様々なテーマを愛と毒のある視点ですくいあげたエッセイスト、高山真さんの自伝的小説『エゴイスト』(小学館刊)が映画となって2月10日に公開しました。Precious.jpでは、主人公である著者を演じるにあたって綿密にリサーチを重ね、生前の高山さんを知る近しい方々に会って取材も行ったという俳優・鈴木亮平さんのインタビューをご紹介。2023年1月から2月にお届けした、全3回のオリジナルインタビューをまとめて振り返ってみましょう!
「愛ってエゴなんじゃないか」というテーマは、僕自身も思っていたこと
この作品に流れている「愛ってエゴなんじゃないか」というテーマは、僕自身もずっと思っていたところなんです。エゴとか偽善って一般的に悪いイメージがありますけど、その結果、誰かが幸せになるんだったら、それは果たしてエゴや偽善と呼べるものなのかな?と思っていまして。
たとえば僕がいちばん惹かれたのは、浩輔という人物が恋人の龍太にも、龍太のお母さんの妙子さん(阿川佐和子)にも、献身的に愛を注ぐところなんです。どちらの愛にもおそらく、今はこの世にはいない自分の母親への果たせなかった想いが投影されていて、だから母を支える龍太にも療養中の妙子さんにも愛を注ぎたかったのではないかと、そんなふうに捉えました。
【俳優・鈴木亮平さんインタビューVol.1】“与えることで満たされる愛”について問いかける鮮烈な自伝的小説『エゴイスト』の映画化に挑戦!
この映画を観たときに自分は何を感じるのか、自分自身の発見にもつながると思います
人によって、刺さるポイントがすごく異なる作品ではないかと思っています。試写の感想を聞いても、龍太の母親との関係性がすごく刺さると言ってくださる方もいれば、浩輔と龍太の関係性が刺さったという方もいますし、交際していく中でのふたりの経済力や社会的格差の描き方がものすごく刺さったという声もありました。この映画を観たときに、自分はどこに何を感じるんだろうというのを、それこそ高山さんのように自己観察しながら自分自身に対する新たな発見をしてもらうこともできるんじゃないかなと思います。
【俳優・鈴木亮平さんインタビューVol.2】宮沢氷魚さんや阿川佐和子さんとのぞんだドキュメンタリーな撮影現場の裏側とは?
僕自身はすごく救いのあるストーリーだと思っているので、これが何かしらのヒントになってくれれば幸いです
大切な相手を失って悲しいのは、自分が愛していることもあるけれど、相手が自分のことをどれだけ愛してくれていたのかを知っているからこそ悲しいんですよね。一方通行の片思いの相手を失うときと、相手も同じだけ自分のことを愛してくれた人を失うときでは、やっぱり違うと思うんです。そのことを感じていただければ。僕自身はすごく救いのあるストーリーだと思っているので、これが何かしらのヒントになってくれれば幸いです。
【俳優・鈴木亮平さんインタビューVol.3】「演技というものに出合わなかったら、ここまでいろいろなことに関心をもつことはなかったかもしれません」
■― 愛は身勝手。― 映画『エゴイスト』2月10日ロードショー!
■あらすじ
14 歳で⺟を失い、⽥舎町でゲイである⾃分を隠して鬱屈とした思春期を過ごした浩輔。今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、仕事が終われば気の置けない友人たちと気ままな時間を過ごしている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである⺟を⽀えながら暮らす、パーソナルトレーナーの龍太。自分を守る鎧のようにハイブランドの服に身を包み、気ままながらもどこか虚勢を張って生きている浩輔と、最初は戸惑いながらも浩輔から差し伸べられた救いの手をとった、自分の美しさに無頓着で健気な龍太。惹かれ合った2人は、時に龍太の⺟も交えながら満ち⾜りた時間を重ねていく。亡き⺟への想いを抱えた浩輔にとって、⺟に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものだった。しかし彼らの前に突然、思いもよらない運命が押し寄せる――。
■原作:高山真「エゴイスト」(小学館刊)
監督・脚本:松永大司
脚本:狗飼恭子
音楽:世武裕子
出演:鈴木亮平/宮沢氷魚/中村優子/和田庵/ドリアン・ロロブリジーダ/柄本明/阿川佐和子 ほか
配給:東京テアトル
公式Twiterはこちら
※この記事は1月29日〜2月10日の記事を再掲載したものです。
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