美術館鑑賞のスタイルも、近年は変わってきています。そんななか、美術館で撮影した絵画作品などをSNSに投稿して共有するなどといった楽しみ方も出てきています。これからは、作品を目の前にスマホなどで撮影する機会が増えてくるでしょう。
撮影をするとき、大人の女性としては、ぜひエレガントにふるまいたいものですよね。そこで今回は、撮影OKな展示も行っている森美術館を例に挙げてルールを学んだ後、マナー講師でイメージアッププロデューサーの桜美月さんに、美術館における撮影マナーを教わります。
森美術館では撮影OKな展示も!そのルールは?
六本木ヒルズ森タワーにある森美術館では、展示や作品によって、撮影OKなケースがあります。もし作品を撮影したいと思ったら、ぜひルールを守って撮影したいものですよね。
そこでひとつの例として、森美術館で2019年5月26日(日)まで開催中の『六本木クロッシング2019展:つないでみる』を参考に撮影ルールを学びましょう。
この展示では、一定の条件の範囲内で、一部の作品およびエリアでの写真・動画撮影が可能になっています。展示によってサインが変わりますが、今回の展示の場合、写真撮影する際の注意点として、カメラに斜線がかかっているサインが付いている作家の作品は撮影できないとしています。
撮影OKな作品でも、撮影時には次のルールを設けています。
・作品に触れないでください。
・ほかの鑑賞者の鑑賞を妨げるような撮影はご遠慮ください。
・フラッシュの使用はご遠慮ください。
・三脚や自撮り棒の使用はご遠慮ください。
・動画撮影は1分以内に限ります。
また、撮影した写真や動画については、次のルールがあります。
・撮影された作品写真/動画は、非営利目的でのみ利用できます。営利目的には利用できませんのでご注意ください。
・撮影された写真/動画に変更を加えることはできません。
・上記作品写真の使用条件はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下で許諾されています。
・撮影した写真/動画をブログや写真共有サービスなどに利用する場合は、以下のとおり表示してください。
SNS投稿などの際にも、規定の表記に則って行う必要があります。
マナー講師がアドバイス!美術館での撮影マナーの基本4つ
実際に写真撮影を行う場合、ルールを守るのは当然ながら、大人の女性として一目置かれるふるまいをしたいものですよね。そこでマナー講師の桜 美月さんに、美術館でのエレガントな撮影マナーを教えていただきました。
「私がお伝えしております『シンデレラマナー』は、“相手への思いやり”。美術館ではたくさんの方が鑑賞に訪れますので、撮影時にも周囲への思いやりが大切です」
そこで桜さんに、エレガントにふるまう周囲への思いやりのある撮影方法を4つ教えていただきました。
■1:ほかの鑑賞している人の迷惑にならないように配慮する
「その作品の前にたくさんの人がいるのに、撮影するのは迷惑になります。写真撮影に気をとられてしまい、展示物や人にぶつかったりすることのないように、空いている時間や人の流れが途切れたタイミングを見計らって撮影するといいですね。撮影時間も長くならないように」
■2:美術館のルールを守るのは大前提
「スマホで撮影する際には、まず、その美術館が提示するルールをきちんと守ること。撮影時には、フラッシュをオフにしてシャッター音は無音、もしくは音が出るスピーカーを手でふさいで極力、音を出さないよう配慮をしましょう。そして携帯電話(スマホ)は、マナーモード(サイレント)にしておきましょう」
■3:撮影時に話が盛り上がらないように
「一緒に鑑賞する人とお話しながら楽しみたいのはよくわかりますが、鑑賞時、撮影時には声のボリュームには気をつけましょう。作品をゆっくりと静かに落ち着いて観たい方もいらっしゃるということを忘れずに」
■4:鑑賞するときの靴の音に気をつける
「オシャレをして鑑賞するのは良いことですが、ヒールの高い靴を履いていると、静かな空間で『カツカツ、カツカツ』と歩く音が鳴り響きます。音がしない靴を履くという配慮も忘れたくないですね」
エレガントにさりげなく撮影する3つのコツ
基本マナーを学んだら、いよいよ実践編へと進みましょう!
桜さんによると、エレガントにさりげなく撮影するには、次の3つのコツがあるといいます。
■1:姿勢を正す
「撮影する際には、猫背になり前かがみで写真を撮るより、背筋をしっかりと伸ばし撮影する方が美しいですよね。そして、身だしなみも整えておきましょう」
■2:スマホ操作も美しく
「スマホを操作する姿は、意外に周りからに見られているものです。操作する指先もやわらかく美しく使うように意識しましょう」
■3:撮影時に手を高々と広げない
「横画面で撮影するときは特に、どうしても脇が開きがちで見た目もエレガントではありません。しっかりと脇をしめて、スマホを目線より少し上の高さで撮影すると、人から見ても一番エレガントに見えます。もう少し手を上げて撮りたい場合は『頭の高さまで』と覚えておくといいですね」
そして桜さんは、次のようにまとめます。
「本来、美術館は一つひとつの作品をじっくり鑑賞し、自分自身の感性を高め、知識教養を身につける場。写真を撮るのに夢中になってしまい、本来の意義が薄れないように、変わってしまわないように、周囲への思いやりを忘れずにしたいものですね」
いかがでしたでしょうか。撮影できる美術館や展示が増えているからこそ、今身につけたい美術館撮影マナー。これもひとつのスキルと言えるのではないでしょうか。
ぜひ、ルールを守って、鑑賞と撮影を楽しみましょう。
出典
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利