「考える力が足りない人は、自分がやってしまった失敗から“原因”を見つけ出し、そこから学ぼうとしません。ですから同じミスや過ちを何度も繰り返します。考える力とは、失敗から原因を探って改善させて、成長へとつなげる力ではないでしょうか」と川下さん。ではさっそく、川下さんにあげていただいた「考える力が足りない人が、無意識でやっているよくない習慣を6つ、ご紹介していきましょう。

■1:「ジムやヨガなど、継続できず入会金のムダをしている」のはNG

解約するのが面倒、になっていませんか?
解約するのが面倒、になっていませんか?

運動不足の解消やダイエットのため、ジムやヨガへ通おうと入会したものの「なぜか長続きしない」という人が多くいるようです。

「運動する習慣を身につけようとするのに、継続せずに気がつけば入会金などを無駄にしただけ、という人は多くいます。こうした場合、なぜ継続しないのか、を考えないと同じことを繰り返してしまいます。

継続しない理由は『動詞・To Do(すること)が多すぎるから』なのです。

例えばジムの場合は、ジムに行く、受付する、着替える、ワークする、シャワーして着替える、などなど、とにかく動詞・To Do(すること)が多い。これらの動詞を克服できるのは、本当に強い意志をもって入会する人だけです。

もし、運動不足を解消したい、くらいのことならば、自宅近くの公園などでも、やれることはたくさんあります。その場合、かなり動詞は少なくて済みます。著書『ざんねんな努力』にも書きましたが『動詞・To Doを少なくすること』が、習慣化を成功させる秘訣のひとつだと心得ましょう」(川下さん)。

確かに「すぐできること」であれば習慣にしやすく、長続きもします。そのためにはえいやっという決断や思い切りが必要な「To Do」を減らす工夫をすること、が重要なようです。

■2:仕事でもなんでも「安請け合い」してしまうのはNG

快く引き受けることと、仕事ができると判断されることは、また別もの
快く引き受けることと、仕事ができると判断されることは、また別もの

「これ、お願いできる?」と頼まれると、とにかくふたつ返事で「はい」と受けてしまう人がいます。その結果、期限が守れずに周囲が迷惑する、そんな人っていますよね。

「誰にでも、仕事で認められたいという承認欲求があります。その反動からか、他者からの依頼を断ると『仕事ができない人と思われそう』と勘違いする人がいます。

こういう人は、自分のキャパシティや業務処理能力を考えずに、頼まれたことは何でも安請け合いして、結局、期限内に仕事を完了できずに周囲に迷惑をかける、という結果を生みがちです。この悪循環の原因は、『その場しのぎで安請け合いをして信用を得ようとすること』と『先のことをシミュレーション(予測)しないこと』にあります。

そこで仕事の依頼を受ける前にまずは、『今この仕事を受けたらどうなるか』という先の展開を、自分のキャパシティや起こり得るトラブルなども想定しながらシミュレーションしましょう。そして、『その期日内にできます』もしくは『その期日までには無理ですが、●日までになら完了できます』と、適正な判断をして返答します。こうすることで、相手からの信頼度も高まるのです」(川下さん)。

その場しのぎの返事をするのではなく、先を見通して適正な判断したうえで、返事をする。ビジネスの基本でありながら、それができていないことが、意外と多いそうです。

■3:朝、出勤用の服選びに時間をかけてしまうのはNG

服は前日に選んでおけばストレスも減らせます
服は前日に選んでおけばストレスも減らせます

気分爽快に目覚めたのに、出勤のための準備をあれこれとやっているうちに「なんか疲れた」と思ってしまうことはありませんか?

「朝食は何にしよう、今日はどんな服にしようかなど、出勤前に『選択作業』を多くすることは、オススメできません。というのも、日常のささいなことであっても、選択作業は意思決定であり、それなりに集中力を使う作業なのです。

このことはあまり皆さん意識していませんが、実は人が1日に使える意思決定力(集中力)は、決して多くありません。その貴重な力を朝から使うと、そのぶん、精神的に疲れやすくなります。

そこで、デートの際の服選びや、おしゃれを楽しむ休日などはじっくりするにしても、出勤時の服選びは、前日に選んでおくかパターン化してしまって、意思決定力(集中力)を使わないようにするのが理想的です。

そうすれば出勤時、集中力100%で会社へ向かえるようになり、仕事での成果にもつながりやすくなるでしょう」(川下さん)。

先のアメリカ大統領、オバマ氏はこの些細なストレスをなくし、決定力を重要な案件に発揮できるよう、スーツのコーディネートを前もって決めていたそうです。服選びでも、あれやこれやと迷っていると、その結果「ああ、疲れた」となることも多いですよね。そのように選択には集中力が必要で、1日に使える力に限りがあるのであれば、ぜひ有効に使いたいものですね。

■4:「嫌な仕事・苦手な仕事」にゲーム性をもたせる

面倒な仕事はゲーム化
面倒な仕事はゲーム化

「自分には不向きなだ」「面白くない」など、そんな仕事をしなくてはいけないこともあります。こういう状況であっても、少し考えれば、前向きになれるそうです。

「会社では、楽しめる仕事ばかりができるわけではありません。『この仕事、つまらない、嫌だな、苦手だな』と思いつつも、そのまま淡々と『給料のため』とやっている人は多いでしょう。しかし、それはもったいないことです。

例えば、その仕事に『この計算を10分以内に処理したら、ご褒美がもらえる』など、仕事にゲーム性を持たせるなどの工夫をしてみましょう。

このように仕事をゲーム化してしまえば、モチベーションも上がり、嫌な仕事を楽しい仕事にも転換できます。

また、ゲーム性を見つける際に、その作業をもっと効率化できるやり方を発見できたりもします。その結果、上司からの評価も上がり、自分が本当にやりたい仕事を任せてもらえることにもつながるはずです」(川下さん)。

仕事をゲームに見立てて面白くするとは、ユニークな発想ですね。でもきっと皆さん、無意識的に近いことをしているのかもしれません。その結果、作業の効率化などにつながれば、自身の成長にもつながるわけですね。

■5:「朝のルーチン」をつくっていないのはNG

朝、習慣にしていることがどれだけありますか?
朝、習慣にしていることがどれだけありますか?

夜遅くまで活動して、朝をなんとなくダラダラと過ごしてしまっている。そんな人は要注意のようです。

「起床後の朝時間は、脳も活性化しています。こうした朝時間は、資格の勉強、ヨガ、読書、ウォーキングなど、ルーチン(習慣)作りに最適な時間帯です。この時間帯を有効に活用しない手はありません。会社帰りにジムやヨガに行くより、朝、自宅や公園でトレーニングをするのもいいでしょう。

朝時間というのは、夜よりも計算しやすい時間帯でもあります。夜にルーチンをしようとしても、飲み会や残業が入ったり、なにかと予定が狂いがちです。その結果、『今夜はパス』という状態が続くと、習慣にしたいこともできなくなります。その意味からも、『朝のルーチンづくり』はとても効率的で、効果的なのです」(川下さん)。

「朝時間の有効活用は、習慣作りの鉄則」というわけですね。夜型の人は、ぜひ、朝型へと切り替えていきましょう。

■6:「目標や夢」を他者に公言しないのはNG

目標や夢は、恥ずかしさも手伝って周囲の人に言えなかったりします。でも、本当に実現させたいときは、周りの人にもどんどん公言するべきなのだそうです。

「私自身、これまでにダイエットや断酒などの目標を達成してきました。その際、周囲に言い出しにくいこともありますが、逆に周囲の協力があって成し遂げられることも多くあります。

必達目標や夢は、『秘かに達成させよう』とか『公言してできなかったら恥ずかしい』などの発想は捨てて、周囲に『公言する』ことが大切です。

心理学でも言われていますが、目標や夢の実現は『コミットメント(集中すること)』がカギを握ります。公言してしまえば『もう、やるしかない』と、コミットメントやモチベーションアップにもつながり、『じゃあ、これを試してみたら』など、周囲の人のサポートなどが得られることもあって、目標達成率を上げてくれるのです」(川下さん)。

目標や夢の実現は、自分の力だけに頼ろうとせず、周囲の力も借りながら達成する。ぜひ、実践していきましょう!

以上、いかがでしたか? 人生には失敗はつきものですから失敗を恐れるのではなく、同じ失敗を繰り返さないよう成長することが大切です。ぜひ、川下さんのアドバイスを有効に活用してみてくださいね。

川下和彦さん
クリエイティブディレクター/習慣化エバンジェリスト
(かわした かずひこ)2000年、慶應義塾大学大学院修士課程終了後、総合広告会社に入社。マーケティング、PR、広告制作など、多岐にわたるクリエイティブ業務を経験。2017年春より、新しい事業を創造し、成長させることを標榜するスタートアップ・スタジオに兼務出向。広告クリエイティブに留まらず、イノベーション創出に取り組んでいる。著書に『コネ持ち父さん コネなし父さん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ざんねんな努力』(アスコム)などがある。
ざんねんな努力
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
町田 光
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