勉強というと、学校を卒業すれば終わりというわけではなく、むしろ社会人になってからのほうが学ぶべきことはたくさんありますよね。スキルアップ、キャリアアップのために、語学や資格試験などの勉強に取り組んでいる人は多いことでしょう。

しかし、本を読んだり、スクールに通ったり、お金や労力をかけているわりには、いまいち成果が上がらないという悩みはないでしょうか? 勉強をがんばっているけれど、収入にも社会的地位にも、一向に反映されない……。実はこれ、学生時代に成績優秀だった人ほど、陥りがちな大人の勉強の罠なのです。

というのも、学校の勉強と、社会に出てからの勉強では、本質的な違いがあるから。それに気づかず、誤った方法での勉強に固執すると、お金も時間もドブに捨てることになりかねません!

そこで、今回は、『億を稼ぐ勉強法』の著者で教育コンサルタントの小林正弥さんに、仕事ができる人は絶対やらないNG勉強法について教わりました。

仕事ができる人は絶対やらない、「NGな勉強法」6選

■1:「自分のため」に勉強するのはNG

「自分のため」ではなく「顧客のため」に勉強しよう
「自分のため」ではなく「顧客のため」に勉強しよう

社会人になってから、本を読んだり、スクールに通ったりしている人は、いったい何のために勉強しているのでしょうか。おそらく大半の人にとって、知識や技能を身につけて、自分をレベルアップさせたいというのが勉強の動機でしょう。

そんなの当然じゃないか、と思うなかれ。実は、この「自分のため」という視点こそが、いくら勉強しても成果が上がらない元凶なのです。

「学校の勉強と、社会に出てからの勉強とは、本質的に異なります。学校の勉強であれば、自分が知識を身につければ、テストでいい成績をとることは可能です。ところが、社会に出てからの勉強、つまり、仕事で成果を出し、収入と資産を増やすための勉強においては、いくら自分の知識量を増やしても、あまり意味がありません。

というのも、あなたにお金を払ってくれるのは、あくまで顧客。会社勤めをしている人であれば、取引先だけでなく、上司なども顧客に含まれます。

その顧客が、どうすればあなたにお金を払いたくなるのか? それは、あなたが顧客に何らかのメリットをもたらしたときです。あなたのおかげで顧客が出世したり、顧客の事業がうまくいったり、収集や資産が増えたりする。このように顧客に貢献すれば、あなたの価値も高まり、結果として受け取る報酬も最大化していきます。

趣味としての勉強は別として、ビジネスにおける学びでは、自分中心ではなく、まず顧客視点が大事です。いくら本を読んだり、セミナーに通ったりしても、それが顧客の利益を生まないものであれば、勉強代がかさむ一方で、あなたの売上や収入が上がることなないでしょう」(小林さん)

勉強は、結果的に自分をレベルアップさせるものですが、自分にばかりベクトルが向いて顧客不在だと、伸び悩んでしまうのですね。自分が賢くなるためではなく、いかに顧客の幸せや成功につながるのか。大人の勉強では自分中心ではなく、顧客を起点としましょう。

■2:自分で勉強法を考えるのはNG

自分で考えた勉強法では遠回りのおそれも
自分で考えた勉強法では遠回りのおそれも

学校の勉強と違って、大人の勉強では、いつ何をどのようにやるかというカリキュラムは、すべて自己決定に委ねられています。ただ、勉強方法を自分の頭だけで考えていては、遠回りすることになりかねません。

勉強でつまずく要因のひとつは、目的を達成するための正しい道筋を知らないこと。勉強とは、自分の現状を変える行為ですが、自分の頭の中で考えることは過去の延長に過ぎません。このため、自分のアイディアは、正しい勉強方法ではないおそれがあるのです。

たとえば、勉強の目的が、『ネイティブと、スムーズに商談できるレベルの英語力を身につける』ことだとします。もし、あなたがその目的を達成する正しい勉強方法を本当に知っているとすれば、とっくにそれを実践して、英語力をビジネスに役立てているのではないでしょうか?

目的地に到達する最短ルートを知るためには、あなたが目指すものを既に達成している人、メンター的な人物から具体的な方法を教わりましょう。実際に成功した人からアドバイスをもらうと、『実例があるのだから、自分もうまくいくはずだ』と、自信をもって勉強を進められるという点でもおすすめです」(小林さん)

自分の頭で勉強方法を考えて、行き詰まる。これは、学校の勉強が得意だった人ほど、陥りがちな罠かもしれませんね。学校の勉強でうまくいった方法は、そのまま大人の勉強で通用するとは限りません。無駄な勉強にお金と時間を浪費しないためには、先人の知恵を借りましょう。

■3:自分に負荷のかからない勉強をするのはNG

負荷をかけないと筋力も脳力もつかない
負荷をかけないと筋力も脳力もつかない

自分で考えた勉強方法は、目的を達成する最短ルートとは限らないのは前述の通りですが、実はもう1つ、自己流の勉強には問題がある、と小林さんは主張します。

「自己流のやり方だと、自分の課題が目につかず、得意なことばかり繰り返すなど、楽な方向に流れてしまうおそれがあります。負荷のかからない勉強は、割りばしを握って筋トレするようなもので、自分のクオリティを上げることができません。

そういう点でも、自分のお手本となるメンターの存在は重要です。正しい勉強方法を教わるだけで満足するのではなく、教えてもらった方法を実践しながら、定期的にフィードバックをもらうことをおすすめします」(小林さん)

自分ではうまくいっているつもりでも、メンターの視点から見ると「それで満足するなんてとんでもない!」と眉をひそめる水準であるおそれも……。自分では気づかない課題を見つけ、早めに対処するためにも、メンターからの耳の痛いアドバイスを素直に受け入れましょう

■4:知識や情報を得るために、セミナーに行くのはNG

受け身の勉強から卒業しよう
受け身の勉強から卒業しよう

これから大人の勉強を始めるとして、まずあなたは何から着手しますか? 知識や情報を得るための手段の1つにセミナーがあり、インターネットでちょっと検索するだけでも、初心者向けのセミナーの告知は山ほど出てきます。

「90分で〇〇が身につく」とか「ゼロから学べて初めての人でも安心」といった謳い文句を見ると、「とりあえず行ってみようかな」という気にさせられますが、ちょっと待って! 小林さんは、安易に知識提供型のセミナーに参加することに警鐘を鳴らしています。

「今の時代、知識や情報は、書籍やオンライン講座でいくらでも自学自習できます。ですから、知識や情報のためにわざわざセミナーに出向くのは、移動時間も含めてあまり効率のいい勉強とはいえません。それに、セミナーに行けば何か役立つノウハウを得られるはずだ、という他力本願的なマインドで本当に実益のある学びがあるのかも疑問です。

ただ、会場に行って講師の話を聞きっぱなしというお客様状態では、セミナーに参加したお金と時間が無駄になるだけでしょう。

もちろん、セミナーの存在自体がまったく無意味というわけではありません。ある程度、勉強が進み、知識や情報だけでは解決できない課題に直面した段階であれば、セミナーを活用する価値はあります。

というのも、セミナーは講師と直接かかわることのできるチャンス。講義を聞くことが目的ではなく、講師に質問し、フィードバックを受ける機会としてセミナーを活用するのは、効率的な勉強方法だといえます」(小林さん)

与えられたカリキュラムに沿って、先生から一方的に教わる勉強は、学生の間だけ。大人は自分から主体的に必要な知識・情報を取りに行きましょう!

■5:ひとりで勉強するのはNG

切磋琢磨できる仲間がいるほうが挫折しにくい
切磋琢磨できる仲間がいるほうが挫折しにくい

大人の勉強で成果を上げるには、メンターだけでなく、仲間の存在も重要とのこと。

勉強とは、現状に甘んじることなく、自分に負荷をかける行為。時には痛みを伴いますが、そうしたとき、人目がないと、サボろうと思えばいくらでもサボれてしまいます。このため、ひとりで勉強すると、どうしても挫折しやすいのです。

大人の勉強が長続きしない人は、勉強仲間を作ることをおすすめします。仲間と甘やかし合っては意味がないので、一緒にいて楽な相手より、身が引き締まる相手を選びましょう。たとえば『この人は自分よりもできる』、あるいは『現時点で知識はそれほどないけれど、モチベーションがめちゃくちゃすごい!』など、自分が刺激を受ける人物が適任です。

勉強仲間を作るメリットは、サボりの抑止力になる以外にもう1つあります。勉強というとストイックなイメージがありますが、ただ歯を食いしばっているだけでは長続きしません。

『これを達成すればこんなにいいことがある!』というワクワク感は継続の秘訣なので、仲間と達成のご褒美を決めるのも効果的でしょう」(小林さん)

身近な友人、知人に該当者がいなくても、オンラインで勉強仲間を見つけることは可能です。強力なライバルとなりうる、勉強仲間と切磋琢磨しましょう。

■6:逃避のための読書をするのはNG

その読書は「逃避」or「投資」?
その読書は「逃避」or「投資」?

書籍は知の宝庫。読書も勉強方法のうちのひとつです。ただ、一口に読書といっても、その態様によって「逃避のための読書」と「自己投資のための読書」の2種類に分けられると、小林さんは主張します。

「逃避のための読書とは、具体的な行動変容が伴わない読書です。読んだ後、『何となく自分にもできそうだ』といい気分に浸るだけでは、現実は何も変わりません。

たとえば、『手軽に痩せる方法がないかな』とダイエットに関する本をいくら読み漁っても、本に書かれたことをもとに運動や食事制限をしなければ、読書に費やしたお金も時間も無駄になります。成功者の書いたビジネス本を読んで、何も行動を起こさないのも同様です。

他方、自己投資のための読書とは、本気で自分を変えたいという覚悟で本と向き合い、自分の課題解決につながる方法を見出し、実際に自分の行動、現実を変えていく読書をいいます。

もちろん、心が疲れているときなどは、逃避のための読書で、心の英気を養うのもありかもしれません。ただ、収入アップなど具体的な成果につなげたいのであれば、主体的に自分を変える投資のための読書が必要でしょう」(小林さん)

いくらたくさん読書をしても、結果が伴わないのは、逃避のための読書ばかりしているのが原因かもしれません。「読んだ後に、絶対に何かしら自分の行動を変える!」という気迫で読書に取り組みましょう。

収入アップなど目に見える成果が出なくても、自分の心が満たされればそれでいい、というスタンスもありますが、結果が出れば勉強はより楽しくなります。お金と時間をかけているわりには成果が伴わないとお悩みの人は、自分の勉強方法をこの機会にぜひ見直してみては?

小林正弥さん
教育コンサルタント
(こばやし まさや)(株)教育スクールビジネス研究所代表取締役。1983年埼玉県生まれ。2006年早稲田大学理工学部卒。25歳で独立したものの全く稼げず、時給900円の日雇いバイトを経験。家族の治療費のため、自分を最高値で売ることを決意し、1ヶ月後に毎月210万円の報酬が得られるようになる。その後、自分を商品にして1億円プレイヤーとなる。「本業で結果を出して稼ぎ、結果の出し方を人に教えて稼ぐ」、ダブルインカムの手法を実践する「新・講座型ビジネス実践会」を主宰。「才能をお金に換える専門家」と呼ばれ、年間3,000万円、1億円稼ぐクライアントもいる。著書に『自分を最高値で売る方法』、『億を稼ぐ勉強法』がある。
この記事の執筆者
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WRITING :
中田綾美
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