シーズン最後のクライマックスとなった、2019年世界フィギュアスケート選手権大会。ルール改正で4分半から4分間へと短縮された男子シングルのフリースケーティングには、苦戦する選手たちの姿も。しかしそんな中、アメリカのネイサン・チェン選手や羽生結弦選手は、難しいジャンプを次々と成功させて加点も獲得! 今シーズン、誰も超えられなかったトータルスコア300点を超え、まさに異次元の対決を繰り広げました。
そして今大会では、初優勝を狙う宇野昌磨選手や田中刑事選手の演技も注目の的に。さらにヴィンセント・ジョウ選手やボーヤン・ジン選手など、「4回転時代」を牽引するトップ選手たちの躍進ぶりも脅威となりました。そんな熱戦の様子を、美しき男子スケーターたちの写真とともに振り返ります。
まずは、表彰台を制したネイサン・チェン選手などトップ3をチェック!
■あのヤグディン以来の連覇を達成! 秀才「ネイサン・チェン」選手
アメリカのディフェンディング・チャンピオン。今シーズン無敗であり、高難度の4回転ジャンプを操る王者として知られます。ショートプログラム『キャラバン』では、パーフェクトな演技でシーズンベスト更新! また、フリースケーティングでは序盤から4回転ルッツ、4回転フリップ、4回転トウループと大技を成功させ、世界最高得点を更新しての優勝!
今世紀初めての10代の選手による連覇で、2002年ソルトレイクシティ五輪の金メダリストであるロシアのアレクセイ・ヤグディン氏以来の快挙となりました。19歳とは思えない、知的で落ちついた表情も魅力!
■怪我からの復活! 渾身のフリーで銀メダルを獲得した「羽生結弦」選手
今シーズンは、自らの原点に立ち戻ったプログラムを演じた羽生選手。ショートプログラムでは得意の4回転サルコウが2回転となってしまうミスがありましたが、フリースケーティングでは4回転ループを鮮やかに着氷。世界で羽生選手だけが跳べる4回転トウループ-3回転アクセルの連続ジャンプを決めると、会場は大興奮に包まれました。
「勝ちたい」という強い気持ちが伝わる圧巻の演技に、約1万8000人の観客はスタンディングオベーション! 300点超えのトータルスコアを叩き出し、結果2位に。本人は悔しそうな表情を見せましたが、怪我からの復帰戦とは思えない素晴らしい演技に拍手!
■もう一人のアメリカ代表! 驚異のジャンパー「ヴィンセント・ジョウ」選手
チェン選手と並び、ジャンプを得意とする18歳のアメリカ代表。4種類の4回転ジャンプを操る選手で、今年2月の四大陸選手権で銅メダルを獲得しました。ショートプログラムでは4回転ルッツ-3回転トウループという最高難度の連続ジャンプを成功し、高い出来栄え点を獲得。
フリースケーティングでは映画『グリーン・デスティニー』のサウンドトラックに乗せて、優雅な演技を披露。ジェフリー・バトル氏の振り付けで、豊かな表現力もアピールしました。フィニッシュ後には大きなガッツポーズを見せるシーンも。堂々の3位入賞で、今後もますますの活躍が期待されます。
そのほか、素晴らしい演技を見せたスケーターたちに注目!
■圧巻の表現力は健在! 唯一無二の魅力を誇る「宇野昌磨」選手
全日本選手権3連覇中の宇野選手。今シーズンは四大陸選手権のフリースケーティングで世界最高点をマークするなど、素晴らしい躍進を見せています。今大会は、攻める気持ちを強く持って挑みましたが、ショートプログラム『天国への階段』では4回転フリップを転倒。まさかの6位発進となりました。
フリースケーティングでもジャンプの乱れが見られたものの、ベートベンの『月光』を情感たっぷりに表現。持ち前のスピードと表現力を十分に発揮し、スピンやステップはすべてレベル4(最高難度)を獲得しました。4位という結果で惜しくも表彰台を逃しましたが、その勇敢な挑戦に拍手!
■ついに自信を取り戻した! 不調から復活した「ボーヤン・ジン」選手
今シーズン前半は不調に苦しんだジン選手でしたが、フリースケーティングでは冒頭の4回転ルッツを鮮やかに着氷。その高さのあるジャンプに、会場からは驚きの声が上がったほど。4回転トウループ-2回転トウループの連続ジャンプも成功し、高い技術点で他の選手を引き離しました。
今回フリープログラムに選んだのは、映画『トーク・トゥ・ハー』のサウンドトラック。情熱的なパーカッションに合わせた演技は、彼の新たな魅力を引き出しています。昨年は19位に沈みましたが、今大会では堂々の5位に。キス&クライ(採点の発表を待つための場所)では久しぶりに明るい笑顔も。
■力強さとスピードを感じさせる演技で観客を魅了!「田中刑事」選手
今回、初めて母国開催での世界選手権に出場した田中選手。今シーズンはサルコウジャンプの精度が上がらず、苦しいシーズンとなりました。しかしショートプログラムでは、気持ちのこもったステップシークエンスで観客を魅了。フリースケーティングの『ウィリアム・テル序曲』では、序盤の4回転サルコウ-2回転トウループの連続ジャンプをパーフェクトに着氷!
細かな得点の取りこぼしは見られたものの、スピード感あふれる演技で14位に。その健闘にスタンディングオベーションが送られました。会場を熱気に包み込む田中選手らしい演技に、今後も期待です!
<2019年世界フィギュアスケート選手権の主な日程>
・3月24日(日)エキシビジョン
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いかがでしたでしょうか? ショート、フリーともに圧巻の演技を見せたチェン選手は、今後も日本勢の強力なライバルとなりそうですね。そして今シーズンも素晴らしい躍進を見せてくれた羽生選手、宇野選手、田中選手のスケートには今後も目が離せません!
さて、本日24日は日本選手をはじめ、注目のトップスケーターたちが出演するエキシビションが開催されます。「Precious.jp」では、この華麗なエキシビジョンの様子もお届けしますので、どうぞお楽しみに!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- Fuyuko Tsuji