マッサージや整体に通ってもなかなか肩のコリが取れない、腰が重い……。そう感じている人は多いはず。
実は、肩のコリや腰の重さの原因は、肩が内側に入ったまま凝り固まってしまっている「巻き肩」に原因がある可能性があるのです。
一度巻き肩になってしまうと、肩のコリなどだけではなく、体のあらゆる箇所に悪影響が出てしまう可能性も……。
今回は、プライベートサロン「ボディケアむすひ」を経営する前島隼人さんに、巻き肩の原因や解消法をお聞きしました。自身もつらい腰痛に悩まされた経験があるという前島さんが教える、簡単な巻き肩の解消法とは?
ボディケアむすひホームページ
巻き肩と猫背はどう違う?
--前島さん、本日はよろしくお願いします。早速ですが、「巻き肩」がどういった状態のものか、ということをしっかり理解していない人が多いと思います。猫背とは違うものなのでしょうか?
前島ハヤトさん(以下、前島)「巻き肩と猫背は似ていて非なるものですが、肩コリなどに悩む方はその二つが同時に起こっていることが多いですね。
どこの筋肉が凝り固まってしまっているか、という着眼点が違うのですが、猫背は背骨のカーブが強くなり顔が前に出ることによって、顎や首筋の筋肉が硬くなってしまうことで起こります。
対して巻き肩というのは、胸の筋肉が凝り固まって縮こまってしまうことで肩が内側に巻いてしまうことが原因です」
--巻き肩や猫背が原因で起こるコリはどうしても背中の筋肉に注目してしまいがちですが、内側の筋肉が原因なのですね。
前島「そうですね。どうしても、『凝っている』『痛い』と感じている背面の筋肉をマッサージやストレッチでほぐそうとすることに注力しがちなのですが、実は体の前面の筋肉をしっかりとほぐさないと改善しないということが多いですね」
内側の筋肉が縮こまってしまう悪習慣とは?
--それでは、巻き肩などの原因となる内側の筋肉の縮こまりを引き起こす行動や習慣とはどのようなものでしょうか?
前島「やはり、パソコンやスマホを長時間見ることで、首が前に出て肩が内側に入る姿勢を長時間続けてしまうことです。新幹線や飛行機などの移動中、姿勢を変えずにいることも原因になりますね」
--正しい姿勢を心がければ問題がない、ということでしょうか?
前島「そこが多くの人が勘違いしているポイントですね。実は、姿勢が悪くても常にある程度筋肉を動かしながら作業をしたり座っていたりということを行う人は、あまり筋肉が凝り固まっていないということも多いのです。
長時間同じ姿勢でいることで、体の中の酸素や栄養素の循環が悪くなってしまうことが一番の原因ですね。
また、『正しい姿勢』というものも、多くの人が背筋を伸ばして肩甲骨を近づけるような姿勢を意識しがちなのですが、前面の筋肉がほぐされて正しく使われていないと、背面の筋肉のみでその『正しい姿勢』を支えることになります。
それを行うことで、さらに背面の筋肉を疲れさせてしまうことにつながります」
巻き肩は全身に不調を及ぼす!
--巻き肩や猫背が肩コリの原因となってしまうのは、多くの人が想像しやすいかと思いますが、他の部分に影響があることはあるのでしょうか?
前島「もちろん、ありますね。全身の筋肉はつながっているので一箇所の筋肉が凝り固まることは様々な箇所の筋肉に影響します。
例えば、顎や首の筋肉が硬くなるとそれに連動して頭や目元の筋肉が凝ってしまい、目の疲れや頭痛の原因になります」
--内臓などの器官に影響を及ぼすことはありますか?
前島「はい。息苦しいと言って私のところに来られる方も多いのですが、胸元の筋肉が凝り固まってしまうことで肺のスペースを狭めてしまうことがその息苦しさの原因になっていることもありますね。
また、巻き肩が起こりスペースを失った肺が、下に下がってきてしまい、他の内臓を圧迫してしまうことがあります。すると、他の内臓が下垂してしまってぽっこりお腹や便秘の原因になってしまうことも多いですね」
簡単! 巻き肩の改善方法とは?
--それでは実際に、巻き肩を改善する方法というものにはどんなものがあるのでしょうか?
前島「巻き肩の改善に必要なのは、前面の筋肉をほぐすことです。実はこの方法はとても簡単で、
・ほぐしたい部分に軽く触れる
・その状態で深呼吸、筋肉を揺らす
この工程のみです」
--筋肉を伸ばしたり、揉みほぐしたり、という工程は必要ないのですね。
前島「そうですね。実際に胸元の筋肉を例に、具体的な工程を紹介しますね」
- 胸上に反対の手で軽く触れる
- 手を触れた胸元側の手の手のひらを上に向ける
- その状態のまま、鼻から息を吸って口から息を吐く深呼吸を3回繰り返す
- 手を触れた胸元側の手のひらをグーパーで開く閉じるを3回繰り返す
- 手を触れた胸元側の手をくるくると揺らす
詳しくは動画でチェック!
前島「この工程のみです。あくまで触れる手は押し付けるように触れることなく、優しく、軽く触れてください。
一例として胸元の筋肉を例にしましたが、触れる箇所は首筋や頬など、ほぐしたい箇所ならどこでもOKです。手や足の末端から揺らすのがポイントなので、下半身の筋肉をほぐしたい場合は足先から揺らすようにしてみてください」
--きついストレッチも必要なく、これならば簡単に続けることができそうですね。
前島「そうですね。頬や顎の筋肉などはこれを行なった後に鏡を見ると顔が上がっていることを実感できるはずです。
ストレッチや運動も、もちろん巻き肩の改善や筋肉をほぐすことにまったく効果的でないわけではありません。ただ、しっかりと筋肉が正しく使えるようにほぐした状態でないとより筋肉を疲れさせてしまう原因になってしまいます。
日常から簡単に行えるケア方法で、本当に肩コリや腰の重さの原因になっている筋肉をほぐすことが大切ですね」
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何よりも「自分の体やその使い方には、自分で責任を持つことが大切」と話す前島さん。
マッサージや整体に頼り切るばかりではなく、日々自分の体の変化に意識を向けてケアしていくことが大事なのですね。
今回、前島さんが紹介してくれた方法は、「これまでどんなストレッチも運動も続かなかった……」という人にこそ試してほしいもの。
自分の体としっかりと向き合いつつケアして、自分自身の体をより良い方向に向かわせていきましょう。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- EDIT&WRITING :
- Rina Onodera