「明日、何を着ていこうか?」 そう迷ったとき、40代、50代の女性の強い味方となってくれるのが、コーディネート組み合わせ不要の「ワンピース」です。そこで、梅雨が明けきらない蒸し暑い7月の東京を舞台に、きちんと、クールに、美しく過ごすキャリア女性の1か月を「毎日、ワンピースを着たら…」という設定で描いてみました。シチュエーションに合わせて選んだ31枚の「ワンピース」が紡ぐ夏の物語を、1か月分まとめてお見せします。
PROFILE
高橋里奈さんが演じる主人公女性
英語、スペイン語、イタリア語を話す、フリーランスの通訳。中学卒業までを、イタリアで過ごした帰国子女で、高校卒業後はロンドンへ留学。金融関係からファッション、映画まで幅広いジャンルでの通訳業をこなす。商社勤務の夫と都内の高層マンションでふたり暮らし。
【7月1日(土)】ワンピースは…トム フォード
N.Y.から来日した投資会社CEOと初顔合わせ。
気難しそうなゲストで、少し緊張…
都内で開催される国際セミナーの講演のため来日した、投資会社のCEOとともにステージへ。通訳業務はゲストの黒子的存在と心得て、ダークスーツの男性のなかでも浮かない、モノトーンを選択。共布のストールをひと巻きした気品漂う表情は、初対面の相手にも好印象を与えます。
前身ごろからつながるストールは巻き方を変えることで表情が変化。アシメトリーなすそとスリットが美しく揺れ動く
【7月2日(日)】…ワンピースはブラミンク
久々に晴れた日曜日。パーティ用のドレスを探しに表参道のブティックへ
眩しい日差しに誘われて、鮮やかな色のワンピースをまとえば、一気に夏モード! 楽しみなイベントに備えて、華やかなドレスを探しにお気に入りのお店を偵察。カジュアルなリネン混ワンピースでも、クリアな白小物を合わせることで都会仕様に。
ウエスト位置を高めに設定したことでバランスがよく見えるサックワンピース。チラリと脚が見える後ろスリットも小粋。
【7月3日(月)】…ワンピースはルイ・ヴィトン
クライアントと会う前にカフェですばやく朝食。
この朝の15分が余裕につながる!
今日は、3つの案件を抱えたハードな一日。そんなときは、早起きをしてカフェに立ち寄るのが長年のマイルール。どんな事態にも動じない余裕の表情が、クライアントの信頼にもつながるはず。優しいベージュの清潔感漂うシャツワンピースは、肩~胸元にかけての繊細なカットワークがポイント。ハリのあるコットン素材で、肌触りも抜群。
ブランドを象徴するモノグラム・モチーフがカットワークレースに! ゴム入りのギャザーで、ウエストが絞られた、着やすいデザイン。
【7月4日(火)】…ワンピースはジバンシイ
緊張感が漂うゲストの表情に、こちらの身も引き締まる
会議開始の直前、本国から緊急の電話が鳴り響き、ゲストは何やら深刻な表情…。威圧感のない上品なピンクベージュは、肌をワントーン明るく演出するだけでなく、黒髪を美しく見せると海外ゲストからも好評。ウエストから流れるようなベルトデザインが、アクセントに。
ペプラム風の切り替えがそのまま両サイドに落ちるエレガントなデザイン。タイトなシルエットに、ピンクベージュが優しさを添えて。
【7月5日(水)】…ワンピースはミッソーニ
午後からの会議に備えて、専門資料を念入りにチェック
専門用語が飛び交う会議に不自由なく対応するためには、事前のリサーチや下準備が不可欠。ノーストレスなニットワンピースなら、午後から始まる長時間の会議も不安なし! 同柄のカーディガンをはおり、冷房対策を。
凹凸あるボーダー編み地を、縦と横で使い、間延びしがちなニットワンピースにメリハリを。同素材のカーディガンもある。
【7月6日(木)】…ワンピースはランバン
3日間続いた会議も無事終了。
お疲れ様も兼ねて、ゲスト夫妻とともにディナーへ
滞在中、完璧にアテンドを務めてくれたお礼にと、ゲスト夫妻からディナーにお呼ばれ。素敵なレストランのために選んだのは、ネイビーのシルク混ワンピース。アメリカンスリーブの首元には非常に細かなプリーツが施され、歩くたびにふんわりと揺れ動くフェミニンなデザイン。
透け感あるシルク混素材。キュッと詰まった襟元に細かく入ったギャザーが、すそに向かってわずかに広がり、歩くたびに優雅に揺れる。
【7月7日(金)】…ワンピースはアクリス
来日したモデルに随行して新作化粧品の発表イベントへ
メディアも駆けつける化粧品ブランドの新作発表会には、控えめながらも、華のある着こなしを意識。ペールグレーのタンクワンピースに、存在感を放つブレスレットウォッチが光ります。
艶やかなイタリア製シルククレープストレッチを使用。むだを省いたデザインと立体裁断がボディラインをすっきり整えてくれます。
【7月8日(土)】…ワンピースはwb
久々に会った女友達と深夜までナイトクルーズ!
「おいしいシャンパンをゲットしたから!」と急きょ開催された女友達とのディナー。夜から始まる優雅な集まりなので、大胆に背中が開いたデザインのセクシーなワンピースを選択。手元にクロコダイルの腑を模したシルバージュエリーを合わせることで、フェミニンな印象が一転、大人好みの辛口エレガントな着こなしにワンランクアップ。
フロントの深いVネックと、背中のリボンディテールは、前後を逆に着ることができる2WAY。素材の落ち感を生かした着映えシルエットが自慢です。
【7月9日(日)】…ワンピースはフリッカ
噂の熟成肉のレストランへ。支度に時間がかかって…汗!
やっと予約が叶った話題のレストランへ、夫と時間早めのディナーへ。ずっと前から楽しみにしていたのに、お出かけ前はやっぱりバタバタ…。「せっかくの休日だから!」と選んだビビッドなピンクのワンピースには、爽やかな白ジュエリーが似合うかしら?
肩を覆うケープスリーブと、ふんわりと広がるAラインが可憐な表情。背面はVカットですっきり。
【7月10日(月)】…ワンピースはレキップ
クライアントはIT関係。辛口の黒で知的な印象を演出
カジュアルスタイルが多いIT企業のクライアントに合わせて、ナチュラルなカーキのシャツワンピースを。手元はブラックジュエリーで緊張感を保ちたい。
肌触りがよく通気性抜群のコットン混のタフタ素材を使用したコクーンワンピース。巧みにドレープを寄せた襟元のデザインが抜け感を演出。
【7月11日(火)】…ワンピースはエスカーダ
涼しげな黒レースで、夫の実家へお中元のご挨拶に
毎年恒例のお中元のご挨拶には、いつもよりもコンサバを意識。黒でも、幾何学柄の華やかなマクラメレース×艶のある黒小物で「喪服」感を払拭させて。マットな黒ワンピ―スだから、光沢感のあるパテントヒールパンプスをチョイス。
さまざまな種類の糸を組み合わせた幾何学モチーフを表現したマクラメレース。デコルテからそでにかけて品よく肌見せ。
【7月12日(水)】…ワンピースはエンポリオ アルマーニ
お堅い政府関係のゲストなら、辛口の黒で一歩控えめに
ベーシックな黒のジャケットとワンピースこそ、上質かつ美しいシルエットにこだわって選びたい。華やかさも控えめにするなら、シンプルなシルバーが夏にはぴったり。光りすぎないメタリック小物で、シャープさを加えて。
フォーマルまで対応可能なひざ下丈のジャージーワンピース。腰回りのドレープが女力をup。
【7月13日(木)】…ワンピースはエアロン
憂鬱な雨が続く毎日だから、ハッピーなレインアイテムで!
清涼感のあるさらりとした着心地のワンピース×存在感のあるボーダー傘で、一日をハッピーに!
清涼感のあるビスコース×コットン素材。ドロップショルダーからきゅっと絞ったゴム入りのそでが特徴的。雨の日はベルトを外してゆったりと、晴れの日はベルトを締めてスッキリと着こなせます。
【7月14日(木)】…ワンピースはマックスマーラ
連休を前倒しでリフレッシュも兼ねて国内旅行へ出発!
レザーで効かせたタンカラーが黒にメリハリをつけてくれる。さらにイレギュラーヘムのシルエットが、足取りを軽やかに演出。
黒でも重く見えない光沢感のあるコットン素材。襟や袖口など、随所に光るシャツのディテールが小粋。
【7月15日(土)】…ワンピースはジャンポールノット
陶芸家の友人が開いた個展のオープニングパーティーへ!
シンプルなAラインのシルクサテンワンピースには、目に涼しげな大判ストールを巻いて華を添えたい。フラット靴でカラーリンクさせると、バランスよく見せられます。
マットなシルクサテンとなめらかなガーゼジャージー。質感の異なる2枚の黒を重ねたタンクワンピースです。旅行用として身にまとっても便利です。
【7月16日(日)】…ワンピースはボッテガ・ヴェネタ
女友達と温泉旅館へ。
今日は一日中、のんびりと過ごす予定
郊外の宿で女友達と合流。温泉に浸かりながらお互いの近況を報告し合ううちに、日ごろのストレスも解消…! 旅のお供に選んだのは、くるぶし丈で着心地抜群のビスコースギャバジンワンピース。朝のうちは肌寒いのでニットカーディガンが活躍します。
さらっとしたビスコースギャバジン素材仕立てのワンピース。前後に入ったタックがニュアンスあるピンクベージュのロング丈です。
【7月17日(祝)】…ワンピースはプラダ
海が見えるテラスレストランを予約したけれど…。
「梅雨明け宣言」はもう少し先?
今日は「海の日」ということで、張りきって眺めのいいテラスを予約したのに、なんだか曇り気味…? それでも大胆なフラワープリントを着れば、気持ちは晴れ晴れ! ハイウエスト切り替えのフレアデザインで、スタイルアップも抜かりなく。
ウエスト切り替えのクラシカルなフレアシルエット。手書き風の花柄が大人のおしゃれ心をくすぐるデザインに。
【7月18日(火)】…ワンピースはトリ― バーチ
来日中のデザイナーと都内のギャラリーへ
デンマークから来日中のインテリアデザイナーに付き添い、ギャラリーを訪問。グリーンストライプの効いたシャツワンピースで出迎えたら、「素敵だね」とほめられた! ウエストのベルトがきちんと感を生むポイント。
グリーン、ブルー、オフホワイトの3色使いが楽しいストライプは、ジャマイカのホテルの日除けから発想されたもの。
【7月19日(水)】…ワンピースはレ・コパン
クライアント主催の食事会にお呼ばれして
毎年、食の祭典イベントでお世話になっている企業の食事会に参加。今日は私が「ゲスト」なので、いつものダークカラーではなく、クリアな白ワンピースを主役に。総レースのカーディガンを重ねて、ただのシンプルに終わらせない演出を心がけたい。
ボディにつかず離れずの極上のタンクシルエット。鎖骨ラインをきれいに見せる、こだわりのカッティングも秀逸なデザインです。
【7月20日(木)】…ワンピースはアニオナ
外国投資家への雑誌インタビューに同行
某経済誌の取材で、有名投資家と対面インタビュー。つかず離れずのベージュのリネンファブリックに黒のトリミングを描いた知的な一枚を選択。アクセントカラーに合わせてジュエリーも黒で統一。上半身の見せ方しだいで、第一印象は決まるそう。
さらりとした肌触りが心地よい麻素材。体を締めつけないゆとりあるシルエットだが、黒のステッチ&ジップが着やせ効果を発揮します。
【7月21日(金)】…ワンピースはJ&M デヴィッドソン
明日のホームパーティに備えて買い出しへ
本日の仕事は午前中で終了! ビタミンカラーのオレンジワンピースで、週末の別荘でのホームパーティーの買い出しに出かけます。
高密度でハリ感のあるコットン生地を使用した、フレアスリーブの楽ワンピース。華奢に見えるように肩幅と胸周りをコンパクトに仕上げ、脇には隠れポケットが。
【7月22日(土)】…ワンピースはフェンディ
梅雨も明けて、クルージング日和!
海に映えるワンピースで夏気分を満喫
久々に晴れた週末は、別荘仲間のヨットでクルージング。ジップ式のロング丈ワンピースは、ハリとボリュームのあるコットン素材。ボトムにかけてのブルー×エメラルドグリーンのコントラストが、夏の海に映えます。
フロントを走る黒のダブルジップがアクセントになったボリュームシルエット。深めのブルー×エメラルドグリーンが夏らしい輝きを放っています。
【7月23日(日)】…ワンピースはブルネロ クチネリ
別荘のテラスで読書タイム。
海からの風が涼しくて…気持ちがほどけていく
今日はあえて予定を入れず、ストックしていた本を一気読み。自分だけの時間に着たいのは、リネン×シルクのサマーニットワンピース。どんな体勢でも体にフィットするゆるやかな着心地が、穏やかな時間へと誘います。
リネン×シルク素材のスパンコール糸を使用したニットワンピース。アシメトリーに入ったタックで立体的なシルエットに。
【7月24日(月)】…ワンピースはジル・サンダー
新作プロモーションのため来日した映画監督に
滞在ホテルのスイートルームで通訳
昨夜イタリアから到着したばかりの監督は、朝から続く取材の嵐に少々お疲れ気味のご様子。約1,000冊の本が並ぶスイートルームはお気に入りのようで、空き時間には、日本の文化について興味津々。取材してくれる方々には、端正なネイビーワンピースで上品に対応します。
落ち感のあるナイロンストレッチ素材。中心に向かって寄せたドレープが、華奢に見せてくれます。
【7月25日(火)】…ワンピースはジェームス パース
羽田空港から夜便で出発。目覚めればAloha!
長時間、機内で過ごすときは、ストレスフリーな伸縮素材を。ラフなように見えて、サイドのギャザーが気になる体のラインをさりげなくカバーしてくれる、優秀なワンピースです。
シワ感のあるコットンリネン素材。両サイドに縦に入ったギャザーがおなか周りを適度にカバーしてくれます。
【7月26日(水)】…ワンピースはブルネロ クチネリ
スパで心ゆくまでリラックス。旅の疲れを癒やしたい
ハワイに到着した初日はまず、ホテル内のスパでデトックスからスタート。シンプルでも小ワザの効いたデザインなら、他のゲストとすれ違っても安心。アシメトリーなシルエットラインも、軽量感のあるコットンポプリンテクノ生地なら、バランスよく着こなせる。
軽量でスポーティなタッチが楽しめるコットンポプリンテクノ素材を採用。色はシックなアルバ・マリーナ=海草色。
【7月27日(木)】…ワンピースはマックスマーラ
朝からアラモアナへ! お目当てはアメリカらしいリネン類
一日中移動するなら、マキシ丈のロングワンピースが相棒! 着た瞬間にリゾートモードON。巻きスカート風のデザインで軽やかに。
デニム風の洗いをかけたビスコース・リネンが爽やか。結び方しだいでシルエットを調節できるリボンに注目。
【7月28日(金)】…ワンピースはフリッカ
「おめでとう!」
今回の旅の目的は姪っ子のハワイアンウエディング!
仲がいい姪っ子の結婚式は、海辺で行うカジュアルなウエディング。鮮やかなAラインワンピースは、すそに遊び心を。
一見シンプル、でも、背中のVカットや深めのタックによる立体的なフォルムが着映えを約束。ウール×シルク素材。
【7月29日(土)】…ワンピースはプレインピープル
プールサイドでは、水着の上に極薄ワンピースを重ねて日焼け対策
ハワイの太陽を意識して、コットンワンピースを2枚重ね着。素肌にとろけるような極上の肌触りがうれしい。
ガーゼのような薄手のコットン素材。両サイドに深めのスリットが入ったボックス形だから、水着の上に着ることもできます。
【7月30日(日)】…ワンピースはサンローラン
夕方からガーデンコンサートへ
屋外で聴く久々のクラシックは格別
旅先の荷物をほどく間もなく、先日通訳を担当したアーティストのガーデンコンサートへ。クラシカルな会場に映える、後姿が美しいペプラムワンピースを選んで。総レースのトップス部分や、後ろのスリットなど、気分から女らしさを上げる一枚。
総レースが清楚な印象を与える黒ドレス。華やかなぺプラムがヒップ周りをカバーしてくれます。
【7月31日(月)】…ワンピースはロシャス
夜景がきれいなBARで夫からのサプライズプレゼント!
素敵な誕生日の演出に感激
誕生日のお祝いに夫とBARで待ち合わせ。「はい、これ」と急に手渡されたプレゼントにびっくり! 特別な日に着たいのは、シルクの光沢が美しい、華やかなラッフルスリーブワンピース。スクエアなラインで華奢見せ。
薄手のシルク素材。生地をたっぷりと使用しているため、着用時に流れるようなドレープが生まれます。
以上、31枚のワンピースを使った7月の1か月ファッション・ストーリーをお届けしました。40代、50代の大人の女性の夏の着こなしの参考になれば幸いです。
※価格はすべて税抜です。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 『Precious7月号』小学館、2017年
- PHOTO :
- 水田 学(NOSTY/人物) 小林美菜子(静物)
- STYLIST :
- 戸野塚かおる
- HAIR MAKE :
- 重見幸江(gem)
- MODEL :
- 高橋里奈(Precious専属)、Dutch、ALEC
- COOPERATION :
- サイマル・インターナショナル、 パーク ハイアット 東京、 星野リゾート 界 熱海、 BLAMINK TOKYO、メトロクロス
- EDIT&WRITING :
- 廣田沙羅・竹市莉子(HATSU)、喜多容子(Precious)
- RECONSTRUCT :
- 安念美和子(Precious.jp)