築50年のミッドセンチュリーな建物が、洗練されたホテルに変身
香港島の中環(セントラル)のビジネス街と緑豊かな香港公園との境に、2018年1月オープンした「ザ マレー香港 ニッコロホテル」。香港政府が発表した歴史的建築物のひとつ、1969年に建造されたかつての政府機関を、アイコニックなデザインを残しながらリノベート。香港において、久しぶりのラグジュアリーなホテルのオープンとあって、話題を呼んでいます。
印象的なのは、ヘリテージともいえる秀逸なデザインが見て取れる外観でしょう。25階建ての外壁一面に、正方形の埋め込み式窓が規則正しく並んでいます。このガラス窓が優れもの。45度に角度をもたせることで直射日光を避け、エアコンなどの省エネにつながる。サスティナブルな設計になっています。
また、かつてドライブウェイとして使われていた1~3階は、巨大なアーチ状の柱が連なるデザイン。この場所はイベント会場として、シャネルやディオールのファッションショーや、ポルシェのモーターショーも開催されています。
プライベート感が心地いい、上質を集めたホテル空間
樹齢100年のカシアの大木が涼しげな木陰をつくるコートヤードを横目に、ホテルのエントランスへ。ショッピングモールとの合体型ではなく、独立したホテルであるせいか、落ち着きのある風情を感じます。
1~3階まで吹き抜けになった光あふれるロビーは、白の大理石にゴールドの縁取りがアクセントに。見上げれば、韓国のアーティストによる、炭でつくられた漆黒のシャンデリアが。プライベート感になごみながらも、インパクトのあるファーストコンタクトです。
336の客室は、その75%が50平方メートル以上。香港のホテルの平均的な客室の広さは35平方メートルなので、それを大きく上回る、ゆったりとした間取りです。
デザインのコンセプトは「コンテンポラリー・アーバン・シック」。大きな窓からは香港のシティビューや香港公園の眺めが広がります。ミニバーのラインナップやさりげなく置かれたコーヒーテーブルブック、16種から選べる枕メニューなど、細部までこだわりがたっぷり。ちなみに、リビングとガラスの壁で仕切られたバスルームは、スイッチひとつでマジックミラーに変わります。
客室の最上位クラスは4室のみの「マレー・スイート」。リビングやダイニング、ベッドルームなどに加え、フィットネスルームやパントリーまでも備え、広さ225平方メートル。
なかでもバスルームの広さには目を見張り、ちょっとしたワンルームの部屋くらいはありそう。外光が降り注ぐ室内に巨大なバスタブ、カスタムメイドの大きなシンクが置かれ、フレッテ社製のふかふかのタオルやバスローブ、グロウン・アルケミストのバス・アメニティーなどが用意されています。
エグゼクティブの旅に必須な、5つのレストランやウェルネス施設も充実
レストラン&バーは5か所。新たな香港のナイトスポットとして注目を浴びるのは、ルーフトップの「ポピンジェイ」。フルハイトの大きな窓が270度ほどめぐらされ、ビジネス街や緑の香港公園、市街地のパノラマビューが広がります。
モダン・ヨーロピアンの「ザ・タイ・パン」、アフタヌーンティが人気の「ザ・ガーデン・ラウンジ」、金融街にまつわるネーミングのカクテルなどでウォール街を思わせるバー「マレー・レーン」。そして、ミシュランの星を獲得した「國福樓」も入っています。
24時間利用できるジムやグリーンウォールの屋内プールなど、ウェルネス施設は3階に集合。スパはシンプルなメニューながら、カウンセリングのあとで、目的に応じてマッサージオイルを調合。その種類は100パターンを超えるそうです。
上質を追及しつつ、プライベート感がくつろげるこのホテル、香港のノンストップな街遊びから戻ると、ほっとできる空間です。
問い合わせ先
- The Murray Hongkon, a Niccolo Hotel TEL:852-3141-8888
- 住所/22 Cotton Tree Drive, 香港, 中国
- 料金/N1デラックス 6,000香港ドル/泊、マレー・スイート 51,300香港ドル/泊(税、サービス料別)
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- TEXT :
- 古関千恵子さん ビーチライター
公式サイト:古関千恵子ホームぺージ
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- WRITING :
- 古関千恵子
- EDIT :
- 安念美和子