18歳で上京した当時、デパートで働いていた真理子ママがスナックを始めたのは、昭和48年。真理子ママのスナックの歴史を紐解いていこう。

一時は都内で6店舗ものスナックを経営

「デパートで働いていた時、スナックをやらないかって誘われたの。水商売未経験だったし、お酒を飲む人の相手をするのも嫌だったんだけど」

元デパートガールの真理子ママ
元デパートガールの真理子ママ

そうは言いながら、この仕事が性に合っていたのだろう。一時は池袋、駒込、赤羽に各2店舗、計6店舗を経営するほどの手腕を発揮する。

「お客さんがお客さんを呼んでくれるいい時代でした。お金を数えるのが好きだから(笑)、私に向いていたのかもしれないですね」

内装は平成元年にオープンした当時から変わっていない
内装は平成元年にオープンした当時から変わっていない

年齢を重ね、目の届く範囲だけで店をしようと決め、真理子ママが住む赤羽にあった『スターレディー』だけを残した。『スターレディー』は真理子ママが経営する店の中で最も若い店だが、それ以外の店の常連だった人が今もこの店に通っている。昭和48年から通う90代の御仁もいれば、祖父・息子・孫の3代で通う人たちもいる。
そうやって長年通う常連客がいるのは、真理子ママのおおらかな人柄によるところが大きいだろう。

赤羽には、まだまだ昔ながらの風景が残っている

昭和48年から赤羽を知る真理子ママに、この街の変遷も尋ねてみた。

赤羽には初めて訪れた森上さん。ディープな街という印象があったというが、真理子ママの赤羽の歴史を聞くにつれ、その思いを強くしたという
赤羽には初めて訪れた森上さん。ディープな街という印象があったというが、真理子ママの赤羽の歴史を聞くにつれ、その思いを強くしたという

「その前以前の赤羽駅は木造の建物だったし、そもそも今と違う場所にあったから。駅前は、しもた屋ばかりで、道路も狭かったですね」

街が変わってきたのは平成に入った頃だと言う。

「もともと個人商店ばかりの街でしたが、チェーン店が増えました。ここ10年で高層ビルも建つようになってだいぶ都会になりました」

チェーン店ばかりになると、利便性は増す一方で味気なくなっていく。

店名の『スターレディー』は、真理子ママが星座を好きだったから
店名の『スターレディー』は、真理子ママが星座を好きだったから

赤羽の個性が薄くなり、他の街と均一化していくことに対し、真理子ママはどう思っているのだろうか。 
「赤羽は今も古い居酒屋などが残っているし、駅から少し離れるだけで昔ながらの住宅街が広がっています。変わっていく寂しさはあるけれど、残っている方にも目を向けないと」

この店も商店街から少し離れた場所に立地しているためか、昭和のノスタルジーが色濃く残っている。多くの常連は、そんなところにも惹かれているのかもしれない。

真理子ママの優しさに包まれたこの店は、スナックビギナーにも訪れやすい

真理子ママとの会話に花を咲かせていると、常連グループが慣れた様子でやってきた。そのうちの一人がミニステージに立つので、森上さんもタンバリンを手に盛り上げる。

酔わないと歌えないタイプとのことで、タンバリンでムードを高める
酔わないと歌えないタイプとのことで、タンバリンでムードを高める

初めて正調スナックに訪れた森上さんに、今夜の感想を求めた。

「真理子ママが優しくて話しやすかったです。だから常連さんが多いのかな。たくさん出してくれたお料理は、どれも美味しかったし、また遊びに来たいです」

内装は平成元年にオープンした当時のまま変わっていない
内装は平成元年にオープンした当時のまま変わっていない

1軒目に訪れてもいい『スターレディー』。昭和の香りを感じたい夜に足を運んではどうだろうか。

【スターレディー】

スターレディー

問い合わせ先

  • スターレディー TEL:03-3902-2389​
    住所/東京都北区赤羽2-19-6
    営業時間/18:00〜24:00
    定休日/日曜・祝日
    メニュー/¥3,000〜(ドリンク、フード、カラオケ込み)

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この記事の執筆者
フリーランスのライター・エディターとして10年以上に渡って女性誌を中心に活躍。MEN'S Preciousでは女性ならではの視点で現代紳士に必要なライフスタイルや、アイテムを提案する。
PHOTO :
小倉雄一郎