2020年もそろそろ「立夏」がやってきます。夏の始まりを告げてくれる立夏ですが、その意味や由来をご存じでしょうか?
当記事では、二十四節気のひとつである立夏について、意味や由来、旬を迎える植物や食べ物などをご紹介します。
■立夏とは?

「立夏」は、1年を24等分した暦である二十四節気のひとつです。「立夏」の文字からもわかるように、この日から夏が始まることを意味しています。 ここでは、「立夏」の読み方や、2020年の「立夏」の時期を解説していきましょう。
立夏の読み方は?
「立夏」は「りっか」と読みます。 「立夏」と同じく、「この日からこの季節がはじまりますよ」という二十四節気の節気があります。ぱっと思いつくのは「立春(りっしゅん)」ではないでしょうか。また、それ以外には、「立秋(りっしゅう)」や「立冬(りっとう)」もあります。
2020年の立夏はいつからいつまで?
立夏には「いつからいつまで」という期間が決まっています。その期間は、立夏から次の二十四節気の「小満(しょうまん)」の前日までです。 2020年の立夏は5月5日です。小満が5月20日ですので、2020年の立夏は5月5日~5月19日までの期間となります。
■立夏と夏至の違い
立夏は「夏の始まり」を意味しますが、夏のイメージがある「夏至(げし)」とは何が違うのでしょうか? 二十四節気をベースに、違いをご紹介します。
二十四節気とは?
先ほどから、「立夏」や「小満」、「夏至」などの言葉が出てきていますが、これらは「二十四節気(にじゅうしせっき)」と呼ばれるものです。二十四節気とは古代中国で考案された暦のようなもので、1年の太陽の動きによって季節が割り振られています。
太陽が移動する「黄道」と呼ばれる天球上の道を、15度ごとに24等分したものが二十四節気です。24等分したそれぞれに、「立夏」や「小満」、「夏至」といった季節をあらわす名前がつけられています。
夏至は二至二分のひとつ

二十四節気のなかには、「二至二分(にしにぶん)」と呼ばれるものがあります。二至二分とは「夏至」、「冬至」の二至と、「春分」、「秋分」の二分のことです。
この二至二分の4つの点を基準とし、それぞれの中間に四立(しりゅう)を入れ、さらにそれらの点と点の間を3等分したものが、二十四節気です。「立夏」は、春分と夏至のぴったり中間の日となります。
立夏は四立のひとつ
二十四節気には、「四立」と呼ばれるものがあると前述しましたが、それは、「立春」、「立夏」、「立秋」、「立冬」の4つです。ですので、立夏は四立のひとつとなります。
ちなみに、二至二分と、この四立を合わせて「八節(はっせつ)」といいます。
■「立夏の候」の意味
「立夏の候」は、「夏のはじまりを感じさせる季節になりました」という意味の時候の挨拶です。この初夏にぴったりの挨拶の使い方をご説明します。
「立夏の候」の読み方
「立夏の候」は、「りっかのこう」と読みます。
いつからいつまで使う?
「立夏の候」を時候の挨拶として使うのであれば、立夏から小満の前日までにしましょう。使えるのは、毎年、5月5日頃から5月21日頃までの15日間程度です。それ以前に使うと早すぎ、それ以降に使うと季節外れな印象を相手に与えてしまうので、注意が必要です。「
「立夏の候」の使い方
「立夏の候」を使った例文をご紹介します。
・立夏の候、皆様におかれましてはお元気にお過ごしと存じます。
・立夏の候、少し汗ばむ陽気になってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
・立夏の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
■立夏は俳句の季語
「立夏」は、俳句の季語のひとつでもあります。夏の季語で、「夏が来た」、「夏の始まり」という意味があります。初夏の時期である5月5日頃から5月21日頃までの季語で、使える時期が短いため、「立夏」を季語に使うと、そのぶん新鮮さやフレッシュさを演出できます。
また、「立夏」と似たような子季語には、「夏立つ」「夏に入る」「夏来る」などがあります。
有名な句は?
「立夏」が用いられた俳句には、高浜虚子に指導を受けた俳人、飯田蛇笏(いいだ だこつ)氏や、高浜虚子の孫であった稲畑汀子(いなはた ていこ)氏のものがあります。
ながめたつ立夏の雲の小神鳴(飯田蛇笏)
花活けて立夏の卓を飾りけり(稲畑汀子)
■名前にも使われる立夏
「立夏」は人名にも使われます。読み方は、「りっか」や「りつか」で、音の響きがよく、男の子でも女の子でも使える名前です。新緑のような清々しいイメージや、樹木が新芽を出すような活力、自分の足でしっかり立つ(自立する)などの意味や願いが込められた名前となります。
立夏という名前の有名人・小説
「立夏」という名前の登場人物がいるマンガに、キヅナツキ氏による『ギヴン』(新書館)があります。この作品は、ロックバンドのメンバーたちによる青春マンガ。主人公であるギタリストの名前が立夏(りつか)。ちなみにもう一人の主人公の名前は真冬(まふゆ)です。
タイトルに「立夏」がついた小説には、山本一力氏の『立夏の水菓子』(朝日文庫)があります。主人公の鍼灸師・染谷が、人助けや世直しに奔走する長編時代小説です。 そのほか、実在する有名人には、モデルでありロックシンガーの立夏-ricca-さんがいます。
■立夏に旬を迎えるもの

新緑の季節である立夏。この時期に旬を迎える、花・野菜・魚をご紹介していきます。
立夏の花
立夏の頃に咲く花には、フジ、カキツバタ、サツキがあります。
藤(フジ)
フジは、垂れ下がるようにして咲く紫色の花が美しい植物。フジが美しいスポットには、あしかがフラワーパーク(群馬県)や、亀戸天神社(東京都)、白毫寺(兵庫県)などがあります。また、平年では各地で藤まつりも開催されます。
杜若(カキツバタ)
水辺に咲くカキツバタは、古来より日本にある植物。そのため、万葉集などでも和歌で詠われています。カキツバタはアヤメと似ていますが、簡単に見分ける方法は、植えてある土を見ること。カキツバタは水辺に咲いていて、アヤメは乾いた土から茎を出しています。
皐月(サツキ)
庭先や公園、道路沿いなどで見られるサツキ。この名前は、旧暦の皐月(5月)に花を咲かせることが由来となっています。ピンクや赤、白、紫などの花色があり、たくさん咲くので華やかな雰囲気があります。
立夏の野菜
二十四節気の各節気を約5日ずつにわけて、さらに詳細に季節の変化を表現するのが「七十二候(しちじゅうにこう)」です。
筍(タケノコ)
七十二候における立夏の終わり頃は「竹笋生(たけのこしょうず)」といって、タケノコが生えてくる時期を指します。そのことからもわかるように、立夏の頃はタケノコがおいしい時期です。土佐煮や若竹煮などの煮物、タケノコごはんやオイスター炒めなど、さまざまなタケノコ料理で旬を味わってみてはいかがでしょうか。
そら豆(ソラマメ)
ソラマメも立夏の時期に旬を迎えます。スーパーなどで買うときは、艶があり、鮮やかな緑色をしたものを選ぶのがポイント。さやごと焼いたり、ソラマメごはんにしておいしくいただきましょう。
立夏の魚
立夏に旬を迎える魚には、どのような種類があるのでしょうか。
鰹(カツオ)
立夏に旬を迎える魚といえば、やはり初カツオでしょう。カツオには、旬が春と秋の2回ありますが、春から初夏にかけて獲れる鰹を「初鰹」といいます。ちなみに、秋に獲れるのは「戻り鰹」です。初カツオはあっさりとした味わいが特徴。タタキで味わうのがおすすめです。
真鯛(マダイ)
また、マダイも立春に食べたい魚のひとつ。立春の時期のマダイは、その美しい桜色の体にちなんで「桜鯛」と呼ばれます。春に食べる真鯛には、お腹に卵や白子が入っていることも。これは、春の時期だけのお楽しみです。もちろん、身もおいしく、汁物や蒸し物などにして食べるとよいでしょう。
立夏という季節を楽しんで
当記事では、立夏とは何なのか、その読み方や、2020年の立夏はいつからいつまでなのかをご紹介しました。また、立夏と夏至の違いや、季節の挨拶である「立夏の候」の意味や読み方、使い方、いつからいつまで使えるのかを解説しています。
さらに、俳句の季語として、また、人名としての立夏や、立夏に旬を迎える花・野菜・魚もチェックしてみました。
二十四節気のひとつである「立夏」。この時期は、新緑が美しく、薫風が吹き、気候もよい時期です。旬の食べ物を食べ、その時期に咲く花を愛でる…。「立夏」を感じながら生活してみてはいかがでしょうか?
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- TEXT :
- Precious.jp編集部