京都発の創業30年以上のベーカリーブランド「GRANDIR(グランディール)」に聞いた、フランスパンのトリビア

もっちり、ふわふわな食パンが話題になりがちですが、実は「あの堅い食感が好き」、「かめばかむほど味わい深い、あの独特の感じが好き」など、フランスパンも大好きな人は多いのでは?

今回、フランスパンについてのお話を聴いたのは、京都発の創業30年以上のベーカリーブランド「GRANDIR(グランディール)」のシェフ。素材にこだわり、職人が丹精込めて焼き上げる伝統の味は、地元の人々に長年愛され続けています。

関西エリアに7店舗、東海エリアに3店舗を構え、食事パンから総菜パン、菓子パン、パニーニやカヌレまで、さまざまなパンを取り扱っています。そしてもちろん、フランスパンの販売もあります。

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グランディール御池店

フランスパンでそのパン屋のことがわかる!?

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お店の個性が現れる「フランスパン」

「フランスパンを見れば、そのお店のことやおいしいパン屋かどうかが分かる」というのを、聞いたことのある人もいるのではないでしょうか。

その理由をこっそり聞いてみました。

「フランスパンは、どのお店も『小麦粉、水、イースト、食塩』のみでつくっています。シンプルでごまかせないからこそ、お店の個性が表れます。

発酵時間や温度など、テクニックを使って『限られた食材のなかでいかにおいしくつくるか』が職人の腕の見せどころといわれます。当店では、季節に合わせて、気温や水温を測りながら、いつ食べてもおいしい、同じクオリティのものをつくっています」

パンの発酵のためには小麦粉や室温、水の温度が重要。その適した環境のなかで、生地がつくられます。材料を合わせて台の上で、こねていき、発酵させたあとに成形して焼き上げられます。

たったそれだけの工程でつくられる至極シンプルなフランスパンですが、実はそのこねる工程ではコシを出すためのテクニックなどがあり、パン職人の腕も大いに問われます。

厳密には「フランスパン=バゲット」ではない!フランス式の堅焼きパンの総称

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グランディールの「バゲット」1本¥280

ここで、普段何気なく使っている「フランスパン」という呼び名のことをちょっと整理しておきましょう。

日本で一般的に「フランスパン」というと、「バゲット」のことを指すことが多いです。バゲットとは、フランス語で「baguette」とつづり、「棒」や「杖」の意味をもちます。いわゆる棒状の堅焼きフランスパンのことを指します。

しかし、厳密には「フランスパン」は、フランス式の堅焼きパンの総称なのです。バゲットのほかバタール、パリジャン、ブール、フィセルなどがあります。

いずれも共通しているのは、小麦粉、水、イースト、食塩のみで作られており、砂糖は一切使われていないこと。どれも同じシンプルな材料を使っているにもかかわらず、形状や名称が違うのには何か理由があるはず! そこで、それぞれのフランスパンのことをシェフに聞いてみました。

香ばしさを味わえる「バゲット」

「長さは60cmほど、『クラム』(内側の生地)が少なく、『クラスト』(外側の生地)の部分が多いため、小麦の香ばしさを存分に味わうことができます」

3本の切り込みが特徴の「バタール」

「長さは40cmほどで、クープの数は3本と決まっています。クープとはパン生地の表面に入れる切り込みのことです。バゲットよりも短い分、クラムの面積が多くなることから、もちもちの食感が味わえることが特徴です」

太くもちもちした「パリジャン」

「生地量もバゲットやバタールに比べ多く、太いのが特徴。バタールよりももちもち食感を味わうことができます」

円形でさらにもちもち度アップ!「ブール」

「丸型にすることでふくらむ部分が多く、よりもちもちした食感を味わうことができます」

小ぶりで棒状の「フィセル」

「棒状で、一般にバゲットよりも細く短いのが特徴。小ぶりのため、手軽に食べられることが特徴です」

生地の量やクープの数で食感や味わいの違いがあるようですね。

美味しいフランスパンの見分け方

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フランスパンの見分け方は?

さて、気になるのが、おいしいフランスパンはどうやって見分けるのかということ。シェフにその見分け方を教えていただきました。

外見は「クープの開き」をまずチェック

「こんがり小麦色に焼けており、パン生地の表面の切り込み『クープ』が開いていること。シンプルな素材でつくるフランスパンは、イーストの活動を活発にさせる砂糖などが入っていないため、ふくらみが弱いのが特徴です。クープを入れることで中の水分を程よく蒸発させてふくらませます」

カットしている場合は中身の気泡を見る

「切り開いたときの見た目は、気泡が大小まばらであること。発酵が成功している証拠です」

乾いた音がしたらおいしい証拠

「フランスパンの底を指ではじいたとき、コンコンという乾いた音がすること。水分がほどよく抜け、焼き上がっている証拠です」

カリカリ&もっちりしっとりがベストな食感

「外側の生地である『クラスト』がカリカリ、中はしっとりもっちりとしていること」

噛めば噛むほど小麦の旨味を感じる味

「小麦の甘みを感じ、噛めば噛むほど小麦の旨味が出てくるものがいいですね」

小麦の香りをしっかり感じられるのも◎

「パンを軽く押したときに小麦の香りがしっかり残るものがいいです」

触ってみたり味わったりは買った後からしか確認できませんが、初めてのパン屋さんでフランスパンを購入したら、このチェック項目を確認してみるのも一興ですね。

フランスパンの美味しさをキープする保存方法

おいしいフランスパンの見分け方を知ったところで、フランスパンを購入したあと、よりおいしくいただくための保存方法についても確認しておきましょう。シェフにうかがった内容をもとにご紹介します。

夕方買ったフランスパンを翌朝おいしく食べる場合は紙袋へ

紙袋に入れたまま涼しい場所で保管がおすすめ。乾燥防止のために、紙袋を2重にするか、紙袋の上から厚手の布をかぶせましょう。

翌日以降もおいしく食べるには切り分けてラップ冷凍

新鮮なうちに冷凍庫で保存するのがポイント。スライスせずに、冷凍庫に入る食べきれるサイズに切り分け、空気が入らないようにぴったりと、ひとつひとつラップをする。ラップをしたら、ビニール袋で密封して冷凍しましょう。

食べるときは、自然解凍し、霧吹きで水を一吹きしたあと、アルミホイルを上から被せ、オーブントースターで焼くのがおすすめ。焼きたての食感が復活します。冷凍後は1~2週間で食べきるようにしましょう。


おいしいフランスパンの見分け方をご紹介しました。普段、フランスパンをあまり購入したことがない人も、頻繁に購入する人も、改めておいしいフランスパンを見分けて、楽しんでみてはいかがでしょうか。

※掲載した商品の価格は税抜です。

問い合わせ先

GRANDIR(グランディール)

TEL:0120-96-7722

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この記事の執筆者
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PHOTO :
GRANDIR
WRITING :
石原亜香利
EDIT :
安念美和子
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