たもとやバッグからさっと扇子を取り出してあおぐ…。日本の伝統工芸品である扇子を持っていると、そんな粋で上品な振る舞いができるものです。
当記事では、紙扇子、生地扇子、白檀など、扇子のさまざまな種類と魅力をまとめ、高級扇子の違いの見分け方と使い方のマナーをご紹介します。
また、老舗ブランドのおしゃれなメンズ向け高級扇子と、モダンなレディース向け高級扇子のおすすめも併せてチェックしてみましょう。
■高級扇子の種類
日本の伝統工芸品である扇子には、実に多くの種類があります。職人が手間ひまをかけて、丁寧に作る扇子には、次のような種類のものがあります。
紙扇子
扇子の骨部分に貼る紙「地紙」を3枚重ねて張り合わせ、そこに扇骨を差し込むという製法で作られた扇子です。はけを引いた「刷毛引き」のようなデザインのほか、手描きなどの技法を取り入れたものもあります。
紙扇子「つゆくさ」

大切に保管されていたアンティークの扇骨に、現代風の絵柄をつけた紙扇子です。薄紫パールの扇面に紫露草の絵付けが施されています。
生地扇子
扇の面に、紙ではなく生地を使った扇子を「生地扇子」と言います。紙ではないため、刺繍やプリントなどの加工が可能なため、より華やかなデザインが多く揃います。
生地扇子「ピーニャ生地扇子」

パイナップルの繊維から作られた「ピーニャ生地」を元にした生地扇子です。上品で独特の繊細な雰囲気があります。
白檀(びゃくだん)
「サンダルウッド」とも呼ばれ、芳香がある「白檀(びゃくだん)」で作った扇子。紙も生地も張らず、透かし彫りなどの芸術的な装飾が施されています。
白檀「シルクファン・アールデコブランド」

チューリップのデザインを一面に施したデザインで、あおぐたびに白檀の上品な香りがほのかに漂います。天然の白檀を使用した、貴重な一品です。
飾り扇子
暑さをしのぐためにあおいで使うのではなく、玄関や床の間などに飾るための扇子が「飾り扇子」です。扇子は末広がりのデザインのため、縁起の良いアイテムとして知られており、長寿や繁栄などを願って飾られます。
飾り扇子「銀製 扇子 松竹梅」

金工作家、大淵武則(号 光則)氏が手がけた純銀製の飾り扇子です。繊細な細工が施され、吉祥紋様の「松竹梅」も描かれています。就任祝いや竣工祝いなど発展を願った贈り物にも最適。ガラスケース付きです。
舞扇子
日本舞踊や舞などの伝統芸能で使用されるための扇子。竹骨に鉛を埋め込むなど、独特の製法があります。舞台でも映えるような美しく鮮やかなデザインが多いのが特徴です。
舞扇子「道成寺 中啓 手描き舞扇子」

日本舞踊や新舞踊、民謡、踊りなどに使える、舞扇子。インパクトのあるデザインが、踊りに花を添えるはず。受注生産で作られます。
茶扇子
茶道にはあおぐ以外に、儀礼や贈答、コミュニケーションの道具として使われてきた歴史があります。茶道では、茶室に入るときや正客に挨拶するときなど、扇子をひざの前において、相手を敬う気持ちを表現します。そんな茶道で使われる扇子を「茶扇子」と呼びます。
茶扇子「茶道具 飾扇子『瑞祥』 相国寺七代管長 有馬頼底猊下)」

相国寺七代管長だった有馬頼底による扇子です。身が引き締まるような、貴重で高価な逸品。
祝儀扇
末広がりの形から縁起の良い場で使われるのが、扇子です。冠婚葬祭のような礼装の小物として使われる扇子を「祝儀扇」と言います。黒塗りの骨に金や銀の紙を張ったタイプが多く、男性用と女性用で骨や地紙に違いがあります。
祝儀扇「高級留袖用扇子」

黒漆調の骨組みに千鳥模様が描かれ、末広がりの扇子には「幸せが続きますように」という願いがこめられています。桐箱に入れられて届けられるため、母の日やお祝ごとでの贈り物にも利用できます。
檜扇(ひおうぎ)
檜の薄板を綴り合せ絹の糸で編み綴り、紙を使わずに仕上げた扇子。宮中で使われていたもので、高貴で優雅な雰囲気が漂う高級品です。
檜扇「真宗大谷派(お東)用 白棒房金具仕上げ」

細部までなめらかに仕上げられた檜で、丁寧に作られた檜扇。あおぐと、涼やかな香りを感じることができます。専用の箱付き。
■高級扇子の違いの見分け方

手ごろな価格のものから高価なものまで、扇子の値段はピンキリ。そんな中、本当に質の良い扇子を見極めるためには、どんなところに注目すればよいでしょうか。
高級な扇子と言われるものを見分けるには、次のようなポイントに着目してみましょう。
見分け方①中骨の構造
高級な扇子は骨組みがしっかりしており、長く使っても骨が折れたりすることも少ないもの。
高級な扇子によく使われる骨には、しなりがあり耐久性に優れた竹が使われることが多く、さらに高級なものでは紫檀や黒檀などが使われるものもあります。
また、一般的に骨の数が多いほど値段も上がる傾向にあります。
見分け方②裏面まで生地が貼られている
扇子には骨に紙を貼ったものと生地を貼ったものがあります。
紙は強い風を起こしやすいですが、耐久性が低く日焼けする場合もあり、生地の場合は耐久性がある一方、汚れがつきやすいといった、それぞれに長所と短所があります。
注意したいのは裏面の構造。安価なものだと、裏面には紙や生地が貼られておらず、骨組みがむき出しになっているものもあります。
裏面にも丁寧に地紙や生地が貼られているものの方が、当然ながら高級品と言えます。
見分け方③あおいだときの風
扇子の良し悪しを判断する上で大切なのが、あおいだときの風。
高級な扇子ほど、良質の骨と良質の紙や生地が使われており、風にのってほんのりと芳香がただよい、とても心地よくやわらかな風を感じることができます。
■高級扇子のマナー

扇子を持ち歩いている人は、とても品格があり魅力的にうつるものです。そんな扇子使いにおいて、事前に知っておきたい所作についてもここで確認しておきましょう。
うちわを雑にあおぐような姿とは一線を画した、優雅な振る舞いに必要なマナーとはどんなものでしょうか。
マナー①ゆっくり開いて、全部開かない
扇子を使うとき、乱暴に扇子を開いてしまっては、せっかくの優雅なアイテムが台無しになってしまいます。扇子を開くときは、左手を扇子に添えて、右側へゆっくりと開いていくようにしましょう。
また扇子は全部開いて使うのではなく、最語の3本程度を残して使うのが正しいマナー。扇子を仕舞う際は、右手のほうを基点にして左端から順にゆっくりと閉じていきます。
マナー②男女で持ち方は違う
扇子の正しい持ち方は男性と女性で異なります。
女性の場合は、親指と残り4本の指で扇子を挟み、手の甲を相手に見せるようにして親指を隠して持ちます。
一方、男性の場合は、扇子の要の部分を持ち、親指を相手に見せるようにします。
マナー③顔の下から静かにあおぐ
扇子のあおぎ方にもマナーがあります。バタバタと雑にあおぐのではなく、優雅にゆったりとあおぐのが基本です。
さらに、胸元あたりから自分の顔に向けて静かにあおぐようにします。こうすることで、あおいだ風が周囲の人にかからないようにでき、まわりに迷惑をかけません。
■高級老舗ブランドのおしゃれなメンズ扇子のおすすめ
扇子を選ぶなら、老舗ブランドの品質の良いものがやっぱり一番。
おしゃれな男性にぜひ手にしてほしい、高級老舗ブランドのメンズ扇子から、おすすめアイテムをご紹介します。
ビジネススーツにも合う「京風庵大むら 紳士用本煤竹京扇子」

京都で伝統芸術を受け継ぐ「京風庵大むら」。貴重な本煤竹を骨に使い、高級典具紙に絵柄を描いています。
白檀の「シルクファンアールデコブランド」

中骨に香木である白檀を使用し、扇面には上品な和柄を配しています。7.5寸の男性用ですが、男女兼用で使えます。
洋風扇子「夏大島扇子」

高級絹織物として知られる伝統的工芸品「本場大島紬」の扇子。日本の伝統的な製法なのに、洋風なデザインでダンディな男性にピッタリ。
モダンな「骨に蒔絵で虎を描いた、男性用最高級京扇子セット」

虎蒔絵が描かれたモダンな印象の扇子。和紙は香木を焚き染めているので、心地よい香りがします。
和柄の「江戸小紋扇子」

手染めによる江戸小紋の扇子。江戸の小粋な職人技が光る、オシャレでモダンなアイテムです。
■高級老舗ブランドのモダンなレディース扇子のおすすめ
女性向けの扇子は、ビジネスシーンに合うものから、洋風のもの、和風のものまで、デザインもさまざま。
高級老舗ブランドのアイテムの中から、いくつでも欲しくなる、モダンなレディース扇子をご紹介します。
ビジネスシーンにも合う「江戸扇子 友禅柄 翔・金」

どこに出しても品格が漂う高級扇子。シックな色合いで、大切な方への贈り物にも最適です。歴史ある友禅柄の扇子を一本手にしてみませんか?
白檀の「白檀扇子」

インドネシア産の天然の白檀で作られた扇子。白檀は貴重なため、今後入手が難しくなっていくと予想されています。繊細に施されたデザインは、まるで芸術品のよう。
洋風扇子「レディース布扇子」

江戸時代から300年以上にわたり扇子を作り続けてきた、老舗ブランド「山二」が手がける扇子。
シルクシフォン生地に、重厚なダマスク柄刺繍が施されています。贈り物にも最適な桐箱入り。
おしゃれな「フジタカ ミーツ KYOTO Leather HAKU 扇子」

日本の職人技術と現代的な感性を融合させたブランド「FUJITAKA」と、日本の伝統工芸の技法を用いたレザーを製造する「KYOTO Leather」のコラボ扇子。
西陣帯箔の中でも最高級とされる引箔(ひきばく)という技術を使い、モダンなデザインに仕上げています。
和柄の「山崎麻織物工房 扇子」

中能登一帯に伝わる伝統の麻織物を手がけるのが、山崎麻織物工房。上布の最高級品「能登上布」を使った扇子です。
日本人の「こころ」を表す、高級扇子の美しさ
今回は、高級扇子の種類や違いの見分け方、高級扇子を扱うときのマナー、メンズ&レディースの高級老舗ブランドのおすすめをご紹介しました。
古くから、扇子には人の「こころ」を表す道具として使われてきた歴史があります。敬意を払う相手や尊い品を前にしたときは、扇子を閉じて自分の前に置き、ご祝儀などを渡す際には扇子を盆のようにして使っていたこともあると言います。
だからこそ、扇子は日本人が大切にしてきた大和魂を表すものなのかもしれません。
そんな扇子の歴史にも思いをはせながら、正しい所作を心得えて、優雅に扇子を手にしてみてはいかがでしょうか?
- TEXT :
- Precious.jp編集部