白いリンカーン・コンチネンタルと葉巻がトレードマーク。孫の誕生を祝いに真っ白なタキシード姿で病院へ訪れ、赤ちゃんに向かって「How do you do? Nice to meet you(はじめまして)」と英語で挨拶……。
幼少期から海外体験を重ねてきたゆえ、いわゆる昭和の日本人とは規格外の感性の持ち主だった“ジョン金谷鮮治”。日本最古のリゾートホテル創業者をルーツに持ち、自らも「鬼怒川金谷ホテル」の創業者である粋人です。
そのジョン金谷鮮治が愛しただろう“森の別邸”をコンセプトにしたのが、こちら「KANAYA RESORT HAKONE(カナヤリゾート ハコネ)」。壮年期の彼が仕事の合間に、心静かにものを考えるために訪れる場所を造るとしたら、こんな邸宅なのではないか。そうしたストーリーが根底に流れています。
ジョン金谷鮮治が愛したであろう森の邸宅
箱根・仙石原の6500坪の森にたたずむ地上2階、地下1階の邸宅に客室は14。コンセプトスイートの「JOHN KANAYA Suite(ジョンカナヤ スイート)」は、リビング&ダイニングとベッドルーム、バスルーム、テラスからなる132.72平方メートル。ルームキーからして斬新で、スマホをタッチして開くもの。新しいものを受け入れる彼なら、きっとすぐに取り入れたであろう最新技術です。
ジョンカナヤ スイートには、こだわりが随所に見られます。リビング&ダイニングに置かれた箱に入った数種類の紅茶は、それぞれに飲む時刻が印字され、昼食前や夕食前、就寝時など、その時の心境にあわせたブレンドになっています。和紅茶とエルダーフラワーやアップルピース、緑茶にラベンダーとオレンジフラワーなど、和洋折衷な組み合わせがジョン金谷鮮治らしい。
通常よりもやや高めのベッド、金糸でリゾート名の刺繍がほどこされたタオルやバスローブ、細部までの心くばりがスペシャルな気分にしてくれます。
落ち着いた色調のリビング&ダイニングは、ホテルのような“ハコ”というよりも、肌になじむ“家”のようなくつろぎ(この部屋の入口も玄関のような造りだからでしょうか)。床近くから天井までの窓からも外輪山を望みます。
麻布の名店の志を継承したレストランで、伝説の“金谷玉子”を
レストラン「西洋膳所JOHN KANAYA」では、「鬼怒川金谷ホテル」から運んだガブリエル・ロワール作のスカルプチャードグラス(ステンドグラス)が迎えてくれます。かつて西麻布で一時代を築いた「西洋膳所ジョンカナヤ麻布」の流れを汲み、ジョン金谷鮮治の哲学である“和敬洋讃”(和を敬い、洋を讃える)を料理に表現。つまり日本の食文化と、西洋の料理やインテリア、サービスを融合させた、“お箸でいただくフレンチ”が楽しめます。
ちなみに、家紋が刻印された箱に収められた箸や、美しいラインの肉用ナイフ、ライヨールのためにつくられた寄木細工のナイフスタンドまでもオリジナル。
ここへ訪れる楽しみのひとつが、西麻布時代に、フレンチの大家・坂井宏之シェフが生み出した、伝説の“金谷玉子”。これは生卵の殻を糸ノコで切り取り、薄皮だけ残しつつ70度でじっくりと蒸し、その上にトリュフソースがのったもの。玉子の絶妙な半熟具合がたまりません。
合わせて供される鴨のスープが、ワイングラスに注がれるのもユニークです。昭和の高度成長期を颯爽と闊歩したジョン金谷鮮治。箱根の森の隠れ家で、彼の美学に触れてみるのはいかがでしょう?
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問い合わせ先
- KANAYA RESORT HAKONE TEL:0288-76-2030(予約9:00~20:00)
- 住所/神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1251-16
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- TEXT :
- 古関千恵子さん ビーチライター
公式サイト:古関千恵子ホームぺージ
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- WRITING :
- 古関千恵子
- EDIT :
- 安念美和子