「シルク」は高級素材の代名詞のような素材ですが、実は吸放湿性に優れ、保温性もあることから、下着の素材としても人気です。

最近は、科学技術の進歩によって、その機能性のエビデンス(証拠)も示されるようになり、肌に良いことも解明されているとか。今回は、「着るだけで肌が美しくなる」という「シルク下着」の魅力を、下着のプロである川原好恵さんに紹介していただきます。

古くから世界中で高級素材として活用されてきたシルクは、蚕の繭からつくられる天然繊維。アラニン、グリシン、チロシンなど、肌の成分に近い約20種のアミノ酸が結合しているタンパク質でできています。この肌の成分に近いアミノ酸で構成されていることが、シルクは肌の乾燥を軽減し、美肌効果も高い、と言われる由縁。

肌に直接身に着ける下着は、特にその効果を感じやすいようで、超敏感肌の方の中には「シルクの下着しか身につけない」という方がいらっしゃるのも、そんな理由からです。

冬は暖かく、夏は涼しい、シルクは「天然のエアコン素材」

シルクの下着2着
美肌へと導くシルク素材の秘密

シルクの機能性の特徴として代表的なものに、吸湿性・通気性・保温性の高さがあります。この機能性が具体的にどんな働きがあるかというと……。

・繊維の間に空気をたくさん含むため暖かい
・体から放出される水分を吸収しやすいので、汗をかいても肌ざわりすっきり
・吸収した水分を外へ放出するので、衣服内がムレない

つまり、冬は暖かく、夏は涼しい素材ということ。そのため“天然のエアコン素材”などと言われることもあるほど。1年を通して、同じ下着を着続けられるのは、衣更えの手間も省けるし、コストパフォーマンスも高いですよね。

さらに、シルクは吸湿性があるため静電気が起こりにくい、紫外線(UV)をカットする、などの機能性も。シルクは美しいだけではなく、とても頼りになる素材なのです。

かつては日本の重要な輸出品だったシルク

余談ですが、19世紀にはシルクは日本の重要な輸出品でした。そのころの歴史を物語るのが、1872年に操業し、2014年に世界遺産に登録された富岡製糸場です。ここでつくられたシルクの生糸は当時、世界中から最高級品として認められ、その名を轟かせたといいます。

残念ながら、この工場は1987年に操業停止されますが、操業停止後もその姿を大切に保管し、2005年に富岡市に寄付したのが、この記事の監修を務めていただいた片倉工業です。「日本のシルクに歴史あり」ですね。

美肌へと導く!シルクの素晴らしさを肌で感じられる、日本ブランド3選

肌に優しく、機能性に優れたシルクを使った3つの下着ブランドをご紹介。すべてが日本の工場で丁寧につくられたものばかりです。

■1:高い技術から生まれる「日本製シルク100%」のインナー【カタクラ シルク プレミアム】

シルクの下着2着全体
フレンチ袖インナー 各¥10,000(片倉工業〈カタクラ シルク プレミアム〉)
シルクのペチコートとフレアパンツ
左から/ペチコート¥7,500・フレアパンツ¥7,500(片倉工業〈カタクラ シルク プレミアム〉)

日本製のシルクを100%使用してつくられる「カタクラ シルク プレミアム」。上品な光沢感が美しいハイゲージスムース編みは、肌触りもやわらかで、シルク特有のドレープ性が魅力。服のすべりを良くするのでシルエットが整い、ヌーディーカラーをそろえておけば、薄手の服を着た時の透け防止にも重宝します。

■2:肌にしっくりなじみ「ボディーに優しくフィット」する着心地を実感【ピッシェルジョワヨ】

シルク100%のショーツとインナー
左から/ショーツ 各¥4,300・ノースリーブインナー¥8,500・7分袖インナー¥10,500(美光〈ピッシェルジョワヨ〉)

上質な天然素材を使用したブランドとして愛されている「ピッシェルジョワヨ」。そのなかでも、アコーディオンのように広がるシルク100%のリブ編みインナーは、繊細なルックスと心地良いフィット感で人気。ショーツの足口やインナーのネックラインにたっぷりあしらったレースが優雅さを演出します。

■3:「フランスのシルクをニューヨークでデザインし日本で仕上げる」最高峰メゾン【バサラ シルク ランジェリー】

ボタニカルプリントのシルクランジェリー
左から時計回りに/キャミソール¥24,000・V字ストラップブラ¥16,800・フリルショーツ¥12,200(アトリエワイ〈バサラ シルク ランジェリー〉)

有名高級ブランドも使用するメーカーのシルクに、オリジナルのボタニカルプリントをのせたモードなシルクランジェリー。肌にあたる裏地も同じシルクを使う贅沢さで、すべて日本で縫製されています。シアーなトップスから透けさせたり、ジャケットの下にインしたり、下着の枠を越えた着こなしが楽しめます。


シルクの下着は化繊に比べると価格は上がりますが、心地良さはそれ以上の価値。最高級の素材である「シルクを身にまとっている」という自信は、きっと美しさにも磨きをかけてくれるはずです。

※資料提供・監修/片倉工業

※掲載した商品はすべて税抜です。

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この記事の執筆者
文化服装学院卒業後、流通業界で販売促進、広報、店舗開発を約10年経験した後、フリーランスとして独立。下着通販カタログの商品企画などを経て、現在はランジェリーを中心に、雑誌、新聞、ウェブサイトなどで執筆・編集を行なう。モットーは「ラグジュアリーからプチプラまで」。国内外の展示会・店舗を幅広く取材する。
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PHOTO :
大槻誠一
WRITING :
川原好恵
EDIT :
石原あや乃