高級チョコレートが普及する一方、実はカカオ豆は危機的な状況!
チョコレートの原料がカカオ豆だということは知られていますが、そのカカオ豆の生産量が実は減っていることはご存知でしょうか? 巷にこれだけチョコレートや、チョコレートを使った商品があふれているため気づいていないのですが、良質なカカオ豆は危機的な状況に陥っています。
それは、日本の農業の現場でも問題となっている後継者不足がひとつ。特に、カカオ豆の生産現場はまだ原始的な方法で生産しているところも多く、生産数も安定していません。一方で、大量消費に対応するべく、安価で大量につくることができるハイブリッド種のカカオ豆も生まれています。
パティシエのフレデリック・カッセルさんは、フランスのルレ・デセールのメンバーたちとともに、良質なカカオ豆の生産現場を変えようと、2年前から「カカオ・フォレスト」という活動を進めています。
良質なカカオの在来種を脅かすハイブリッド種の台頭からカカオの森を守り、カカオの質を維持していくこと。そして、生産者への正しい利益の還元、生産者の生活向上や子供たちへの教育。そしてそんなストーリーを私たち消費者へ認知させていくという、多角的かつ恒久的な活動を目指しています。
「ドミニカ共和国の生産現場にも行ってきましたが、小さな農園の生産者にはいまだに電気も通っていないところで火を起こし、食事をしている人もいます。プロジェクトが始動し、現地に人を常駐させることで、このような事実が明らかになってきました。
これは、かなりショッキングな光景でした。そして怖いのが、この状態のあとを継ぐ人がいなくなってしまい、その残された土地を大企業が買い取り、大量生産のカカオ豆がつくられてしまうことです。これは本当に危機だと思っています」(カッセルさん)
カッセルさんはドミニカ共和国の大臣にも面会し、カカオ農園でカカオ豆を育てることできちんとした収入を得られる未来をつくるためにも、学校をつくって小さな生産者を支えていかなくてはならないと活動しています。
「大切なのは、パティシエである自分たちが現実を知り、食べる人たちにもチョコレートを通してカカオの現状を伝えて行くこと。それがわれわれのミッションだと考えています」
ルレ・デセールのメンバーたちも写真や動画で状況は知っていても、実際に現地に行くと言葉を失うほどショックを受けるそうです。カッセルさんは、そうやって実情を知るために、パティシエたちと現地に行き、自分たちがつくったチョコレートを生産者たちに食べてもらい、彼らの育てたカカオ豆がどんなものになっているのかなどを教えています。
カッセルさんが感じた「発見」を込めたバレンタインチョコレート
今年のバレンタインの新作は、カカオ・フォレストの活動に由来する6粒のコフレ「DÉCOUVERTE(デクヴェルト)」。商品名につけられたフランス語は、英語では「Discovery」の意味。カカオ生産地ドミニカへの思い、”カカオ・フォレスト”を通じて改めて見つけられたこと、チョコレートの未来など、カッセルさんが感じた「発見」が込められています。
なかでも現地に思いを馳せながら食べていただきたいのが、オレンジ色のカカオ豆がプリントされた「デクヴェルト・ナチュール」です。カッセルさんによると「黄色い果実を思わせるフルーティーなファーストノートからドライフルーツのニュアンスを感じる酸味、 そしてフレッシュでウッディーなアロマの中にほどよい苦みが心地よいガナッシュショコラ」だそうです。あなたはどんな風に感じるのか、ぜひ確認してみて。
このほか、ドミニカ共和国産のカカオ豆を使ったショコラ3種に加えて、カカオ農園の生活向上にも貢献しているフルーツであるパッションフルーツとマンゴーをそれぞれに使ったコラボショコラを加えた全6種がセットに。
さまざまなチョコレートがセットになったアソートボックスには、バレンタインの新作ボンボンショコラ「ミラクル」が入っています。爽やかな酸味をもつカラマンシーのガナッシュショコラをホワイトチョコレートでコーティング。ホワイトチョコレートにハートのプリントでひと際目を引きます。
※掲載した商品はすべて税込です。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 北本祐子