梅雨シーズン中、頻繁に手にする傘。降ったり止んだりする日は傘を一日中持って歩くこともありますし、大降りの日は傘が濡れて水滴などの扱いに困ることもあります。
そんなわずらわしさを感じているのは、みな共通! 少しでも周囲に好まれる傘の取り扱い方を実践したいものですよね。でも、意外とできていないこともあるかもしれません。
今回は、意外と気づかずやってしまいがちなNGな傘の扱い方と、基本のマナーを、マナー講師の片岡かこさんに教わります。
意外とやりがち!NGな傘の扱い方5選
まずは意外とやりがちな、傘の扱い方でNGなものを5つピックアップ。片岡さんになぜNGなのか、そしてエレガントな傘の扱い方を教えていただきました。
■1:閉じた傘の先を真後ろに向けて歩く
「閉じた傘の先を真後ろに向けて持っている方は意外と多いですが、後ろの方に傘の先が当たってしまう恐れがあり、危険です。特に階段やエスカレーターでは、後ろを歩いているのが小さな子どもだった場合、傘の先がちょうど子どもの顔の位置となり、かなり危険です」
●エレガントな傘マナー
「閉じた傘はできるだけ地面に垂直に、真っすぐ持ちましょう。肘を曲げて持つようにすると真っすぐに持ちやすくなりますよ」
■2:傘を閉じたあと、傘をバサバサと振って水滴を飛ばす
「傘を閉じたあとバサバサと振ると、水滴が飛び、周りの方が濡れてしまう可能性があります」
●エレガントな傘マナー
「早く水滴を落としたいという気持ちはわかりますが、周りの方のことも考えましょう。閉じた後はしずくが付いたまま傘をまとめ、先を下にして静かに上下にトントンと振ります。重力に従ってしずくが落ちるのを『助ける』という意識で静かに行うといいですよ」
■3:混んでいる道でも、傘を差しながら「ずんずん」歩く
「傘を差して歩くと、普段よりも広くスペースを使います。混んでいる道で傘を差しながらずんずん進んでしまうと、自分の傘が周りの方の傘や体に当たってしまう危険性があります」
●エレガントな傘マナー
「基本的には、傘は肩にかけて斜めに差さず、持ち手を真っすぐにして差しますが、狭い歩道などでは、真っすぐに差していると、すれ違うことが難しいことがあります。そのような場合は、互いに傘を傾け、譲り合う気持ちをちょっとした仕草で表すことができると、人としての品性が感じられますね」
■4:人のそばで急に傘を開く
「人が近くにいる場所で急に傘を開いたり、先を上に向けて傘を開いたりすると、骨の先が周りの方の顔などに当たる恐れがあり、危険です」
●エレガントな傘マナー
「周りの様子をよく確認し、先を斜め下に向けながら、ゆっくりと開きましょう。ボタンで開くタイプの傘でも、手を添えながら開くと、勢いよく開いてしまうことを防げますよ」
■5:傘を差しながら「ながらスマホ」で歩く
「傘を差しながらの『ながらスマホ』は周りの状況を把握しにくいだけでなく、両手がふさがってしまうので、もし転んだときに大きな怪我をしてしまう可能性があります」
●エレガントな傘マナー
「忙しいと、どうしてもスマホを利用しなくてはいけないこともあるかと思いますが、スマホを操作するときには、周りの方の邪魔にならないところに立ち止まって操作をすることで周囲や自分への危険が減ります」
傘のエレガントな扱い方の基本
これまで教えていただいたことを含めて、傘をエレガントに取り扱う方法をまとめてご紹介します。ぜひ基本をマスターして、自然な所作ができるようにしましょう!
■1:傘の持ち方
「傘を持って歩くときは、先を真下に向け、真っすぐに持ちます。肘を伸ばしたままで持つと、先が後ろに向いてしまうので、肘を少し曲げて体の斜め前で持つようにすると真っすぐに持ちやすくなります。また、傘を握りこむのではなく、指先をそろえて持つとよりエレガントな持ち方になりますよ」
■2:傘の差し方
「斜めではなく、持ち手を真っすぐにして差すと美しく見えます。人とすれ違うときには、少し傘を傾けましょう」
■3:傘の閉じ方
「周りの方に当たってしまう危険性を考えて、横向きで閉じるのではなく、差したままの状態で、少し傘をすぼめてから下にし、下に向けた状態で完全に閉じましょう」
■4:閉じた後の傘の処理方法
「百貨店など、建物の中に入るときには、入口に設置してある傘用のビニール袋や、しずくを落とす傘振り場などを利用しましょう。濡れた傘をそのまま持って建物に入ると、床や商品が濡れてしまいます。床が濡れると、滑りやすくなるので、ほかの方が転倒してしまう可能性もあります。
また、外を歩いた靴の裏は砂ぼこりで汚れていますので、それに水分が混ざると、建物の床に泥汚れがついてしまいます。建物の中に傘を持ち込むときにも周囲の方に配慮した行動をしたいですね。
また、傘袋は市販されていますので、マイ傘袋を持つことで公共の場にも配慮した行動になります」
折りたたみ傘の扱い方の注意点
長傘は持たず、折りたたみ傘のほうを持つことが多いという方もいるでしょう。折りたたみ傘はどのように取り扱うのがいいのでしょうか?
「折りたたみ傘はコンパクトで便利ですが、扱い方によっては長傘よりも周囲に迷惑になってしまうこともあります。例えば、飲食店などで濡れたまま椅子の上に置くことのないようにしましょう。
また、折りたたみ傘の持ち手の部分がバッグに収まらず、バッグから出てしまうこともあるかと思いますが、その状態で歩いていると、持ち手がもともと折れ曲がったタイプの折りたたみ傘の場合、ほかの方の荷物やイヤホンのコードなどに引っかかってしまうこともあります。
折り畳み傘をバッグに入れるときには持ち手の向きにも気を付けたいですね」
梅雨の間、傘を差したり、持ち歩いたりする機会は増えます。このときに、どれだけ気を遣えるか、どれだけ正しい所作を習慣化できるかがポイントといえそうですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利