この時期の風物詩となる小さな生き物と言えば? 時候の日本語をクイズでおさらい!
本日、6月5日から、四季を表現する暦(こよみ)・二十四節気(にじゅうしせっき)が「芒種(ぼうしゅ)」に入ります。
「芒種」とは、「芒(のぎ=イネ科植物などの先端にある針のような突起)のある穀物の種まきをする時期」という意味の言葉で、6月5~20日ごろを指します。前後の二十四節季も、ひもといてみましょう。
立夏(りっか)…「夏の気配感じられる」5月5~19日ごろ。
小満(しょうまん)…「すべてのものがしだいにのびて天地に満ちはじめる」5月20~6月4日ごろ。
芒種(ぼうしゅ)…「稲などの芒のある穀物を植える」6月5日~20日ごろ。
夏至(げし)…「昼の長さが最も長くなる」6月21日~7月6日ごろ。
「立夏」や「夏至」などは、いまでも書き言葉のあいさつ文等によく使用されますが、「小満」「芒種」などは留意して使わないと、わからなくなってしまいそうです。
「二十四節気」は、日本では平安時代に使われ始めたとされている、伝統的な暦(こよみ)です。時々おさらいしつつ、文化を継承して参りたいですね。
さて、二十四節季の一節を更に3分割したのが「七十二候(しちじゅうにこう)」です。二十四節季が、古代中国から続く東洋の四季を表現しているのに対し、七十二候は、明治時代の日本で調整された、日本らしい要素に基づく暦が現在、使用されています。
本日はこの中から、クイズを出題いたしますね。
【問題1】「螳螂」ってなんと読む?
6月5~9日ごろを表現する七十二候は「螳螂生」で、読み仮名は「○○○○しょうず」です。
「螳螂」の読み仮名をお答えください。
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 螳螂(かまきり) です。
「螳螂生(かまきりしょうず)」は、「秋に産み付けられた螳螂の卵が孵化する頃」という意味の、七十二候です。
ちなみに「螳螂(かまきり)」は、俳句の季語としては、成虫が活動する「秋」を表します。一つの生物の「孵化する時期」と「成虫が活躍する時期」が、それぞれ暦に盛り込まれていることからも、日本人がいかに小さな生物との共存関係を愛してきたか、わかりますよね?
余談になりますが、いつだったか、ホテルですれ違った和服をお召しの女性が、螳螂の図柄の染帯を締めていらして、ドキッとしたことがあります。淡い色合いの、いかにも上品なコーディネートでしたが、螳螂と言えば、雌が雄を食して栄養にしてしまう生き物でもあります。
単に季節のお洒落で?もしくは別の意図でこの帯をお召しになったのかしら?と、ストーリーを想像させられる着こなしが印象的でした。
さて、2問目に参りましょう。
【問題2】次の七十二候に登場する生き物は?
「螳螂生(かまきりしょうず)」の次に来る、6月10~14日頃を表す「七十二候」に登場する生き物は、何でしょうか? 画像の〇部分に入る漢字一文字をお答えください。
ヒント:美しい水のそばに飛ぶ、夜に見ると独特の美しさを放つ虫です。
さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 蛍(ほたる) です。
6月10~14日頃を表す七十二候は「腐草為蛍(ふそうほたるとなる)」です。
「草の中から蛍が舞い始めるころ」という意味ですが、昔は、腐った草が蛍になる、と考えられていたそうです。
この時期ならではの幻想的な姿が美しい蛍は、俳句の世界でも、仲夏の季語となっています。
蛍鑑賞に出かけられる方は、ソーシャル・ディスタンスに配慮した上で、楽しんでいらしてくださいね。
本日は、古き良き暦の言葉・七十二候の
・螳螂生(かまきりしょうず)
・腐草為蛍(ふそうほたるとなる)
をおさらいしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱