといいます。もともと地元愛が深く、地産の食材選びへの想いが強い彼女は、「共感する部分もあった」といいますが「沖縄という土地で初めて出会った食材に困惑した」とも。

そんな彼女が真摯に向き合い仕上げた料理は、食べる人を思いやる気持ちにあふれた、優しさを感じさせるコースとして完成しました。テーマは「Origin いのちへの感謝と祈り」。心のなかに光を灯してくれた、奇跡の11皿をご紹介します。

■1皿目:久高島イラブーのシガレット

1皿目

まず最初に登場したのが、久高島で説明を受けた高級食材「イラブー」を使用したシガレット。温かくモチモチとした意外性ある食感が、これから始まるコースをスタートさせるサイン。

■2皿目:琉球の海の幸 四季柑の香りを添えて

2皿目

次は、ウニやタコ、ヒメシャコ貝など、海に囲まれたこの地ならではの新鮮な海鮮に、伊勢志摩名物の伊勢海老を抱き合わせたマリネが登場。トマトのムースと柑橘を効かせたジュレのまろやかな風味が、口全体に広がります。

■3皿目:ヒージャーのロワイヤル

3皿目

沖縄では、祝いごとなど伝統的な行事の際に振舞われるという山羊を、樋口流にアレンジした洋風の茶碗蒸し。山羊の風味が際立つ、印象的な味わいが特徴。人々のご縁を結ぶとされる日本酒「作」とのペアリングも最強。

■4皿目:マクブとウイキョウのスープ

4皿目

沖縄の三大高級魚のひとつであるマクブを、サフランや魚介のコンソメで上品に仕上げた一品。白身と分けて揚げられた鱗のパリパリとした食感が、口の中で面白いリズムを刻みます。

■5皿目:“ぬちぐすい”

5皿目

命薬を意味する“ぬちぐすい”は、沖縄の郷土料理(チャンプルー)にインスパイアされた樋口流「おばあ」の料理。約40種類の野菜はハーブがミックスされた色鮮やかなサラダは、うっとりするほど華やかな仕上げに。

■6皿目:ローゼルのグラニテ

6皿目

メインの前の口直しには、ほのかな酸味がアクセントになるローゼルのグラニテを。炭酸のジュレが口のなかで弾けます。

■7皿目:黒金豚の伊勢志摩備長炭焼き ハチミツ風味のガストリックソースで

7皿目

沖縄県で古来よりおもてなし料理のメインに使用されてきた豚肉を、伊勢志摩で生産されている備長炭で炭焼きに。ジューシーな黒金豚に添えられた、ほのかな甘さを感じさせるハチミツ風味のソースと、素材の味が活きたパンプキンのマッシュが好相性。

■8皿目:マングローブ蟹のジューシー

8皿目

アマミキヨ伝説に由来した「米」料理も登場。伊勢神宮に奉納する「イセヒカリ」に活きたままのマングローブ蟹を丸ごと使用した炊き込みご飯は、カニの甘みや香りが凝縮した濃厚な味わいに。

■9皿目:フロマージュ

9皿目

10年もののクースー(泡盛の古酒)とともにいただくのは、琉球伝統の菓子、カカオニブがかかった冬瓜の砂糖漬け・豆腐よう・エメンタルチーズの三種。

■10皿目:島バナナのソルベと沖縄ラムのババ

10皿目

島バナナの濃厚な香りや酸味と相性の良い、ラム酒と黒糖のババロアに覆われたソルベをデザートに。同時にいろんな食感が楽しめる、サプライズを感じさせるアプローチが新鮮。

■11皿目:カーブチーのパート・ド・フリュイとドラゴンフルーツの焼き菓子

11皿目

コースの締めくくりには、フレッシュフルーツの味わいがそのまま再現されたパート・ド・フリュイと、ハッピーな南国ムードを携えたドラゴンフルーツのムースが挟まれた焼き菓子が登場。丁寧に淹れていただく、国頭村安田で生産されるオーガニックコーヒーとともにいただく菓子タイムは、まさに至福のひととき。

沖縄を代表する伝統的なレシピと樋口シェフのルーツが共鳴し生まれた11皿は、まさに五感で味わう奇跡の料理。食材の魅力を最大限に引き出された彩りある料理には、彼女の思いが生きていました。

地域や料理人、そして参加者……。関わる人すべてが一丸となって楽しむ「野外レストラン」を実際に体験できるのは、1日たったの40人のみ。今回は、コースの途中でスコールのような大雨が降ってきたりと、通常では起こり得ないような事態にも見舞われましたが、それもまた、ミステリーツアーならではの貴重な体験のひとつ。

ハプニング以上の感動に包まれた一夜は、参加者のみが知り得るプレミアムを超えたプライスレスな思い出として、心のなかで生き続けることでしょう。

日本のどこかで埋もれている地域の魅力を再発見する、新たな旅の在り方を提供する「ダイニング アウト」。次なる奇跡は、いつどこで起こるのか、今から期待がふくらみます。

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EDIT&WRITING :
石原あや乃