ゴングをハンマーで鳴らして時刻を知らせるミニット・リピーター(Minute repeater)機能を搭載したパテック フィリップ(Patek Philippe)の機械式時計たち
高級時計を代表するブランド、パテック フィリップ。このブランドを象徴する高度で複雑な時計の機能のうち、ゴングをハンマーで鳴らして時刻を知らせるのが「ミニット・リピーター」です。
この現在の時刻を音の組み合わせで知らせるリピーター機構の歴史が始まったのは、なんと17世紀末。暗闇で音を知ることができる機能を成功させようと、有能な時計製作者たちが競って独自の方法を発明しました。パテック フィリップも1845年には分単位で音を知らせるミニット・リピーターを完成させました。
その後、1960年代の一時期はミニット・リピーターのような複雑な機能の需要がなく、数多くの時計メーカーがその製作を中止しました。しかしパテック フィリップは、創業150周年の盛り上がりのなか、ミニット・リピーターの製作を再開。これがやがて人々の関心を呼び起こし、今では時計愛好家の垂涎の的となっています。
今なお、その品質向上を求めて進化し続けているパテック フィリップのミニット・リピーターは、伝統的な技術の粋を集めただけではなく、その理想的な音質を数値データとしてグラフ化し、それを再現すべく素材の選択と調整を行っています。すべてを終えると、最後に待っているのは社長自身による音の最終判定。驚くほど繊細な工程を経てつくられた時計も、これに合格しないと世に出ることができないのです。数多く生産することができないがゆえの希少性も、人々の心を捉えてやまないミニット・リピーター。
モデルによって、さらに個体によっても1本1本音色が違う、この貴重な時計のハーモニーを、7本の動画にてお楽しみください。
■1:女性のためのミニット・リピーターを動画で聴く
レディス・ファースト・ミニット・リピーター Ref.7000
2011年に登場した、パテック フィリップ初の女性のためのミニット・リピーター。世界で最も小さいミニット・リピーター搭載ムーブメントのひとつにも関わらず、5.05mmという薄さも実現。18金ローズゴールドのケースの温かみに、ニュアンスのあるクリーム色の文字盤、立体感のある数字をシンプルに配した、シンプルながら女性らしくエレガントなデザイン。複雑式時計のエントリーモデルともいえます。
■2:ユニセックスに愛される伝統的なミニット・リピーター
ミニット・リピーター Ref.5078
伝統的なデザインのミニット・リピーター。従来のプラチナ仕様に加わった、ローズゴールド仕様。本白七宝文字盤に、ローマ数字で配されたインデックスが新しい表情をも生み出しています。サファイヤクリスタルのバックと通常のケースが付属し、機械の動きを楽しむときはサファイヤクリスタル、機械の保全を第一にするには通常のケースを、と目的によって付け替えることができます。
■3:鐘のような豊かな音の余韻が楽しめるミニット・リピーターはこれ!
ミニット・リピーター Ref.5074P
従来からの<トラディショナル・ゴング>とは異なる、寺院の鐘のような音色と音量をもつ<カセドラル・ゴング>が開発されたのは2000年初めのこと。永久カレンダー搭載のRef.5074Pモデルは、このカセドラル・ゴングが余韻のある豊かな音色を奏でることで、コレクターから絶大な評価を得ています。ブラックの文字盤に、数字インデックスがシックなこのモデルは、現在は生産中止の希少な一品。
■4:パテック フィリップの技術が集結した、芸術作品のような時計
ミニット・リピーター Ref.5307P
重力による姿勢差を自ら補正する特殊機構ながら、その機能美に圧倒されるトゥールビヨンと、うるう年や月による日数の違いの調整を自動的に行う機能、永久カレンダーをも搭載したモデル。華やかなダイヤモンドによるインデックスに、40個のバゲットダイヤモンド付きのべゼルが配され、時計技術とジュエラーの芸術が融合しています。
■5:シンプルシックなミニットリピーターは、黒のルックスに機能が凝縮
ミニット・リピーター Ref.5539
伝統的なモデルからインスピレーションを得たクラシックなルックスに、トゥールビヨンも搭載。本黒七宝文字盤に配されたブレゲ数字インデックスと、ホワイトゴールドの組み合わせが優美さを漂わせます。
■6:パテック フィリップの現行コレクションで最も複雑な機能をもつ時計
ミニット・リピーター Ref.5216
1993年に発表され、18年にわたり、愛好家やコレクターから絶大な支持を得てきた5016モデルの後継者。トゥールビヨン、永久カレンダーも搭載した、現行コレクションのなかで最も複雑な機構をもつ時計のひとつです。さらに、6時位置のサブダイヤルには月の満ち欠けを表示するムーンフェイズが。これは美しいばかりでなく、122年45日でようやく1日の誤差が出るという驚きの精度までも実現。
以上、6点のレアすぎる名品機械式時計をご紹介しました。数え100個もの部品が小さなスペースの中で調和をとりつつ、文字盤に表示される時刻を最も快い音色により知らせることを目的としたミニット・リピーター。低音は「時」、高・低音の組み合わせで「15分」、高音で「端数の分」を表しています。
6本の時計のミニット・リピーターの比較動画は、下記よりご覧いただけます。
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- 制作協力/株式会社ユニモト 構成/安念美和子