「春告魚(はるつげうお)」ってどんな魚? 春に魚といえば・・・鰆?
桜も開花し、すっかり春ですね。本日は、「春」の入った日本語をクイズでおさらいして参りましょう。まず1問目は、初級問題から。
【問題1】「蠢く」ってなんと読む?
「蠢く」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント:<使用例>「誰もいない部屋で、なにかが蠢くような音がしたの。私、怖くて…」
さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 蠢(うごめ)く です。
意味は「絶えずもぞもぞと動く」です。
「春」という字の下に「虫」が並んで「蠢(うごめ)く」。いかにも春らしい漢字ですが、虫が苦手で想像力が豊かな方は、字だけでゾッとしてしまうかもしれませんね。
さて2問目は、さわやかな問題にいたしましょう。「春の食べもの」に関する日本語クイズです。
【問題2】「春告魚(はるつげうお)」ってどんな魚?
「春告魚(はるつげうお)」といえば、次のどの魚のこと?
1:ニシン
2:メバル
3:サワラ
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は・・・ 1:ニシン 2:メバル 3:サワラ 「すべて正解!」です。
「え?春告魚といえば、ニシンの異名じゃない?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。「なぜすべてが正解か?」を、ひとつずつ解説してまいりますね。
1:「ニシン」説の由来
「春告魚(はるつげうお)」は、かつては3月から5月に北海道西岸に大挙して押し寄せる魚=ニシンの異名とされてきました。
2:「メバル」説の由来
近年、ニシンの漁獲高が減少したことで、漁業に近い方ほど「春告魚」といえばメバル、という認識が広まっています。
3:「サワラ(その他数種)」説の由来
さらに「魚編に春」と書く魚「鰆(サワラ)」や、ヤマメ、イカナゴ、アマゴなど、地域や立場によって「春告魚(はるつげうお)」という名称が指す魚の種類が違っているようです。
鮮魚流通業界では「春告魚は、関東・東海ならメバル、関西ではサワラ、瀬戸内海ではイカナゴ」という認識があるようです。
…と、このように「春告魚(はるつげうお)」が指す魚の種類は、時系列や地域、また、言葉を使う方の立場によって変化するようです。
興味深いのは、指す魚の種類は違えど、「春告魚(はるつげうお)」という素敵な異名を、さまざまな場所、立場の方が使い続けているところです。
地域や立場によって意味する魚が違うなら、混乱を呼ぶので、その呼び名は使わない…となってもおかしくないのに、皆が今も使っている。
「春を告げる魚」という、心が浮き立つような美しい呼び方で、自分と関係の深い魚を呼ぶ…という、日本語の美しさを愛する文化があってこそ、今も使われている日本語が「春告魚(はるつげうお)」なのでしょう。
「春告魚(はるつげうお)」を辞書でひくと、「ニシン」説のみ載っているもの、「ニシン」「メバル」説の二つを採用しているもの、「ニシン」「メバル」「サワラ(その他数種)」説のすべてを載せているもの…と、こちらもさまざまです。
本日は「春」の入った日本語
・蠢(うごめ)く
の読み方と、
・春告魚(はるつげうお)
のトリビアをお送りしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『日本の食べ物用語辞典』株式会社FROMTOJAPAN/横浜丸魚株式会社HP
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱