「暇」って「ひま」以外になんと読む?意外と使っている言葉かも?

本日7月16日は「藪入(やぶい)り」と呼ばれる、昔の人にとっては特別な休日でした。

年に2回、お正月後の1月16日と、お盆の後の7月16日だけは、住み込みの奉公人や嫁いできたお嫁さんが実家へ帰って良い日・「藪入り」とされており、実家が遠くて帰れない人も、奉公先の主人から小遣いなどをもらい、好きな場所に遊びに出かける事ができたのだそうです。

現代のように「週休二日」「○曜日は休日」など、定期的な休暇の意識がなかった時代には、大変にスペシャルな、待ち遠しい休日だったことでしょう。

というところで、本日1問目のクイズです。

【問題1】「暇」って「ひま」以外になんと読む?

「暇」という漢字の「ひま」以外の読み方で、1文字で日本語として成立する読み方をお答えください。

ヒント:「ひま」「休み」「辞職」「離縁」「別れ。または別れのあいさつ」などの意味を持つ言葉です。

<使用例>

「父からのご進物をお届けしたら、すぐお暇します。」

「○○○」と読み仮名3文字です。
「○○○」と読み仮名3文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は… 暇(いとま) です。

「おいとまします」…普段から会話で使っている方も多いのでは?
「おいとまします」…普段から会話で使っている方も多いのでは?

「おいとまします」は訪問先で辞去する際のごあいさつの定番ですが「暇(いとま)」という漢字、意識して使っていらっしゃいましたか?

「暇」という漢字そのものの意味は「休み」であり、直接的に「辞める」「別れる」などの意味は持ちません。

音読みの場合は「休暇(きゅうか)」「寸暇(すんか)」など「休み・休憩」を意味する言葉ばかりですよね?

「暇」という字が「辞める」「別れる」を意味するのは、「暇(ひま)」「暇(いとま)」という訓読み、つまり日本的な読み方をする場合のみです。ネガティブな局面を婉曲的な表現で和らげたい、という、いかにも日本人的な気遣いを感じる言い回しですが…

やんわりと「休み(休憩時間)をいただきます」と表現した後、永遠に戻らない…と考えると、逆に怖い気もいたしますね(笑)。

さて、2問目も「藪入り」に関連するクイズです。

【問題2】「苛む」ってなんと読む?

「苛む」という日本語の読み方をお答えください。

ヒント:「きつく責める」「いじめて苦しめる」などの意味を持つ言葉です。

<使用例>

「『藪入り』の日は、閻魔様(えんまさま)や、亡者を苛む地獄の鬼も仕事を休むのですって!」

「○○○む」と読み仮名3文字です。
「苛々(いらいら)」や「苛(いじ)める」にも使用する字ですが、ここでは「○○○む」と読み仮名3文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は… 苛(さいな)む です。

苛むのも苛まれるのも大変ですよね。年に2日だけ、この行為から離れられるなんて…夢のような2日間!

例文の通り、『藪入り』の日は、地獄のカマのフタが開いて亡者たちが「この世」に里帰りするので、閻魔様や地獄の鬼も仕事を休む日なのだそうです。

このことから、1月16日と7月16日は「閻魔賽日(えんまさいにち/えんまさいじつ)」とも呼ばれます。「賽日(さいにち・さいじつ)」とは漢字の構成としては「お参りする日」という意味になりますが、「閻魔賽日の略称」として定着しており、「賽日=閻魔賽日」です。

実家や出かけ先で閻魔様をまつった寺社にお参りするのも『藪入り』休暇の過ごし方の定番で、閻魔様ゆかりの寺社には、この縁日には露店が立ち並んでにぎわう場所が多いようです。

年に2度しかない貴重な休日に、家族と過ごしたり、たまの贅沢をしたり、にぎやかな縁日を楽しむ…勤勉な江戸時代の人々にとって、本当に「とっておきの7月16日」だったのでしょうね。

本日は「藪入り」という日本古来の歳時記に関するトリビアと、

・暇(いとま)

・苛(さいな)む

という難読漢字クイズをお送りしました。

 

この記事の執筆者
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ILLUSTRATION :
小出 真朱