日々のタスクに追われると、心にも余裕がなくなりストレスもたまる一方。やるべき業務をすっきりと整理して、ゆとりをもって毎日を送りたいですよね。
そこで、3人のビジネスマナーの専門家に「効率よく仕事をするための良習慣」をお聞きしました。
大量のタスクから逃げ出したいときの良習慣
やるべき業務が多すぎて、何から手をつければよいかわからない……。
そんな人におすすめの良習慣を、ご自身も作家・講師・アーティストなど多方面でパワフルに活躍する-夢-実現プロデューサー・山﨑拓巳さんに伺いました。
■1:自分自身にやるべきことを意識させる
まずは、そもそも「私は、何を成し遂げようとしているの?」と自分に意識させることが大切という山﨑さん。
今やるべきこと(to do)が“小石”や“砂”だとすると、どんな自分で仕事をしたいのか(to be)が“大きな石”。箱を小石や砂でいっぱいにしてしまうと大きな石は入りません。
しかし、「まず大きな石を入れ、最後に砂を入れることでもっとも沢山、箱に入れることができます。優先順位の決定基準も同じ考え方です! 人間は刺激に慣れるスピードが速いので、ポストイットやタスクノートなど手を変え品を変え、上手に自分に意識させましょう」とのこと。
とにかく自分の理想像を頭に叩き込みましょう。
■2:「5分あったら動く!」という癖をつける
膨大な仕事の量に逃げ出したくなったとき、「たった5分あったらその仕事の山に手をつける!」と山﨑さん。「『5分で何ができるのか?』と心は抵抗するかもしれません。しかし、この5分が未来にほどよく効いてくる。
手をつけて、気分が乗ってきたあたりで5分終了! このときつかんだ感覚が、次の取っ掛かりを気軽で優しくしてくれるのです」(山﨑さん)
■3:あと延ばししたい業務こそ「ゆっくり、丁寧に、わざと時間をかけて」
苦手な仕事、時間がかかりそうな仕事はあと延ばしにしてしまいがち。
「そんなときは、『芸術のように素晴らしい企画書にしてやる!』『俳句のような素敵な言葉選びのメールを書いてやる!』と、わざとゆっくり、丁寧に取りかかりましょう。すると、知らぬ間に仕事に没頭します」。
これにより、我を忘れて夢中になる、いわゆる“ゾーンに入った”状態になるとのこと。効率のよい仕事をするための儀式のようなものと思って試してみてください。
自分のモチベーチョンをアップさせる良習慣
モチベーションの有無で、仕事の効率が180°変わることを実感したことのある方は多いはず。
そこで、自分の中に眠るモチベーションが高まる良習慣を、魅力が伝わる「愛されマナー術」も主宰するマナーコンサルタント・樋口智香子さんに伺いました。
■4:心が喜ぶ仕事から取り掛かる
緊急性の高い仕事を優先させつつ、「それ以外は『これをやりたい!』と思ったことから取り掛かったほうが、サクサクと進み、効率がいいのです」と樋口さん。
やりたいものからこなすと気持ちが乗った状態で面倒な業務に進むことができ、仕事のスピードもアップ!
「心が喜ぶことを中心に考えると、『自分は何がしたいのか』といった指針が明確になり、仕事に対する思いの軸もはっきり見えてきます」(樋口さん)
■5:スケジュール管理アプリでモチベーションを可視化する
スケジュールが入ったら、その場で即、アプリに入力することを習慣にしているという樋口さん。おすすめはスケジュール管理アプリ『さいすけ』。
用途ごとに下地を色分けできるので、「青=仕事、オレンジ=夢をかなえるための予定、水色=原稿提出など〆切のある予定、黄緑=旅行などワクワク楽しみなイベント、黄色=習いごとなどプライベートの用事、と色分けしています」とのこと。
「マンスリーの画面を見て青が多ければ『今月は売上アップが期待できる!』、黄緑が多ければ『楽しい予定が目白押し!』など、未来へのモチベーションを上げることができます」(樋口さん)
チームで効率よく気持ちよく働くための良習慣
多くの仕事は、ほかの人と協力することで成立します。とくに、販売・サービス業態やプロジェクトなどチームで働く職場では、スムーズに協力できることが効率アップの重要なカギ。
現役ホテルフロントスタッフでフロント接客トレーナーとしても活躍する、古岡めぐみさんが普段から行っている良習慣とは――。
■6:スタッフ同士、名前を呼んで挨拶する
「シフト制などで毎回働くメンバーが違う場合、挨拶はとくに重要です。顔を上げて挨拶ができないと、その日のチームの雰囲気が崩れてしまうんです」と古岡さん。
そんなとき、誰もが自然に顔を上げて挨拶するシンプルな裏ワザが、名前を呼ぶこと。
「名前を呼ばれると、みんな必ず手を止めて、顔を上げます。顔を上げて挨拶することが習慣になると、チームの雰囲気も明るくなり、それは効率の面でも必ずプラスに働きます」(古岡さん)
■7:リーダーからメンバーに積極的に話しかける
普段現場にいないトップやリーダーと、現場スタッフの関係性も薄くなりがち。そこを改善することも、効率化によい効果があると古岡さんは指摘します。
「社長をはじめ、普段は現場に来ないリーダーに名前を呼ばれて言葉をかけられると、スタッフは認めてくれていると感じて積極的に動くようになります。
リーダーの方にこそ、名前を呼んで挨拶することをぜひ実践していただきたいですね」(古岡さん)
■8:使ったものはその都度片づける
当たり前のことに感じますが、メンバー同士が同じ機材を使って業務を行うサービス業などの現場では、これがとても重要。
「ほかの人が使いやすい状態に戻しておかないと、次の人が片付けや補充から始めることになってしまい、作業の効率が落ちてしまいます」。誰がちらかしたのかに関わらず、気づいたら自分が動く、という点もポイントです。
「誰がちらかしたのかを考えるのではなく、気づいたらすぐにやるということを習慣にすると、スッと行動に出られるようになります」(古岡さん)
■9:「すみません」ではなく「ありがとう」を使う
チームで働いていると、誰かがミスに気づいてフォローしてくれるケースも多々あります。
「そのときにすみませんと言うと、相手に気を遣わせてしまいます。フォローしてもらえてうれしかった、というポジティブな思いを伝えると、相手の方もまた何かしてあげたいという気持ちになって、よいサイクルが生まれます」(古岡さん)
■10:ともに働く相手のいいところを見つけて褒める
「スタッフが気持ちよく働ける環境づくりこそが、効率アップに直結します」と語る古岡さん。
「褒められると、次は何をしたらもっと喜んでもらえるだろうかと考えるようになりますし、メンバーひとりひとりが率先して動くようになりもなります。人には認められたいという気持ちがあるので、しっかり見ているよというメッセージが伝わると、いろいろなアイデアも出て、全体の効率が上がるんです」(古岡さん)
些細なことでもいいので、日々、相手を褒めることを意識したいですね。
効率よく仕事をこなすには、多少無理してビジネスライクに……と思ってしまいがち。でも本当は、自分自身や働く相手の気持ちを尊重することが大切なんです。
毎日の業務にちょっとした心遣いの習慣をプラスすることが、スマートに仕事をこなせるビジネスパーソンへの第一歩です。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- クレジット :
- 文/酒寄美智子