毎年、この季節に悩ましい問題といえば花粉症。鼻水、鼻づまり、目のかゆみといった諸症状があると、目の前のタスクにもなかなか集中できず、仕事のパフォーマンスも低下しがちです。
しかも、今年は新型コロナウイルスの影響で、マスクが不足していたり、症状があっても何となく医療機関の受診が憚られたりで、対策に手を焼いている人が多いのではないでしょうか?
そこで、今回は、花粉症を発症・悪化させやすいNG行動について、きたにし耳鼻咽喉科院長の北西 剛さんから教わります。花粉症対策の基本は、なるべく花粉をブロックすることですが、実は日常のちょっとした行動が、花粉を身近に引き寄せることにつながっているようです。
辛い症状を少しでも予防するべく、次の6つの行動は控えましょう。
花粉症の発症・悪化につながるNG習慣6選
■1:室内で使用済みマスクを無造作に置きっぱなしにするのはNG
花粉症対策の基本中の基本であるマスクは、できるだけこまめに交換するのが望ましいといわれています。
とはいえ、新型コロナウイルス流行の影響で、マスクの入手が困難な状況においては、使い捨てをためらう人も多いはず。マスクの扱いでは、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
「本来、花粉を室内に持ち込まないためには、自宅や職場の玄関にビニール袋やゴミ袋などを準備して、外出から帰るたびに、マスクを捨てるのが理想的です。
ただ、1日に何度も外出する必要のある人が、そのたびにマスクを交換するのは、今年に関しては現実的ではないかもしれません。
そこで、おすすめしたいのは、室内でのマスクの保管場所を決めておき、外出から戻ったらすぐにそこに置くことです。上着やマフラーなども同様なのですが、表面に花粉がついていそうなものを保管するスペースを1か所に定めておけば、それ以外の場所には花粉が広がりにくい、というメリットがあります。
逆に、室内に持ち込んだマスクを、食卓や自分のデスクなど、あちこちに無造作に置くと、花粉をいろいろな場所に広めることになるので、避けましょう」(北西さん)
外出ごとにマスクを交換するのが難しい場合は、家庭や職場でマスクの置き場所を定めましょう。自分ひとりが実践するだけでは意味がないので、メンバー全員でルールを共有することが大事です。
■2:掃除機だけで掃除を済ませるのはNG
花粉症を予防するには、室内の花粉を除去するために、こまめに掃除することが大切だといわれています。とはいえ、やみくもに掃除機をかければいいわけではありません。
「フローリングなどでいきなり掃除機をかけると花粉が舞いやすいので、まずは拭き掃除を丁寧に行いましょう。
また、床だけでなく、カーテンやカーペット、ソファ、ぬいぐるみなどの布製品のケアも欠かせません。これらは花粉や室内抗原(ダニ・ホコリ・カビなど)を吸着保持しやすいので、すこし湿ったタオル類で拭いたり、コロコロ粘着シートを活用したりしましょう」(北西さん)
■3:「午前10時~11時」と「午後5時~6時」に窓を開けるのはNG
花粉の侵入を防ぐべく、特に日中はなるべく窓を開けないようにしたいところですが、とはいえ、換気などの都合上、ずっと閉め切っているわけにはいきませんよね。窓を開けるのは、タイミングが重要とのことです。
「花粉の飛散量は1日に2度ピークを迎えます。山林から飛んできた花粉に加えて、特にアスファルトやビルの多い都心部では、すでにある花粉が地面などから舞い上がることで飛散します。人の移動が増えた後の時間帯は要注意で、1度目は午前10時~11時頃、2度目は午後5時~6時ごろです。他方、ピークの合間の午後2時から4時ごろは、比較的、花粉の飛散量は落ち着いています。
日中に換気や掃除のために、窓を開けるとしたら、この時間帯が狙い目でしょう。ただし、風の強い日は、どの時間帯でも窓を開けることは避ける方が無難です」(北西さん)
■4:加糖タイプのヨーグルトを摂りすぎるのはNG
腸内環境を整えるなどの目的で、ヨーグルトを食べることを習慣にしている人は多いはず。たしかに、美容・健康にいいイメージのあるヨーグルトですが、加糖タイプを頻繁にとるのは望ましくないとのことです。
「たしかに、発酵食品は腸内環境を改善して免疫力を高めるので、花粉症予防に適しているといえます。ただし、発酵食品のなかでも、ヨーグルトなどは乳製品という点で、あまりおすすめできません。個人差はあるものの、乳製品は粘液を増やす働きがあるといわれており、過剰に摂取すると鼻水が出やすくなるおそれがあります。
また、精製された砂糖は、アレルギーなどの炎症を悪化させやすい、ともいわれているので、ヨーグルトのなかでも、とりわけ加糖タイプは、発酵食品の恩恵よりもデメリットのほうが上回ってしまうかもしれません。
花粉症対策ということであれば、同じ発酵食品でも納豆、キムチ、酵素玄米、味噌などを選ぶほうがいいでしょう。
その他、花粉症を予防するには、ビタミンD(鮭などの魚類、きのこ類、きくらげなど)、ビタミンC(パプリカ、芽キャベツ、レモン、ゴーヤなど)、ケルセチン(タマネギ、リンゴ、サニーレタス、ブロッコリーなど)、オメガ3脂肪酸(非加熱の亜麻仁油、しらすなど)、LPS(玄米、めかぶ、レンコン、ひらたけなど)といった栄養素を含む食品をバランスよくとることが重要です。
一般的に体にいいとされているものでも、ある特定の食品を毎日食べ続けるのではなく、さまざまな食品を摂るように心がけましょう」(北西さん)
■5:鼻毛を根元までカットするのはNG
にっこり笑った瞬間、鼻毛がコンニチハ……なんて恥ずかしい事態を避けるべく、鼻毛の処理に余念がない人は多いはず。とはいえ、あまり神経質に根元までカットするのは、花粉症対策としては望ましくないとのことです。
「基本的には、鼻毛が生えている意味は、外部からの異物を中に入れないことだと思いますので、必要以上に根元までカットしたり、頻繁にカットしたりするのは、避けるほうがよいでしょう。
また、あまり生え際までカットすると、鼻入り口の皮膚を傷つけて、感染の原因になるおそれもあります」(北西さん)
もちろん、表に出てこない程度にカットするのは問題ないとのこと。人には見られたくない鼻毛ですが、見えないところで、私たちの体を守ってくれています。毛嫌いせずに、上手に付き合いましょう。
■6:鼻水が出そうなときに鼻をすするのはNG
大人の女性たるもの、鼻がグズグズするときに人前で豪快に鼻をかむわけにはいきませんよね。ただ、鼻をかみたくないからといって、すすってしまうのは健康上、百害あって一利なしのようです。
「花粉症の時期に限ったことではありませんが、鼻をかまずにすするのはNGです。鼻をすすると、鼻腔内のほこりやウイルス、細菌を体内に招きいれることになり、また、場合によっては、鼻水が耳まで逆流して、中耳炎など耳の病気を引き起こすおそれもあります。
実は、大人でも鼻を正しくかむことができない人が意外と大勢いるのですが、鼻をかむときは片方ずつ下を向いて、息を吐ききるまでゆっくりかむようにしましょう」(北西さん)
*
毎年、気になる花粉症ですが、実は知らず知らずのうちにNGな行動を取っていた人も多いのでは? 辛い症状をなるべく悪化させないために、当てはまる行動はこの機会に改善しましょう。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美