【目次】

【「立春」とは?「読み方」と「意味」、「由来」】

「読み方」

「立春」は「りっしゅん」と読みます。

■「意味」

「立春」の「立」には、「立案」「立法」などにも使われるように、「つくる」「新たに始める」という意味があります。従って、「立春」は「春の始まり」「春の兆しが見え始める頃」。天文学的には、太陽の黄経(こうけい)が315度に達する日をいい、毎年2月4日ごろにあたります。

■「由来」

「立春」は二十四節気のひとつです。二十四節気は古代中国でつくられた季節の区分法。1年を24等分して、季節の移り変わりを教えてくれますよ「立春」「立夏」「立秋」「立冬」を指して「四立(しりゅう)」と呼び、それぞれが「季節のはじまり」を表しています。


【立春の頃の食材・行事食は?】

■節分と豆

「節分」には、「季節を分ける」という意味があります。現在では「立春の前日」だけが「節分」として行われていますが、本来は立春・立夏・立秋・立冬、すべての前日を、「節分」と言います。古来より、季節の変わり目には邪気が生じると信じられていたため、「節分」の日には豆まきをしたり、柊の枝にイワシの頭を刺したりして、邪気の象徴である鬼を追い払います。また、「魔の目を射る」に通じる炒った大豆を、年の数だけ食べて無病息災を願ったり、年越しそばと同じように「節分そば」を食べる地域もあるようです。

■「立春大吉」とは

「立春大吉」と書かれたお札を、お寺や民家の軒先で見たことはありませんか。禅寺の習慣で、このお札を貼ることで厄除けができるといわれています。その理由は……縦書きした「立春大吉」という文字は左右対称になっており、裏からも表からも「立春大吉」と読めるのです!

このお札が門や玄関に貼ってあると、鬼が門から入り、振り返ったときも同じようにお札の文字が見えるため、「この家以外にも、まだ入っていない家がある!」と勘違いして、入ってきた門から出て行ってしまうのだそうです。そのことから、鬼や災いを寄せ付けず、平穏無事に過ごすことができるといわれています。

立春大吉の札は、禅寺でいただくことができますが、自分で書いてもよいそうです。「立春」から「雨水(うすい/2月19日頃)」までの間に貼り、1年間貼り続けます。貼る場所は、玄関の外側から見て向かって右側や、神棚、大切な部屋の入り口など。外へ向け、目線よりも高い位置に、のりや両面テープを使って貼るといいですよ。

■立春朝搾り

立春の日の朝一番に搾り上がった日本酒のことを「立春朝搾り」と言います。この日本酒は、地元の神社でお祓いし、“立春朝搾りに関わるすべての人の今年一年の幸運と繁栄を招く“とされる「縁起酒」です。これは、1998年から日本名門酒会によって始められた、比較的新しい習慣です。

■立春大吉豆腐

大豆からつくられる白い豆腐には邪気を払う力が宿るとされ、立春に豆腐を食べると「全ての邪気を祓い、新しい1年を健康で幸せに暮らせる」と言われていますよ! まだまだ寒さが残る季節ですから、温かな湯豆腐でいただくのもいいですね。

■立春大福

立春の日に食べる和菓子を「立春生菓子」と呼びますが、なかでも大福や豆大福を「立春大福」といいます。小豆や餅、蓬(よもぎ)などには、けがれ邪気を払う力があると言われ、餅を丸めた「立春大福」には「ものごとを丸く収める」という意味が込められています。他にも、立春の日に和菓子店には、立春を祝うさまざまな和菓子が並びますよ。

■旬を迎える食材

・トラフグ
ふぐの王様と言われる「トラフグ」は、厳しい冬の寒さが終わりかける立春の頃に、旬を迎えます。産卵のため日本沿岸に近づいてきたころが食べごろと言われていますよ。

・ふきのとう
ふきのとうは「フキ」の蕾(つぼみ)。いちはやく春を知らせるとされ、昔から苦味健胃薬として、胃のもたれや胃痛に用いられていたそうです。さっと茹でて水にさらし、みじん切りにして水気を絞ったら、みりん、酒、味噌で煮詰める「ふきのとう味噌」は季節を告げる大人の味です。


【2025年の「立春」はいつ?】

二十四節気では、1年(365日)を24等分して季節を表します。従って、各節気の期間は約15日間となります。例えば、「立春」といった場合、「立春」に入る日を指す場合と、「立春」にあたる15日間を指す場合があります。

■2025年の「立春」は?

二十四節気は太陽の動きによって決まるため、年によって「立春」が始まる日は多少前後します。2025年の「立春」は2月3日(月)。期間で言えば、2月3日から2月17日までです。太陽の動きだけを考慮した暦のため、実際に暑いか寒いか…という感覚とはズレがあります。日本では2月初旬は1年で最も寒いころですね。とはいえ、春に向かって、日が長くなっていることを体感できる時期です。


【「春分の日」との違いなど雑学】

■季節ごとの「節気」は6つ!

二十四節気は1年を24等分するため、春夏秋冬、各季節にあたる節気は6つです。そのうちの「春」は、春の始まりである「立春」に始まり水ぬるみ、草木の芽が出始める「雨水」冬ごもりをしていた虫が気候が暖かくなって外に出てくる「啓蟄(けいちつ)」昼の長さと夜の長さがほとんど同じになる「春分」新緑が芽吹き花は咲き、蝶が舞うと言われている「清明(せいめい)」、そして、春の最後である、雨が降り、種が稲に育っていく「穀雨(こくう)」へと進んでいきます。 

■「立春」は一年の始まり

二十四節気では、「立春」が春の始まりであり、「一年の始まり」とされています。では最後は……というと、二十四番目に当たるのは、「大寒」。そして「大寒」の最終日が「節分」です。「節分」の行事は、一年の最後を締めくくる行事だったのですね。

■「立春」と「春分」の違いは?

二十四節気は、「立春」から始まって「雨水」「啓蟄」「春分」と続きます。つまり「春分」は「春」としては6つあるうちの4番目、春の中間です。昼と夜の長さがほぼ同じ日で、国民の祝日に制定されており、2025年は3月20日(木)です。ちなみに、2025年の桜の開花予想(1月23日発表)は、福岡で3月23日、東京が3月24日となっていますので、まさに春たけなわの頃と言えます。

■「ひな人形」の準備はこの時期から

ひな祭りは、春の訪れを祝う行事でもあります。その準備として、「立春」を迎えたら、ひな人形を飾り始めてもよいとされています。「立春」の期間はは約15日ありますから、その間にひな人形を出すのがいいですね。

■季節の挨拶「立春の候」

「立春の候」とは、「寒さがゆるみ、春の始まりが感じられる頃となりました」といった意味合いのある挨拶です。以下に例文をご紹介しましょう。「立春の候」は時候の挨拶ですので、「拝啓」や「謹啓」などの頭語の後に入れます。 また、「立春の候」を「立春のみぎり」、「立春の折」と使うこともできます。

・立春の候、貴社ますますご繁栄のことと心よりお慶び申し上げます。
・立春の候、みなさまにおかれましてはますますご活躍のこととお喜び申し上げます。
・立春のみぎり、○○様におかれましてはますますご清福にお過ごしのこととお喜び申し上げます。
・立春の折、みなさま方におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

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「立春」は春の始まりであり、1年のはじまり。これからの1年が平穏無事に暮らせることを願って、「立春大福」や「うぐいす餅」「椿餅」「桜餅」など、季節を感じる和菓子でお祝いするのもいいですね。幸先のよいスタートとなりそうです。

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参考資料: 『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『おうちで楽しむにほんの行事』(技術評論社) :
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