「ひかげ」という漢字を電子変換すると出てくる「日陰」と「日影」。意味の違いと使い分け、把握できていますか?
気温が夏日を超す日がちらほらと混じり、UVケアの欠かせない季節が到来いたしました。会話やメールの中でも、暑さにまつわるご挨拶を交わすことが増えて参りますね。
心遣いのご挨拶の際、もしも言葉の使い方を間違えてしまったら? Respect(尊敬される)女性から、Shame(残念な)女性にならないために、この時季に使用しがちな、間違えやすい日本語についておさらいしておきましょう。
というわけで、クイズです。
【問題1】「ひかげで涼をとる」という時の「ひかげ」の表記で正しいのは、次のどちらでしょうか?
1:日陰
2:日影
あなたはRespect? Shame? …正解は?
正解は…
1:日陰 です。
「陰」「影」ともに暗い場所を表現する漢字です。読み方も同じならイメージも似ていて、混乱を招きやすいですね。
しかし、「かげ」という漢字一文字の持つ意味が、そもそも微妙に違うのです。
「陰」は、光や風雨などがさえぎられた場所を意味し、必ずしも光ありきで使用する漢字ではありません。「物陰(ものかげ)に隠れる」などでも使用できます。
これに対し、「影」は、光源の反対側に光とセットでできる、暗い部分…つまり、まず光ありき、の暗い部分を表現する漢字です。
では、後者を使用する「日影」には、どんな意味があるのでしょうか?
すでにご存知で使い分けもできている方には蛇足だと思いますが、「日影」は、影もセットになったものとしての「日光、陽射しそのもの」を表現した単語です。会話文なら「暑いわね。日影が傾くまで休憩しましょうか?」というような使い方をします。また、夕日の事を「入り日影」と表現する日本語も存在します。
光がないのが「陰」、光があるのが「影」。同じ「かげ」でも、状況は正反対というわけです。
ではもう一問、季節のご挨拶で頻出する言葉に関する、常識クイズです。
【問題2】「暑さ厳しき折柄」の「折柄」の正しい読み仮名は、次のどちらでしょう?
1:おりがら
2:おりから
あなたはRespect? Shame? …正解は?
正解は…2:おりから です!
「折柄」は、「折からの雨で」という表現にも使用される「おりから」と同じ言葉で、「ちょうどその時」という意味です。文章では「折柄」と「から」も漢字表記する事が多いので、「時節柄(じせつがら)」「人柄(ひとがら)」「土地柄(とちがら)」などで使用する、「がら」という濁った読み方と混乱しやすいですね。
「折柄」は「おりから」と濁りません。
「時節柄」は「じせつがら」と濁った音で読みます。
大切なお手紙やメッセージを読み上げたりする際、うっかり間違わないよう、留意いたしましょう。
暑い季節でも凛とした涼を感じさせるような、落ち着いた大人の女性で参りましょう!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱