「半夏雨」の読みは?意味は?先人の知恵の深さを感じる日本語たち!
本日は、いきなり1問目のクイズに行かせていただきます。
【問題1】「半夏雨」ってなんと読む?
「半夏雨」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント:「暦(こよみ)の節目となる雑節のひとつで、夏至から11日目ごろを表す『半夏生』付近に降る雨のこと」という意味の言葉です。
<使用例>「今年の半夏生は7月1日ですって。この付近の雨は半夏雨だから、気をつけておいたほうがいいわね」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 半夏雨(はんげあめ) です。
「半夏雨」を理解するため、まずは「半夏生(はんげしょう)」をおさらいしましょう。
「半夏生」は、古来「夏至(げし)から11日目ごろ」と言われてきましたが、現代では「天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日」と定義されており、今年・2020年の「半夏生」は本日7月1日になります。
「半夏生」は雑節(ざっせつ)のひとつで、古来から「五節句や二十四節気以外で、特に留意したい、暦(こよみ)の節目(ふしめ)となる日」のことです。「半夏生」以外の雑節は「節分」や「入梅」、うなぎで有名な「土用」など、さまざまです。
最近では「半夏生」といってもピンと来ない方が多いでしょう。「半夏生」はどんな日なのでしょうか?
「半夏生」は、古来、農家が「この日までに田植えなどの農作業を終える日」とされており、この日を機に、数日間の休養をとる農家もあるのだとか。「天から毒気が降る」日と言われ、井戸に蓋をしたり、この時期に獲った野菜なども食してはいけない、とされてきました。
迷信? いえいえ、現代的に考えても、実に理にかなっているのです。
「半夏生以降の数日、天から降るもの」といえば「雨」、つまり問題1の答えでもあった「半夏雨(はんげあめ)」になりますが、この言葉、特別な呼称を使用することで、人々に、この時期の雨についての注意を促す役割を持っているようです。
「半夏雨」は「梅雨の後半に降る激しい雨」になりますが、時に集中豪雨が多発するこの時期が来る前に、農作業=屋外での作業は、区切りをつけておくのが安全でしょう。
また、昔の環境では、集中豪雨が濁流とあいまって井戸に汚泥を流し込んだり、遠方からの不純物を畑に流し込んだり…ということが原因で、水や野菜が飲食に適さない状態になる危険性もあるようです。「天から毒気が降る」という言い回しで伝えた先人の知恵に「なるほど!」とうなってしまいます。
「半夏生」以降の数日間は「突然の激しい雨」や「集中豪雨」に、特に要注意な期間なのです。現代では天気予報の的中率があがっているものの、確度が完璧、というわけではありません。「半夏雨」という特別な言い回しを思い出し、
なるべく外出を控える、外出時に携帯する傘は丈夫なものにするなど、対策をお忘れなく!
また「半夏生」には、蛸(たこ)や餅などの食物を食べ、鋭気を養う地域もあるようです。蛸は疲労回復をうながすタウリンをたっぷり含んでいますので、お疲れの方は、今夜あたりいかがですか?
というところで、2問目のクイズです。
【問題2】「柄杓」ってなんと読む?
「柄杓」という日本語の読み方をお答えください。
ヒント:「水や汁物をすくうための、柄のついた器上の道具」という意味の言葉です。
<使用例>「焼酎も、壺に入ったものを柄杓で入れていただくと、瓶から注ぐより気分がアップするわね!」
さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。
正解は… 柄杓(ひしゃく) です。
「半夏生」という言葉の由来ですが、七十二候の「半夏生(はんげしょうず)」=半夏(という薬草)が生え始めるころ、から来ています。
薬草の「半夏(はんげ)」とは、「烏柄杓(カラスビシャク)」という植物の異名でしたので、「柄杓」をという漢字をクイズにしてみました。
「半夏生(はんげしょう)」は「夏至(げし)」の時期であることから、「半夏至(はんげし)」とカン違いする方も多いのだとか。「半夏(烏柄杓)の生え始めるころ」という意味で「半夏」+「生(しょう)ずる」、「夏至」とは別モノの言葉ですので、お間違えなく。
本日は、本日7月1日が、今年の「半夏生」であることにちなんで、
・半夏雨(はんげあめ)
・柄杓(ひしゃく)
という難読クイズと、トリビアをお送りしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱