中央区銀座。夜の銀座といえば日本一のネオン街であり、社用族御用達の街でもある。格式張った店が軒を連ねる中、カジュアルな雰囲気で比較的若い世代に愛されているスナックが『ハイパースナック サザナミ ギンザ』だ。
若い感性を随所に取り入れた銀座のネオスナック
雑居ビルの階段を降りると現れる、銀座らしからぬレトロフィーチャーなフォントのサイン。
このフォントだけで、この店が銀座には少ないカジュアルな店である様子が伝わってくる。インターフォンを押すと、扉が開き、中に招き入れられる。
カウンター9席、6人ほどが掛けられるソファ。コンパクトな店内であるが壁一面のアートワークに目が引きつけられる。
これはフジロックフェスティバルのアートワークなども手掛ける、アーティスト渡辺明日香氏による1点ものの作品。このポップなデザインからもわかるように、この店ではフレッシュな感性を取り入れている。
前身はDJバー! 少しずつ変わり始めている銀座で勝負を
今宵の美女・王城愛弓さんと乾杯してから、オーナーの町田氏にこの店の成り立ちを問うた。
この店の前身は2006年、渋谷にオープンしたDJバーだという。
「店とともにお客さんも年齢を重ね、お客さんも僕自身もしっぽり飲める店にしたいな、と思うようになりました。そこで2016年にDJバーからスナックにリニューアルしました」
DJバー発のスナックなら、ユースカルチャーが根付く渋谷と親和性の高いことは理解できる。一方で大人の街・銀座とはあまり水が合わない気もする。それでも銀座での開店にこだわった理由はなんだったのだろうか。
「東京で一番の繁華街で挑戦したい、という気持ちが大きいですね。古い街のため価値観が止まったままの印象を受けますが、少しずつおもしろい店も登場し、最近の銀座はアップデートされている感じがある。それも出店の決め手となりました」
そして2018年に『ハイパースナック サザナミ ギンザ』をオープン。クリエイターや広告代理店のサラリーマン、若手の経営者と、銀座の他の店とは少し違う客層が訪れている。
「例えば部下に言いづらい悩みを持つ若手経営者が同じ経営者に相談したりとか、クリエイターや広告代理店の人たちで仕事に発展したりとか。普段知り合わない人同士の出会いの場になっていますね」
袖振り合うも他生の縁。スナックが初対面でも親しくなれる装置であるのは、今も昔も変わらない。ニューウェーブ系スナックではあるが、スナックに連綿と受け継がれているコミュニケーションの場という機能は充分に果たしている。
スナックにクラブカルチャーが融合する新しさ
会話を重ねていくと、意外にも王城さんが毎年サマーソニックに行くほどのフェス好きだということが判明。町田氏がタブレットを操作し、大画面モニターにミュージックビデオを映し出す。
映像を眺めながら、町田氏と音楽やミュージシャンについて盛り上がる王城さんがこう呟いた。
「クラブにはよく行きますが、スナックでこんなに音楽の話ができると思いませんでした!」
スナックとクラブカルチャーの意外性のある融合に、うれしそうな表情を浮かべる。
後編では、さらにネオスナックらしいサービスをご紹介しよう。
【ハイパースナック サザナミ シブヤ】
問い合わせ先
- ハイパースナックサザナミ シブヤ TEL:03-6657-3870
- 住所/東京都渋谷区円山町5-3 萩原ビルB1F
営業時間/19:00〜深夜
定休日/土・日・祝日
メニュー/カバーチャージ¥1,000、生ビール、ウイスキー、ワイン、カクテル各種¥900〜、ボトルワイン¥5,000〜、ボトルスパークリングワイン¥7,000〜焼酎ボトルキープ¥5,000、ウイスキーボトルキープ¥7,000〜(氷代1日¥1,000、割り物¥500)
(※取材は2020年3月に行いました。現在『ハイパースナック サザナミ ギンザ』は閉店し、『ハイパースナックサザナミ シブヤ』のみ営業しています。記事の内容は銀座店、問い合わせ先は渋谷店となります。営業時間などの詳細は、店舗HPなどでご確認ください。)
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- TEXT :
- 津島千佳 ライター・エディター
- PHOTO :
- 小倉雄一郎