「女性活躍の時代」といわれて久しいですが、有名企業で女性初の要職に抜擢される人や、起業で年商何億円も達成する人など、ビジネスの世界でめざましい功績を収めたケース、メディアで目にする機会も少なくありませんよね。
このように、仕事で夢を叶え脚光を浴びる女性がいる一方で、真面目で努力しているつもりなのに、イマイチ成果が上がらない女性もいます。両者には、どのような違いがあるのでしょうか?
生まれつきの才能、家柄などの環境、さらには運……もちろん、こうした要素もある程度は関係するでしょうが、実はそれ以上に重要なのは、日々のちょっとした行動や考え方。
女性起業ブランディングの専門家として、数多くの女性のプロデュースを行ってきた後藤勇人さんによれば、うまくいく人といかない人には、はっきりとした違いがあるそうなのです。
なかには、知識も豊富でスキルも申し分もないのに、成功するためのマインドが整っていないがために、実力を発揮できないでいる、残念な女性も存在するのだとか……。
今回は、後藤さんの著書『女性が仕事で夢を叶える! 心磨き7レッスン』を参考に、能力はあるのにビジネスで成功できない、意外な原因5つをご紹介します。
「ビジネスで勝ち組になれない人」の残念な特徴5選
■残念な特徴1:自分らしさにこだわる
あなたは、自分らしさにどれくらいこだわりがありますか? 成功したビジネスパーソンには、キャラクターが際立った人物が多いですし、また一般論としても、自分らしさや個性は大切にしたほうがいいという風潮はありますよね。
しかし、後藤さんによれば、ビジネスの成功や夢実現においては、自分らしさが時には邪魔してしまうこともあるとのことです。
自分らしさがマイナスに働くとは、どういうことか? たとえば、「自分は外向的な性格で、人と話したり、プレゼンしたりするのが得意だから営業こそが天職」という自負のある人が、信頼のおける人物から「あなたは1年ほど、経理の仕事に就いたほうがいい」というアドバイスをもらったとします。
そのアドバイスは、営業職にアイデンティティを見出している人にとって、到底受け入れがたいものでしょう。しかし、そこで、我を通して自分の意に沿わないアドバイスを無碍にしては、自分自身の成長の芽を摘んでしまうことになりかねません。
自分に適性があると思えない仕事でも、アドバイスに従って敢えて飛び込んでみれば、これまでになかった視点からビジネスをとらえることができ、それは、将来の自己のキャリアにとって、大きなプラスとなる可能性があるからです。
とりわけ、自分がお手本にしたいというメンター的な存在からのアドバイスを「そんなのは自分に合わない」と切り捨ててしまうのは、もったいない! その人には、あなたには見えていない「何か」が見えているのかもしれません。
自分らしさのフィルターにかけて情報を取捨選択するのではなく、「何か意味があるのでは?」と、素直に受け止めるようにしてみましょう。
■残念な特徴2:人真似を避ける
東京五輪の公式エンブレムが、既存の作品に類似しているという指摘があり、使用中止になった騒動は記憶に新しいところ。世間では模倣や人真似に対して、厳しい目が向けられがちですよね。
では、ビジネスの世界のおいても、人真似はご法度か? いいえ、そんなことはありません。後藤さんによれば、むしろ人真似・物真似は、より早く確実に結果を出す最強の戦略であるとのこと。先人の真似をすることを「パクリ」だなどとネガティブにとらえると、成功から遠ざかってしまいます。
ビジネスを一から作り上げるには相当なエネルギーが必要で、しかもそのビジネスモデルが本当に利益を生むかどうかもわかりません。莫大な資金・資本のある企業であればさておき、個人レベルで人真似を避けるのは、リスクのほうが大きいのは明らかです。
人真似を恥じることなく、成功している既存のビジネスモデルを真似しましょう。とことん模倣しようとしても、いざやってみると「ここはこうしたほうがいいのでは?」という、自分なりの改善点はおのずと出てきます。それを適宜プラスしていけば、既存モデルのアップグレード版となり、より顧客満足度の高いサービスを提供できるはずです。
成功するかどうかわからない、独自のアイディアで時間とお金をドブに捨てるよりも、まずは人真似から入り、そこに少しずつオリジナリティを加えていきましょう。
■残念な特徴3:サボることに強い罪悪感がある
諦めたらそこで終わり。ビジネスに限らず何事においても、成功するには継続が不可欠だとよくいわれます。
では、成功するまで根気よく物事を継続するためには、何が必要なのでしょうか? 継続というと、人並み外れた努力や根性が不可欠のようなイメージもありますが、実はそれよりも、もっと大切なことがあります。それは、適度にサボること! サボることに罪悪感がある人は、自分を追い込みすぎて、結局は物事が長続きしません。
「三日坊主」というとあまりよい意味で使われませんが、後藤さんによれば、ある習慣を3日続けて、4日目に気分が乗らなければ、休んでしまってOKとのこと。三勤一休、あるいは、もっとゆるい設定の二勤一休(2日続けて1日休む)でもいいので、とにかく休み休み継続することが大事だといいます。
やる気のないときに無理にがんばろうとしても、モチベーションが下がるだけ。「やらなければならない」という義務感だけで物事に取り組んでは、大して成果は上がりませんし、そうなるとますますモチベーションが落ちるという悪循環です。
ですから、サボることに罪悪感を持たず、気乗りしないときには思い切って休みましょう。また、1日休んで翌日も気乗りしないのであれば、もしかすると、自分に課しているノルマが重すぎるのかもしれません。その場合、自分への負荷を軽くしてみましょう。たとえば、10分間のトレーニングを半分の5分、さらには1分に短縮してもいいのです。
サボりたい自分、できない自分を責めることなく、ゆる~く物事を継続することを目指しましょう。
■残念な特徴4:ネガティブなことを考えない
ポジティブなことを考えると物事がうまくいき、逆に、くよくよと悲観的になると、その不安が的中するという「引き寄せの法則」は有名ですよね。
では、ビジネスで成功するためにも、なるべくネガティブなことを考えず、「きっとうまくいくはず!」と明るい未来ばかりを思い描くほうがいいのでしょうか? 後藤さんによれば、そのような行き過ぎた楽観主義は、ガチンコビジネスの世界では命取りとのこと。リスクマネジメントとして、常に最悪の事態を考えて、それに備えるのが大事だと主張します。
たとえば、後藤さんの経営する日焼けサロンでは、店の業務を一任していた店長が、繁忙期に失踪するというトラブルが発生したことがありました。ただ、後藤さんは事前に“店長が突然、来なくなる”というケースも想定していたため、比較的スムーズに業務の引継ぎを行い、損失を最小限に抑えることができたとのこと。
もし、後藤さんにとって、店長の失踪が想定外であれば、繁忙期にもかかわらず、サロンの営業をストップせざるをえず、大きな痛手を被っていたことは想像に難くありません。
よく、成功者はポジティブな人が多いといわれます。たしかに、彼らは「自分ならばきっとできる」という強い信念をもっているのでしょう。しかし、彼らは決して、自分にとって都合の悪い事態から目を背けているわけではありません。
必ず成功してみせる、という思いがあるからこそ、あらゆるネガティブな事態を想定して、かつ、それへの対処法を考え、万が一の事態に備えておく。それこそが成功者のマインドです。
■残念な特徴5:計画を綿密に立てようとしてしまう
前項で、ビジネスで成功するには、事前にネガティブなことを想定して、備えるべきだとお伝えしました。ビジネスにトラブルはつきもの。何が起こっても、冷静に対処できるように、さまざまなシミュレーションを行うことは重要です。
とすれば、ビジネスを始める前には、なるべく細かくデータを集めて、分析することも必要なのでしょうか? もちろん、石橋をたたいて渡ることは大事なのですが、ただ失敗を恐れるあまり、考えるばかりで結局、行動しないのであれば、せっかく頭をひねって出したアイディアも、すべて無駄になりかねません。
ビジネスはスピードが命。失敗しないように完璧な事業計画を立ててから行動するのでは、チャンスを逃してしまいます。自分の「やってみたい!」という直感を頼りにまず動いてみましょう。実際に動いてみれば、準備段階には見えなかった事情などが浮かび上がってくるはずです。
考える前に動くか、動く前に考えるか、という二者択一ではなく、“考えながら動く”という同時並行で成功に一歩でも近づきましょう。
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以上、今回ご紹介した5つの「成功しない原因」のなかに、あなたに当てはまるものはあったでしょうか? 自分の夢の実現の障害となっているものを取り除き、あなたの能力を存分に発揮させましょう!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美