普段、ストレスを感じるとお腹にきてしまう、という方はいませんか? 上手にストレスケアしたいものですよね。
そこで今回は、脳と腸がつながっているという考え方である「脳腸相関」の観点からの対策であるマインドフルネスの、大人女性におすすめのやり方を、東京マインドフルネスセンター センター長・長谷川洋介さんに教えていただきました。
脳と腸はつながっている!?
ストレスが増してくると、精神面だけでなく、血管や脳などへも悪影響が及ぶといわれます。長谷川さんは、ストレスが自律神経へ及ぼす影響について次のように話します。
「自律神経には、交感神経と副交感神経とがありますが、不安やストレスが多い緊張状態になると、緊張感を高める交感神経が優位になります。
長期的に交感神経が優位になった緊張状態が続くと、副腎から分泌されるストレス物質のコルチゾールが増え続け、血管にダメージを与えたり、脳を委縮させたりと、深刻なダメージが現れることもあるといわれています」(長谷川さん)
ストレスは、脳にも影響があるのですね。
脳腸相関LABOによると、「脳」が疲れると「腸」の不調を引き起こしたり、「腸」の不調によって「脳」で考えることのクリアさを減退させたりする、といった脳と腸の相関関係「脳腸相関」が近年、話題になっているといいます。
例えば、脳がストレスを感じるとお腹の調子を崩してしまったり、反対に腸の調子が悪いと不安感が増したりしてしまったりすることがありますが、これらは、脳腸相関の代表的な例だといいます。
ストレスに敏感!お腹の調子を崩しがちな人におすすめの「マインドフルネス」
ストレスに敏感で、お腹の調子を崩しがちな人は、脳腸相関の観点から「マインドフルネス」を行うのがおすすめだと長谷川さんは話します。
マインドフルネスとは、正式には「マインドフルネス・ストレス低減法」という心理学的治療のひとつで、うつや不安症の医学的治療効果や、健常人の生活の質を高める作用も確認されている方法のこと。
治療関連だけでなく、世界各国の教育現場や、ビジネスパーソンのメンタル調整法として、海外の有名企業の研修などにも取り入れられています。
「マインドフルネスは、ひと言でいうと『気づくこと』です。自分のお腹の不調にもいち早く気づければ、すぐにセルフケアができる可能性も出てきます。食事やサプリ、睡眠、運動、日常生活のちょっとしたお腹の不調を、マインドフルネスで調律することが大切です」(長谷川さん)
3分間、呼吸を意識してみよう
まずはマインドフルネスの基本として、呼吸法を実践してみましょう。
「呼吸法は、マインドフルネスの基本となるものです。呼吸そのものに集中することで、『今、ここ』に気持ちを集中することができ、終わったあと、気持ちが軽くなります。まずは、自分の呼吸に3分間だけ注意を向けてみてください。鼻からゆっくり息を吸い、鼻からゆっくり息を吐くのを繰り返します。
マインドフルネスでは、呼吸を無理にコントロールしません。呼吸が浅い場合も、自分の呼吸が浅いことも意識して、不安や緊張など現在の状況を認めることがポイント。無理に心や呼吸を落ち着かせる必要はありません」(長谷川さん)
忙しい人には「散歩瞑想」がおすすめ!
マインドフルネスは、日常で簡単にできる方法もあるのだとか。忙しい大人女性におすすめの方法を教えていただきました。
「歩きながらできる『散歩瞑想』がおすすめです」(長谷川さん)
●散歩瞑想のやり方
「『歩く瞑想』という、呼吸を意識しながらも、歩くことや繊細な身体の動きに注意を向けていく歩きながら行う瞑想法があります。これがもう少し気軽にできるものが、『散歩瞑想』です。
散歩瞑想は、屋外を、普段の歩く速度より、ゆっくりと歩きます。時間を気にせず、特に目的地も決めず、ただ五感を開くイメージで歩きましょう。
はじめは歩くことそのものに意識を向けてあげてください。慣れてきたら公園などでゆっくりと、自然を五感で感じながら歩いてみてはいかがでしょうか。何もしない時間をもつことを味わってみてください」(長谷川さん)
マインドフルネス瞑想を実践するには?
帰宅後や週末には、本格的なマインドフルネス瞑想を取り入れてみるのもよいかもしれません。一日何分、いつ、どのくらいの頻度でやるのがいいのでしょうか?
「はじめは数分程度の短い時間から始めて、だんだん数十分程度と、時間を長くしていくとよいと思います。短い時間でも、毎日行うことが理想的です」(長谷川さん)
いまは、東京マインドフルネスセンターなどの教室に通ってマインドフルネスを習い事のように習慣化することもできます。
「ひとりで実践するより、マインドフルネスを早く身につけられるでしょう。実践での困ったことや相談したいことを指導者にアドバイスしてもらいながら深めることができます」(長谷川さん)
マインドフルネスは習慣化が大切といわれますが、まずは今抱えているストレスケアとして、呼吸法や散歩瞑想から始めてみるのもよいのでは?
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利