正しい情報や具体的なケア方法を伝え「更年期」をサポート。自宅一室で始まった活動が全国へ
女性の更年期障害をサポートするNPO法人「ちぇぶら」。発足のきっかけは、代表理事の永田京子さんが20代のころに産後女性のサポートを行っていた際、40代を過ぎた女性の不調の声を多く聞いたことと、自身の母親が「更年期うつ」を患ったことでした。
ところが実際に始めようにも、どんなサポートが必要なのかがわからず迷った、と言います。永田さんは街頭でアンケート調査を敢行。更年期を経験した人たちに、そのとき何が必要だったのか、どうすればもっと楽に過ごせたのか、1014人ものデータから、必要なことを3つ導き出しました。
ひとつは、自分の体に何が起きているのか、更年期について知ること。ふたつ目は適度な運動習慣。症状の軽減という結果が顕著に出たのです。最後にコミュニティの存在。その辛さがわからないパートナーや職場の人から「怠けてるだけ」など、心ない言葉で「傷ついた」と訴える声も多かったそう。
「そのすべてをプログラムに盛り込みました。講座ではホルモンと体の変化について伝え、効果が期待できる簡単な体操を行います。これは、同じ思いを共有できる仲間同士との意見交換、発信ができるコミュニティにもなっているんです」。
プログラム完成以降は参加者からも「更年期はネガティブなイメージだったけれど、怖くなくなった」などの口コミが広まり、今では認定講師が伝え手となって全国で講演を行っています。
「アンケートでも『更年期が過ぎたら人生パラダイスよ』という回答がありましたが、そのとおりなんです。更年期を終えた60代の幸せ指数は、どの年代も抜いて断然トップ。
更年期以降の『女性の黄金期』を幸せに生きるためにも、更年期の過ごし方はとても大事。正しい情報があれば、同じことが起きてもとらえ方や、過ごし方も全然違うはずです」
永田さんは、劇団をつくって劇場で『コーネンキの国のアリス』も上演したり、ユニークな啓蒙活動にも励んでいます。今年は、更年期を題材にした漫才をつくり、アマチュア枠でM-1にも出場しました。
「更年期はだれの身にも起きること。もっと多くの人に知識が広まるようこれからも活動していきます!」
永田さんのお仕事年表
2006年 ピラティスインストラクターとして活動、整体・経絡等を学ぶ
2009年 産後ケアのインストラクターとして活動
2014年 任意団体「ちぇぶら」設立、自宅の一室で活動をスタート、1000名の女性にアンケートを実施、更年期ケアプログラム開発
2016年 NPO法人「ちぇぶら」設立、代表理事に就任
2017年 「Co-creAction Award 2017」優秀賞を受賞、日本女性ウェルビーイング学会設立・代表就任
2018年 カナダ「International Menopause Society(国際更年期学会)」で発表、舞台『コーネンキの国のアリス』を東京・中野で上演
2019年 「Japanese Women’s Leadership Initiative」フェローに選出
※本記事は2019年10月7日時点での情報です。
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- PHOTO :
- 篠原宏明
- EDIT :
- 剣持亜弥・宮田典子(HATSU)、喜多容子(Precious)
- 取材・文 :
- 大庭典子