今の時代、女性もチームをまとめる役割を担うことも増え、会議を進行する機会もあるのではないでしょうか。しかし、「会議って苦手」「チームメンバーのやる気がなくて発言が少ない」「議論になるのは避けたい」なんて、思っていませんか?
そんなときに強い味方になるのが、「ファシリテーション」というスキル。ファシリテーションとは、「会議を生産的な方向に進行するスキル」のこと。ビジネスの場や職場において重要なスキルのひとつです。
今回は、40代からはじめるキャリアアップシリーズの第2弾として「ファシリテーション」をご紹介します。ビジネススクールで知られるグロービスで講師として活躍する鳥潟幸志さんに、現場でよくあるお困りな状態を解決につなげるファシリテーションについて、またファシリテーションスキルを身に付けるメリットなどを教わります。ワンランク上のスキルを身につけたい方は必見です!
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メンバーのやる気が低く会議も不活発…どうしたらいい?
今回は、食品メーカーで商品開発に取り組む好子さん(44歳)という女性の悩みをもとに、ファシリテーションのスキルについて学んでいきましょう。
【ケーススタディー】
現在、ふたりの子どもがおり、子育ての手が離れ、数年前に職場復帰した好子さん。これから本格的にキャリアアップをしていきたいと考えています。そんな折に新商品のプロジェクトリーダーに任命されました。しかしリーダーという役割は不慣れで手探り状態。定期的に開催しているプロジェクト会議では、メンバーのやる気が低く、発言が活発ではないことに悩んでいます。
このような好子さんの状態、自分自身と重なる方もいるのではないでしょうか。
会議のよくある失敗
まずは会議のよくある失敗の原因をみていきましょう! 好子さんの悩みも含めて、よくある会議の失敗例と原因、解決の方向性を鳥潟さんに示していただきました。
■失敗例1:「メンバーからほとんど意見が出ずに沈黙が続き、会議時間終了」
「よくある失敗ですね。原因は複数あり、一概には言えません。対処法としては、ファシリテーターとして参加メンバーが話しやすい論点を振って発言を引き出したり、メンバーの発言を尊重し、発言を理解・共有したりすることにあります」(鳥潟さん)
■失敗例2:「自分の意見をそのまま発言してしまい、リーダーとして意見を押し付けているような印象を与えてしまう」
「特に、メンバーの発言が乏しいと、このように感じてしまうこともあります。この場合、リーダーとして自分の意見を述べるというスタンスではなく、あくまで『論点を示す』のみにして、『この点についてはどうですか』と問いかけることによって議論を進めていけば、これを防ぐことができます。“論点”に着目することは、意見が対立したときの対処法にもなります」(鳥潟さん)
これらの解決策は、どちらも「ファシリテーション」というスキルなのだそうです。このスキル、なかなか使えそうですね。
そもそも「ファシリテーション」とは?
では、ファシリテーションとはどのようなものなのでしょうか。鳥潟さんに教えていただきました。
「ファシリテーションとは、プロジェクトメンバーの『ハラオチ』を生み出すコミュニケーション技術のことです。ハラオチしている状態とは、メンバーそれぞれが目的と理由を理解して、自分で生み出すべき成果や、そのためにどのようなプロセスで動けばいいのか、あるべき姿を自ら描き、メンバー自身が“やりたい”と思えるワクワク感を持ち、当事者意識をもつことのできるレベルで納得していることです」(鳥潟さん)
ファシリテーションとは、ただの会議の進行スキルではない、広い意味があったのですね。
「ファシリテーションスキル」を身につけるメリット
ファシリテーションスキルは、身につけることで会議を理想的に進めることができそうです。そして、ほかにもビジネスにおいてさまざまなメリットがあるのだそうですよ。
■1:メンバーが主体的に動き、問題解決に当たるようになる
「会議中、うまくファシリテーションによってチームを良い方向へ向かわせることができれば、メンバーそれぞれの智恵とやる気が引き出され、会議後、自ら主体的に動き、協力して問題解決に当たることができる状態にすることができます」(鳥潟さん)
■2:組織としての意思決定力が高まる
「皆が良い状態で十分に話し合って合意したことであれば、チームはもちろんのこと、組織全体としての意思決定力も高まるという結果が生まれます。組織全体に貢献できるのです」(鳥潟さん)
「ファシリテーションスキル」の磨き方の基本
メリットしかないファシリテーション力。早速、やり方が知りたくなってきました。具体的なファシリテーションの概要を、鳥潟さんに教えていただきました。
■1:事前準備「議論の仕込み1」~出発点と到達点をしっかりつかむ
「事前にこの会議をどうしたいのか、議論の出発点と到達点を考えます。1.何の話をなぜここでするのか、2.なぜそうするのか、3.どうするのか、4.誰がいつまでにどうやって行うのか、という実行プラン・コミットの確認・共有という4ステップで考えると分かりやすいです」(鳥潟さん)
■2:事前準備「議論の仕込み2」~論点を具体的に考える
「先の失敗例2で示した通り“論点”を具体的に考えて明確にとらえておくことは、会議中の意見が散乱したり、対立したりしたときに大いに役立ちます。
論点とは、『何について話し合っているのか?』という議題、問いのことです。
論点がズレると何のことを話し合っているのか分かりにくくなり、参加メンバーが混乱して発言も乏しくなります。論点をあらかじめ具体的にしておき、会議中にもファシリテーターとして『今一度、論点を整理しますと、●●です』などとメンバーに伝えることが大切。結論が出ない会議になるのを防ぐことにもつながります」(鳥潟さん)
■3:会議中は参加メンバーの発言を引き出す
「ここからは会議中にやるべきことになります。まず徹底して行うことは、『メンバーの発言を引き出す』ことです。発言を引き出すためのポイントはふたつあります。
ひとつめは、メンバーの『発言しよう』という意欲を高め、何について発言すれば良いのか迷わないように、『〇〇さんは、●●についてどう思いますか?』などと手助けすること。
そしてふたつめが、発言しやすいような刺激を与えることです。例えば、各自が考える時間を設ける、以前そのメンバーが発言した内容を改めて持ち出し、再度の発言を促すなどの方法があります」(鳥潟さん)
■4:会議中は参加メンバーの発言を正しく理解し、参加メンバー全員に共有する
「発言を理解し、共有するためには、話を聞く力が最も重要です。そのためには、ファシリテーター自身が発言をしっかり聞き、理解すること。
発言を受け止めたことを発言者にはっきり示す、理解を確認する、参加者全員が発言を理解できるようにする、という基本動作を繰り返すことが必要です」(鳥潟さん)
■5:会議中は議論を方向付ける・結論付ける
「そしてファシリテーターの重要な役割が、議論の方向付けと結論付けです。
まずは議論の方向付けのやり方です。論点の共有が十分で議論が活性化しているときは、介入することなく見守ります。論点の共有が十分にできてはいないけれど、議論自体が活性化しているときは、その論点をわかりやすい言葉にして再確認し、その論点についてしっかり議論できるように導きます。論点を広げ深めることも必要に応じて行います。
次に議論の結論付けのやり方です。最初に設定した議論の到達点と現状を比較し、決まっていること・決まっていないことを明確にします。得るべき結論が出たのか、参加者の認識や意欲が明確な状態になったのかを確認することが重要です。
また、誰がいつまでに何をするのか、行動を明確にするようにしましょう。」(鳥潟さん)
会議では、結論が出せないこともありますが、その場合どうすればいいのでしょうか?
「結論が出せないとき、やってはいけないことは、無理矢理に結論を出すことや、単に『では次回、再度議論しましょう』と終わらせてしまうこと。メンバー全員が合意するのに必要な論点を細分化して整理して、次回につなげることが重要です。
『本日の議論では●●の方向性をみなさんで合意することができました。次回の議論では●●の方向性に沿って、より具体的なアイディアを議論したいと思います』という具合に、議論で決まったこと、次回議論したいことを言語化することも大切です」(鳥潟さん)
いかがでしたでしょうか。ファシリテーションのスキルは、チームリーダーとして会議の悩みを解決できる重要なスキルです。これからファシリテーション力を磨くことに、この先、決して損はありません。鳥潟さんがプロダクトリーダーを務める「グロービス学び放題」でもファシリテーションのコースを学ぶこともできます。
どのようなスキルも、何歳からでも始められ、高めていくことができます。ぜひスキルアップとキャリアアップに対して前向きに取り組んでいきましょう!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利