男性用フレグランスのなかで、最も人気を博しているシャネルの『ブルー ドゥ シャネル』。そのシリーズが、『ブルー ドゥ シャネル パルファム』だ。オードゥ トワレット、オードゥ パルファム、そしてパルファムと、香料の割合が異なる3種類のポートフォリオになる。一般的にこの差は香りの濃度、持続性にあることが多いが、シャネルは、それぞれにおいて、ただ香りの濃淡を変えるのではなく、主として際立つ香りを変えている点に一家言ある。

唯一無二の香りは男性の魅力を引き立たせる

シャネルの『ブルー ドゥ シャネル』

香調はアロマティック ウッディ。サンダルウッドが際立ちつつ、セダーが香りを支える。シトラスの果皮やラベンダー、ゼラニウムの爽やかなノートが涼感を添える。ブルー ドゥ シャネル 50ml ¥11,200・100ml ¥16,000(シャネル)※税抜、参考価格

オードゥ トワレットは陽に焼けた森林を思わせるセダーを立たせて、オードゥ パルファムではオードゥトワレットと同じ香りの構成ながら、アンバーとムスクの官能性を強調。そして、第3の香りとなるパルファムでは深みのあるシトラスやセダーに包み込むように、サンダルウッドを濃密に主張。パルファムの威厳を語るように、その存在感を際立たせた。

こうした既存の香水のルールに縛られないクリエイションは、調香師であるオリヴィエ・ポルジュの志でもある。すでにある香りの印象を強めて同じことを繰り返す…。そんな単純な作業はシャネルにはふさわしくない、という徹底。

さらに、パルファムでは、男性用ならシトラスを香らせればいい、という既成概念から離れ、サンダルウッドにセダーやフレッシュなトップノートを調和させることで、新たな男らしさを描きだした。それは、シャネルが提言する、唯一無二の存在を目ざす男性像にほかならない。

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PHOTO :
小寺浩之(ノーチラス)
WRITING :
加藤智一
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